
『ソロ戦争』#9 バイセクシュアルの悩み
自分の体験も交えながら女性の生き方について考え、結婚もせず子供も産まない「ソロ」としての生き方を模索するシリーズ。前回、前々回は「男も女も愛する女」の恋愛について私自身の体験をお話しました。
今回は、バイセクシュアルならではの悩みについて書こうと思います。
バイであることをLの友達に言えない
バイであることをノンケの女友達や男性に話すことはできますが、L友に話すことができません。L友とは好きな女性のタイプだとか恋愛の話で盛り上がることが多いので、自分が最近まで男性と付き合っていたという話はしづらいものがあります。Dの話もしていません。とはいえインスタの写真とかで付き合ってる相手ができたかどうかというのはなんとなくばれてしまうもの。聞かれると、私は「ちょっといい感じの人がいた」みたいにはぐらかします。すると皆大人ですからこれ以上聞いちゃいけないのかと思うみたいで、踏み込んではきません。もっと本当の話をしたいのにできない。自分が嘘をついているみたいでもやもやします。
もちろん、話せばわかってくれるかもしれません。でも陰で「ロミヤンは男もOKらしいよ」みたいに言われるかもしれません。Lの人たちと話していて、昔のL仲間で男と結婚したという人の話題が出たとき、「結局男と結婚したんだ~」みたいな感じで皆話していました。私もそれに合わせて話します。が、変だと思います。人生の一時期にLとして女性と付き合ったけど、その後男性と恋愛をして結婚した。別にいいではありませんか?そもそもセクシュアリティなんて移り変わるものです。一生同じではありません。
Lのなかにも、過去に結婚していて子供もいる人がたくさんいます。ノンケからLになったわけです。そういう人は歓迎されるし、子供の話も普通にしています。オフ会に小さな子供を連れてくる人さえいます。このようにノンケからLの世界にやってきた人は歓迎され、逆にLの世界から出て行って(?)ノンケになった人はあしざまに言われます。やっぱりおかしいです。
また「完全なレズビアン」を示す「完ビ」にこだわる人もいるようです。一度でも男と付き合ったことのある人はレズビアンだとは認めない、という考え方らしいです。その人たちにとってはバイセクシュアルなんてとんでもないという話でしょう。差別もいいところです。
ほかのバイセクシュアルとのつながりがない
二丁目とかセクシュアリティ系のコミュニティは基本的にLの人たちばかりなので、そのなかでバイセクシュアルである悩みについて話すことができません。バイセクシュアルのコミュニティというのもあるようですが、少ないです。実際にそこに行った人の感想を聞くと、あまりいい感じではなかったそうです。いずれにせよ私はセクシュアリティでくくったコミュニティは排他的な感じがしてあまり好きではありません。LGBT運動家みたいな人たちも苦手です。また結婚に関心がないので、同性婚もどうでもいいです。もちろん認められれば一部のパートナーのいるLGBTの人たちにとってはハッピーでしょう。でもパートナーのいない人も多いし、アセクシャルとかそもそもパートナーを作れない人もいます。
Lの世界でも、もちろん一般社会でも、あまり公にバイセクシュアルであることを語れないので、同じバイセクシュアルの仲間を見つけることができず、つながれません。だからバイセクシュアルの悩みについて誰にも相談することができません。ノンケで理解のある友達に話すくらいです。ですがその人たちはノンケなので、本当に私の悩みを理解してくれているわけではないのかなとも思います。
好みのタイプがわからない
異性愛とか同性愛の人なら、自分の好みのタイプというものをある程度把握していると思います。外見とか性格とか。ところが私の場合、自分の好みというものがよくわかりません。もちろん、綺麗な女の人を見て「綺麗だな」と思ったり、長谷川博己みたいな痩せて背の高い塩顔の男性を見ると「素敵だな」とかは思ったりします。でも恋愛感情かというとまた違う気がします。
今まで付き合った人のことを思い浮かべても、全部タイプが異なっています。女性でもフェム(可愛い系と綺麗系)、ボイ、中性がいました。男性もいろいろですが、さっき述べたような長谷川博己タイプなんかと付き合ったことはありません。
自分の好みのタイプがわからないので、なんとなく「いいな」と思っても確信が持てず、恋愛に発展しません。とくにLの世界では「どんなタイプが好みか」ということが重視されます。フェムなのかボイなのか中性なのか。そこが曖昧だと、なかなか相手は見つからないです。ストライクゾーンが広いほうがいいと思われがちですが、じつはその逆です。私のように、男でも、女(フェム、中性、ボイ)でもOKみたいな感じだと、広すぎて焦点が定まらず、結局誰も見つからないということになります。
恋愛がうまくできない
それで結局恋愛がうまくできません。そもそも男なのか女なのか。女なら二丁目に行ったりそっちの出会い系アプリで探したりします。男だったら紹介とかでしょうか?うーん、よくわかりません。男か女かを決めかねているので、具体的な行動に移せないわけです。
「男がダメなら女」みたいに行動するのも安易だなと思います。が、今までずっとそんな感じでした。男にいったり女にいったり、振り子のように揺れ続けています。そういう「定まってない」感じは、なんとなく相手にも伝わるもの。ちょっといい感じになっても、相手は私が真剣じゃないと思い込んで去って行ったりします。
まあ、前回や前々回でも書いたとおり、私は精神障害があることもあり、人と一緒に暮らしてもうまくいかないことがわかっています。なので積極的に出会いを探そうという気持ちにもなれません。今は無理に恋愛しなくてもいいのかなと思っています。
次回からはソロとして具体的にどう生きていくか?ということについて考えていきたいと思います。