映画『ブルーピリオド』にそなえる
2年ほど前になるだろうか。いつもお世話になっている美容師さんからすすめられたのが、『ブルーピリオド』だ。その美容師さんとのつきあいは長く、かれこれ20年以上だ。美容室にいるあいだはお互いそれほど口数が多くないが、料理のこと、映画のこと、漫画のこと、音楽のこと、展覧会のことなど、共通の趣味の話をポツリポツリと話す。
そんな美容師さんがすすめてくれた『ブルーピリオド』だが、本屋で手に取ってみると、それほど私の好きな絵のタッチではなかったので買うことはなかった。それから1年近く過ぎブックオフの前を通りかかったとき(家から徒歩圏内にブックオフがあり、その道は月に一度、ピアノの先生のお宅へ行くときに通るのだ)、そうや、ブックオフでなら安いし買うのもいいかも、と思い立ち、とりあえず1巻から3巻まで手に取った。レジでお会計をしようとしたら、
「1,430円です」
え?1,430円?私はブックオフではコミックスは100円、高くても200円だと思っていた。そう言えば、息子たちが小さいころに行ったことがあるだけで、最近は本を売りはしたけど買いはしてなかった。そうか今どきはそういう値段なんや、そうか、そうなんや、お金を払うほんの10数秒のあいだに、とりあえず3巻までにしといてよかったと安堵した。
ところがだ。読み始めたら、熱中した。さすがつきあいの長い人は私のことをよく知っている。1,430円は大変な値打ちだ。そしてそのことを、息子と同じ年頃の友人(某ハンバーガーチェーン店で主婦パートとして働いていたときにいっしょだった当時女子大生で、今も交友関係にある)に話したら、
「ぜひ7巻までは読んでください。絶対好きだと思うので」
とのこと。この友人も10年以上のつきあいで、私の好みをよくわかってくれている。そうか、それなら7巻まで買わなくては、そう決心したのが去年の夏。だったのだが‥‥。
なんだかんだ他のことに気を取られ、今年に入って半年も過ぎたころに知った。なんと実写版の映画になるんだと!これは何がなんでも見たい。そして何がなんでも、7巻まで買わねば。
というわけで先日、ピアノの先生のお宅に行く前にブックオフに立ち寄った。5巻と6巻しかなかった。前はズラ〜っと並んでたのに。そうだ、ないやつは本屋で買うのだ、そう決心し、帰りに本屋に寄り、残りの4巻と7巻を買った。
そして、1巻から続けて読んだ。そして思った。
努力は裏切らない。才能があろうがなかろうが、努力なくしては人は成長しない。そうだ、私も努力するのだ。朝から晩まで時間のある限りピアノに向かい続ければ、ジャズピアノも弾けるようになるかもしれない。
そんなことをエアコンの効いた涼しい部屋で寝っ転がりながら思っている。無理だな。こんなんだからいつまでたってもジャズピアノが上達しないのだ。
あぁ映画楽しみだな〜。
私は凡人だ。