改正派遣法2020。1月28日の日記
お昼休みにいつものように休憩スペースでPCを広げ小説の推敲をしていたら、コーヒーを淹れにきた総務の女性に話しかけられた。4月からの派遣法改正についてなにか聞いてる?と聞かれ、派遣会社からは同一労働同一賃金になるということで通勤交通費が支給されるという話を聞きました、と答えると、派遣先が義務付けられることもあって、正社員と同じように福利厚生施設(食堂とか休憩所とか)を使えるようにすることのほか、正社員と同じような教育訓練を受けさせることも義務付けられるという。そんなことは初耳だった、というか私は改正派遣法について詳しく派遣会社から聞いていない。交通費が出るという話も、自分から聞いて初めて答えてくれたのだ。法律が変わることで具体的に働き方や待遇がどう変わるのかという説明は受けていない。もうすぐに4月になるというのに、派遣会社はなにをやってるんだ?まだ準備が整ってなくて具体的に話せないのかもしれないが、最低限、4月からこういう法律が施行されて、こういうところが変わる、という話だけでもするべきではないのか。しかし派遣会社にそんなことを期待しても仕方あるまい。今まで多くの派遣会社で働いてきて、「この派遣会社は素晴らしい」なんてところはひとつもなかった。どこも似たようなものだ。向こうの損になるような情報なんてくれない。こちらから動かなければなにもしてくれない。たとえば時給アップの交渉だって、こちらが何度も営業に交渉しなければ動いてくれない。スタッフのことなんかよりクライアントである派遣先の顔色ばかり窺っている。派遣会社とはこういうものだ。ならば自分で調べるほかはない。と思って調べてみた。
すると驚くべきことがわかった。通勤交通費だけでなく、退職金も出るようになるというのだ。もちろん勤続年数が少なければ出ないのだろうし、派遣先によっては退職金制度がないところもある。けれどそうした場合でも、退職金を前払いで時給に6%分を上乗せした額が支払われるという。もしその制度が適用されるなら、私は100円以上時給が上がる計算になる。また、「同一労働同一賃金」ということで、同じ仕事をしている正社員の賃金と同額が支払われることになる。しかし派遣会社によっては別の計算の仕方で支払われることもある。このへんが少しややこしい。私の派遣会社はたぶん後者のほうだろう。もし同じ仕事をしている正社員と同額になるのだったら、明らかに収入は上がる。けれどまるきり同じ仕事ではないし、自分がやっている業務をどうやって見える化するかということが大事だ。同じ待遇にしてもらえないのだったら、もっと業務を減らしてもらう必要がある。自分の損にならないよう、法律が施行される前に情報を調べて、派遣会社に突き付けなければ。そうでないとうやむやにされてしまう。派遣会社は自分たちが損しないようにと必死だ。
こんなとき、ほかにも派遣社員の人がいたらいろいろ話せるのに。派遣社員が会社に私一人だけというのは心細い。孤独な闘い。
ほかの正社員に比べて私は能力も学歴も経験も劣っていない。ただスタートが派遣だったというだけで、ずっと派遣の扱いのままだ。ある時期にたまたま正社員を辞めてフリーになり、以後派遣になって年齢が上がってしまったというだけで、もう正規雇用は難しくなる。不公平とは思うけれど、こういうものなのだ。ほかの正社員の人は皆、一度も派遣になったことはなく、ずっと正規雇用だった人たちなのだから。さんざん不公平感を味わい、正社員の人は考えもしないような差別もされてきた。待遇の違いにしたって、正社員の人からすれば信じられないだろう。たとえば私の手取り額とか、通勤交通費が支給されていないことを正社員の人が聞いたら、びっくりしてしまうだろう。なんだかんだといっても、人はお金で動く。改正派遣法により、少しでも待遇が良くなることを祈る。けれど、それを実現するには、派遣会社とやり合ったり、またいろいろあるのだろう。こちらから言わないと動かない派遣会社に対し、「法律ではこうなってますが、これはどうなりますか?」とかいちいち確認しないといけない。面倒だ。ああ、正社員ってこういう苦労がないというだけでも気楽だよな。あれこれと気を揉まずに仕事のことだけ考えていればいいんだもの。派遣ってなにかと気苦労が多い。ほかにも派遣社員がいればそれを分かち合ったり愚痴を言い合ったりできるが、それができないのが辛い。