いつまでもスタートアップ!?持続可能な事業化と撤退のライフサイクルとその構造とは
ROLLCAKEでは既存サービスの運営と並行して新サービスの創発に取り組んでいます。
前回はアイデアの種が生まれる仕組みとその実績をデータを交えてお伝えしました。
今回はもう少し具体的なところに踏み込んでいきたいと思います。特に2022年頃から一定の体系化がなされたプロセスがあります。その中でもわたしがユニークだと感じている事業発足の仕組みと、一般的にはかなり難しい決断が迫られる事業撤退のプロセスについて一般論と比較する形でご紹介しようと思います。
毎度申し遅れました。ROLLCAKEのHRを担当しているOKANOがお伝えします。
一般的な事業の発足〜撤退
日本でよく見る事業発足のプロセスは、ビジネスアイデアの構想から始まり、市場調査やニーズ分析を綿密に実施して成功確率を高めるための努力をしていくパターンがオーソドックスではないでしょうか。
この段階で競合やターゲット市場を見定めリスクの解像度を高めて、事業計画書(ビジネスモデル、収益予測を含む)を作成し、マーケティングを含め事業戦略を明確化。
ようやく事業の方針が確定すると、資金調達(銀行融資、エクイティ、助成金etc)、人材確保に進みサービスの開発及びリリースを行ってようやく顧客にサービスが届き始めて事業運営がスタートすると思います。
そして事業撤退のプロセスは、撤退の決断から始まるでしょう。撤退することを前提に事業を開始する人はいませんから、なおのこと難しい決断が必要になるのではないでしょうか。
事業撤退は経営状況や市場環境の変化を踏まえて実行されることが一般的かと思いますが、明確な判断基準が無いために判断時期は後ろ倒しになることが相対的に多いように思います。撤退計画の策定の後に、計画に沿ってメンバーやパートナー(取引先)への影響を最小化した手順で手続きを進めていくと思います。
ではROLLCAKEではどのようなプロセスになるのか?早速見ていきましょう。
ROLLCAKEにおける事業の発足〜撤退
事業発足までは前回の記事でも触れていた「アイデア研究会」が最初のステップです。
そこで審査員の評価(社内の共感)を得たアイデアの検証に移ります。
検証ステップは主に2つの点を確認していきます。
アイデアの価値検証
アイデアのMVP検証
まずアイデア研究会で評価をされたアイデアがもつ価値は、実際に利用するユーザーにとって想像通りに評価を受けることができるのか?を独自のプロセスで慎重に確認します。
このステップで想定通りの反応を確認できたらMVP(Minimum Viable Product)検証に移ります。
ユーザーの反応を踏まえて、文字通り必要最低限の機能を備えたアプリ・サービスをリリースして一般の方に使ってもらいます。
そして、MVPのリリース後にはユーザーから頂くさまざまなフィードバックに加え、当初想定していた仮説とマッチしたデータが取得できているかを観察します。
こうして期待通りの価値提供が出来そうだという確認ができたら、実際に事業化するために取締役会で提案を行います。
そこで承認を受けて改めて事業部 or 子会社としてサービス提供に向けた活動を開始します。そして、事業発足後は後述する仕組みを活用して、事業の成功確率を高める努力をしていきます。
どうでしょう?一般的な話と比べてもROLLCAKEのプロセスは起業するケースと似ているようにみえませんか?
