第6話 そもそも国の借金は誰に対して返すのか?
そろそろ私が経済の勉強を始めるきっかけとなった素朴な質問である「そもそも国の借金って誰に対して返せばいいんだっけ」について書く。
まず、国の借金という書き方が非常に怪しい表現なのだが、もう少し厳密に書けば「国債の発行残高」である。ここまでは少し調べればわかることだ。市民感覚に基づいて考えれば借金は債権者に対して返すものなので、借金を返す相手は「国債の保有者」となるだろう。だが、国債は市場に出回っているのだが、一般人が直接政府に国債を換金しろと訴えることはなく、市中銀行や証券会社に国際を持っていけば換金してくれる。そして、市中銀行は国債を日本銀行に引き取ってもらえるので(日本銀行は引き取った国債分の銀行の当座預金残高を増やせば良い)、市中銀行が債権者として政府に借金を返せと訴えることはありえない。
ここが、先日書いたギリシャとの大きな違いであり、ギリシャの場合は中央銀行がEUの中央銀行であり、政府とは完全に独立した外国の組織であるが、日本銀行は政府の子会社である。市民感覚で見るとかなり違和感があるのだが、国債はぐるぐる回って消えるのである。(注:バランスシート上はこのまま負債が積み上がっていくが、新たに政府の国債を引き受けて紙幣を発行するので(借換債)、その分で負債は相殺されていく。)
結論としては「国の借金は返す相手がいない」のである。