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第2話 財政健全化がなぜ必要なのか?
財政健全化を達成しないと何が起こるのか。そんな最悪のシナリオを調べるために、下記の記事を読んでみた。
”1.揺らぐ司令塔”、”2.国・地方の基礎的財政収支の現状と見通し”については特にコメントはない。問題は”3.なぜ財政健全化が必要なのか”である。
前半の医療費の増大に関しては特にコメントはない。高齢者人口も増えているし、医療技術も進歩しているので、まあ医療費は増えるだろうな、と思うだけである。問題は次のくだりである。
”言い換えれば、日本の医療制度改革では増大する医療費、それに伴う公費負担に歯止めがかかっていない。
こうしたなかで、日本の財政の持続可能性を高めるためには、医療を含む社会保障の財政規律を高めることが最大の課題である。そのためのより有効な制度改革を促すためにも、総額としての財政収支の目標を定め、その範囲に社会保障関係費を抑制することが不可避である”
この文章の意味、みなさんはお分かりになっただろうか?私は全然わからない。「このままでは医療費の支出が増えていく。支出を増やさないためには支出を増やさないようにしなければならない」と言っているだけにしか聞こえないのですが?
財政健全化が不要と思っている人の多くは、社会保障関係費(主に医療費負担)を増やす必要はない、とは思っていない。増税ではなく国債を発行して医療費を賄うべきだと思っている。国債を発行することによる弊害や危険性について、この文章は何も述べていない。ここに触れずして「なぜ財政健全化が必要なのか」を語っているといえるのだろうか?
あまりに消化不要だったので、続いて以下の記事を読んでみた。
この記事、前半部分は財政健全化が話題にならなくなった理由を述べ、後半はその理由に対する反論や嘆きが描かれている。しかし、財政健全化が重視されていない理由については非常に明快に描かれているが、後半の反論は内容が何もない。残念ながらこの記事を読んだ感想は、そうだよね、財政健全化なんて必要ないよね、となるだけである。後半のいくつかの部分を列挙し、その感想を述べる。
”わが国のように、国内貯蓄で財政赤字をファイナンスできる国では、ギリシャのような金利高騰、インフレといった状況は突然やってくるのではない”
日本は自ら通貨発行権があり、EUに財政を握られているギリシャとは事情が全く違う。なので日本がギリシャのようにならない、というのはまったく同意だが、突然ではなく少しづつやってくる理由にはまったくなっていない。
"抗がん剤やアルツハイマーの薬の開発が進んでいるが、治療に必要にもかかわらず高額で保険対象とならない。(中略)。これも、約束した社会保障が提供されないということで財政破綻の一歩"
財政健全化を目指しているので、社会保障費が増やせない。財政出動により国債を発行すれば社会保障費は増やせる。なぜ、ここで、国債を発行して社会保障費を増やすことの弊害を語らないのか?
”一般会計予算の3分の1を借金に依存し、歳出の2割超の予算を過去の借金の返済に回さざるをえない状況は財政破綻の始まりともいえる”
結局、財政赤字が続いている今の状況は非健全と言っているだけのようだ。論理的な財政破綻の最悪のシナリオに対する説明は何もなく「今の状況は気持ち悪いですね」と言っているに過ぎないのは、結局他の記事と何ら変わりがない。
東京財団政策研究所の文章を読んで、あらためて自分のもとに一つの疑問が沸き起こる。本当は財政健全化を達成しなくても何も起こらないのではないか、と。そこで改めて財政健全化がなぜ言われるようになったのか、その起源にさかのぼって調べてみることにした。