プロセスの引き算をしっかり行い、最も効率的と考えられるプロセスを歩もうとするのが特長だと思っています。
そしてよく質問を頂くことにも触れておきます。
「アイデア研究会から事業発足までの期間」については、サービス内容によって変わりますが最短3ヶ月の検証に加え、実際の事業部化・リリースまでプラス2-3ヶ月のトータル半年ほど、長くても1年ほどです。
事業の撤退
そして、一般的にも難しい決断が迫られる事業撤退についてです。
ROLLCAKEでは明快な仕組みとして仮想資本金制度(後述)を活用しています。
これによって判断時期を見誤るリスクを軽減しています。改めて触れますが、事業の撤退を前提に事業運営を開始する人はほぼいないでしょう。
ともすると、確証バイアスのもとで次々に事業の継続を前提とした行動が実施されていく光景をご覧になった方もいると思います。が、現実的なリソースが枯渇する事を踏まえるとこの行動が抑制されるのです。
事業撤退自体のプロセスは一般論と同様に進めていくことになりますが、そこまでの判断はとてもシンプルな構造で運営しています。
ライフサイクルを支えるユニークな構造
仮想資本金制度
事業発足のタイミングで運転資金を取締役会で決定し、その原資をもとに事業責任者 or 子会社代表は事業運営を行っていきます。
運転資金なので、この資金が枯渇しない限りは事業運営を続けていけるのですが、アイデア提案者を含めたチームの人件費に加えて他にも多様なコストがかかります。ゆったりと身構えて取り組めるほどの潤沢さはなく、かといって初日から冷や汗がでるほどひりついた水準でもなく、検証プロセスで実証してきた仮説検証を完走できるような金額設定を行っています。
この点はCXOの伊野のポストでも触れています。
一方で増資を提案することもできます。増資提案に足る仮説をもって取締役会で決議をうけることができれば継続するケースもあります。
適切に決断のタイミングを設け、データだけでも、定性的な面だけでもなくその双方をしっかりと吟味して決断している点はユニークなところだと思います。
事業レビュー会
ROLLCAKEの事業運営では主にアイデア提案者が事業責任者となって活動していきます。その事業責任者へ大胆な権限移譲を行うため、こと事業運営においては経営陣の決裁手続きをショートカットしたスピーディな施策の意思決定を実践できます。
そして、こうした施策の評価は市場からうけるわけです。さらにこれに加えて定期的に経営陣からの事業レビュー会を実施しています。
事業運営上の状況共有を踏まえて課題設定やソリューションの発掘の伴走を行う場として活用されています。
それぞれが優秀な人材でもある事業責任者ですが、事業に向き合うほどに視野が狭くなっていくという構造上の特徴があるのも事実。こうした視野を広げる機会を定期的に得ながら進むことは事業成長だけでなく人的成長にも寄与しているのではないかと思います。
成功確率を高める"機能"を提供する仕組み
ROLLCAKEには事業の成功を支える仕組みも用意されています。事業を持たない組織体系を「室」として運営しているのですが、その各々が強固なサポート役として日々躍動しています。前回の記事でLABO室に触れましたが、その他にも「CS室(サポート室)」「マーケティング室」「CE室(コーポレート室)」があり、それぞれの特長を活かしたサポートを行っています。PMFにむけて必要不可欠な仕組みではありますが、詳細はまた別の機会に紹介しようと思います。
まとめ
独自に振り返りと改善を重ねてきた結果、現在の事業発足及び事業撤退のプロセスにたどり着いています。
これから先も振り返りを続ける事で、プロセス自体もアップデートしていくことになると思います。
その根底にはROLLCAKEのメンバー向けに設定している体験設計書があります。
こうした取り組みも体験設計書の内容を照らしながら運営しています。それによってメンバーが大きくチャレンジできて、チームで成功していくというポジティブループを回し続けていけるように今後も取り組んでいく予定です。
※体験設計書の詳細についてはこちらの記事もご覧ください。
We are Hiring!
ROLLCAKEではアイデア創発の中心で活躍したいLABO室のクライアントサイドエンジニア(iOS or Android)のポジションを絶賛募集中です。
体験設計書を使ったユニークなサービス開発にチャレンジしたい方はぜひエントリーください。
それぞれ以下のリンクからご覧頂けます。
最後となりましたが、ここまでお読みくださりありがとうございました。
次回のお話もお楽しみに。