AIがつくる著作物
このテーマはおもしろい。
「AIが作る著作物」
20数年前にSOFTICで椙山敬士先生や水谷直樹先生らと「プログラムが作る著作物」として音楽や翻訳を題材に議論したことがある。特許庁の要請を受けてソフトウェア関連特許導入に向けた議論をしていた頃だったか。ちょっともう記憶が曖昧であるが。
創作とは人間固有のものではないのか。
俳句であるなら、全ての辞書をインプットしてネットの語彙を拾い続けて文字列としてウェブサイトに吐き続けるならば、やがて人間が創作するであろうほぼ全ての俳句が先回りして生成され、創作時にググれば、同じ文字列が出てきてしまうという世界が出現してしまいそうではある。相当現実味のある話であろう。
鳥海先生らAI研究者が第二の現代俳句「第二芸術論」を再燃させてしまうのでありましょうか。
文学と自動生成文字列は、違うものではあるにしても、文字を媒介として脳が理解するにおいては、その創作者の氏名の裏側に真に人間がいるのかどうかはまったく伺いしれない、結果的に当座それをもって文学として受け止めてしまうことは起きてしまうだろう。事後修正型の世界である。さらにはバーチャル上にこれまた三次元的存在に見えるキャラ(仮想著作者)まで作られた日には・・・。キャラとロボット好きの国民性故に容認圧力は相当強くなるかもだ。これは法学的検討や権利処理の実務の考慮とは別次元の話しが相当混入しそうである。
人間中心の意味をどう捉えようが、素晴らしく学問的に解説しようがそれはそれ。真に問われるのは、その担い手や論者において、現に存在する人間へのリスペクトがあるかどうかではなかろうか。
プログラミングした者にその全てのアウトプットの権利を付与するのは人間の創作の自由を大きく毀損する結果をもたらすのではないかと考えた。立法論としては原則反対の立場である。AIなるものであればなおさらではないか。もう一度考えてみたいテーマではある。
一般財団法人情報法制研究所(JILIS)主催
情報法制学会(ALIS)共催
「第5回情報法制シンポジウム」(オンライン開催・無料)
<Day1> 7月11日(日) 14:00~16:00
「テーマ1:AIが作る著作物」
司会:鳥海 不二夫(JILIS 理事・東京大学 教授)
開会挨拶 鈴木 正朝(JILIS 理事長・新潟大学 教授)
報告1「人工知能が俳句を詠む:AI一茶くんの挑戦」
川村 秀憲(北海道大学 教授)
報告2「AIが小説を書く」
松原 仁(東京大学 教授)
パネルディスカッション
司会:鳥海 不二夫
パネリスト:
加藤 尚徳(JILIS 上席研究員・株式会社KDDI総合研究所 アナリスト)
川村 秀憲
宍戸 常寿(JILIS 参与・東京大学 教授)
実積 寿也(JILIS 理事・中央大学 教授)
松原 仁
質疑応答
申込:
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSemp4tGVeTwhi3pSHyJdXtW4-yH3lhjsV8lnx4Y2xemyq8OfQ/viewform
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#JILISsympo51
追伸
AIとAIが将棋や碁を打つ、人間の脳に対応するようにスローモーションで動かしてもらう必要はあるが、それはそれで対局として楽しめるであろうし、棋譜は棋譜として成立するが、一面の虚しさも禁じ得ない。あるにしてもそれは別ジャンルということになろう。
文学賞も同じであろう。AIのアウトプットを自己の創作として一部改変して発表するのはどうだろう。うーん悩ましいのでぜひ議論いただきたい。
いや、もうみなさん翻訳では道具として使ってますよね。すでにはじまっている問題ではあります。翻訳はそのまんまではまだ使えないので、人間が点検し、特にタームの使い方や専門的な表現は吟味しているのでいいとしても、その作業の手間は日々低下しており、もはや監訳に近い作業になっていくのではないか。
それを知識のインプットに使うのは自由でありますし、論文の一部に引用するあたりはありだろうと思うのですが。
さて、翻訳本として出版するときはどうなのか。その翻訳本を賞の対象とするときはどうなのか。このあたりも議論していただきたいなぁと思います。
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最近のテーマは20年ぶりくらいのものが多い。AIブームと呼応しているからだろうか。ユビキタスの頃から何度も焼き直し政策が多いからか。デジタル化ネットワーク化を今日デジタル化といっている。個人情報保護法では昭和63年法の電算処理の個人情報保護法に学ぶことが多い。
まさに温故知新なアプローチは必要かつ有益かもしれない。
ということでオーラルヒストリーを再開しております。先週は、総務省に鶴巻暁先生といっしょにお伺いして、平成15年個人情報保護法(民間部門)の開示等の求めなど本人関与の部分の起草担当官からお話しを伺ってきました。
昨年は、高木浩光先生と平成15年の行政機関個人情報保護法の起草担当官(当時室長)の横山均先生と情報法制学会でパネル討論をさせていただきました。この内容は、情報法制研究9号に掲載されています。
堀部政男先生に伺ってきたことや開示請求資料と重ねて、まさに温故知新であります。第n次デジタル化でありますから。
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