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『職業遍歴』#29-2 カタログ編集の仕事でギックリ腰に

筆者が過去に経験した「履歴書には書けない仕事(バイト含む)」を振り返るシリーズ第29弾。今回は、ライフスタイル系のカタログの編集をやっていたころのお話です。

29. カタログの編集

ライフスタイル系カタログ編集の派遣の仕事を始めた話をこちらに書きました。↓

今回は私がこの会社でどんな仕事をしていたのかをもう少し具体的に書いてみます。

この会社は10時から19時の勤務で、時給は1700円。まあ標準的でした。主な媒体は2つあり、2つのチームにそれぞれ10人ほどの社員や業務委託の人がいて、派遣社員が一人ずついました。ライフスタイルにまつわるカタログなのでチームは全員女性でしたが、チームリーダーだけは男性でした。不思議です。女性ばかりなので、とにかく賑やかでした。

仕事内容としては、まずは担当ページのコピーライティングです。よくカタログにあるキャッチコピーとか、短めの本文コピーを書きます。ただ書くだけでなく、食品系だったので、ひとつの商品につき栄養表示の紙を別途プリントアウトし、書かれているコピーに間違いがないことを示すため該当部分にマーカーしたりなどの面倒な作業が必要でした。

あとは写真を選び、レイアウトを書きます。レイアウトは割付段階で決まっているのですが、デザイナーに出すために、専用のレイアウト用紙に手書きで書いていました。レイアウトは写真の大きさとか文字が入る位置とかを記入するものですが、いちいち細かいフォーマットがあり、それに基づいて書かないといけませんでした。面倒だったのは枠線が入るとか入らないとか、その線の種類によってマーカーの色を変えたりしないといけなかったことです。

コピーとレイアウトと栄養表示の紙はセットで社員の方に提出し、チェックしてもらいます。修正が入ったら修正し、入稿します。

そのほかに割付作業がありました。正式な割付は社員の方がするのですが、私はその前段階の作業をする必要がありました。割付作業は決まった端末でしかできず、時間も17時以降しか使えません。つまり、17時から19時までの二時間しか割付作業ができないということです。それは毎週あり、2~3日で終わらせる必要があったので、その作業がある日は17時から19時までほぼその端末で作業をすることになります。

この割付事前作業はめちゃめちゃ細かくて面倒でした。この会社では基本的にはこれを派遣社員にやらせているようでしたが、もうひとつのチームの派遣社員(私と同時期に入社)はどうやらこの作業ができなかったらしく、免除されていました。そのかわり取材とかの仕事をしていたようです。私だって割付作業なんかより取材の仕事がしたいです。できない人は免除され、できる人には面倒な仕事が押し付けられる。不公平だと思いました。

そこで私はチームリーダーに、自分は取材とか編集の経験があるので、そういう仕事をさせてほしい、とお願いしました。このときは割付作業を免除してもらって取材や編集の仕事をさせてほしいと言ったつもりでしたが、チームリーダーは私がこのように主張したことで私の仕事に余裕があると勘違いしたようでした。やっぱり派遣が自ら「この仕事をやりたい」みたいなことを主張するのは不利になります。派遣先からしたら派遣社員にこういうふうに言われると、「手が空いているのかな、じゃあこれもお願いしようかな」みたいに思ってしまうようです。

それで私の仕事はどんどん増えていきました。割付は免除なんてされませんでした。別媒体の仕事も入ってきました。そちらも面倒極まりない仕事でした。さらに私がやらせてほしいと言った編集の仕事も入ってきます。が、すでにパンパンの状態で編集の仕事を入れられても・・・という感じでした。が、自分からやりたいと言った手前、断ることもできません。

パンパンになっているところに、さらに別の人の担当ページをやってくれないかという打診がありました。どうやらその人は家庭の事情でしばらくお休みするとのことです。私は断りましたが、ほかにやる人がいなかったようで、結局別媒体の仕事のほうを減らしてもらうことでこの仕事を受けることにしました。それでも業務量が増えることには変わりありません。

業務量が多くなってしまったので、私はチームリーダーにメールをして調整をお願いしました。チームリーダーは「調整します」とは言ってくれたものの、実際に動いてはくれませんでした。私は相変わらず割付やら別媒体やらの仕事をやりながら担当ページを回していました。

チームリーダーが対処してくれなかったのは、私が毎日定時で帰っていたからだと思います。私は毎日細かく時間ごとにスケジュールを立てて仕事をし、定時までで終わるようにしていました。私は過去に長時間労働を経験して以来、「残業=悪」という概念が根付いてしまいました。時間内に仕事を終わらせ定時で帰る。こういうマイルールができていたのです。実際、多くの派遣先では派遣社員の残業は推奨されていません。しかしこの会社は違いました。社員はもちろんのこと、派遣社員でも残業している人はいました。この会社においては未だに「残業している=仕事をしている」と評価する傾向があったのかもしれません。

ですので、毎日定時で帰っている私が「業務量が多すぎる。調整してほしい」と言ったところで、「は?定時で帰ってるじゃん」という感じだったのでしょう。私がどんなにがんばってアップアップの状態で大量の仕事を時間内にこなしているのか、わからなかったのでしょう。残業をしてるか定時で帰ってるか、外側しか見てないのです。どんなに大量の仕事をこなしていても定時で帰っていれば「余裕があるんだな」と思われ、だらだら仕事して残業している人のほうが「仕事量が多い」と思われてしまうのです。

それでも真面目で責任感の強い私は任された仕事をきちんと回していました。が、身体が悲鳴を上げました。私はある朝突然ギックリ腰になり、自力では起き上がれないほどになってしまったのです。

続く




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