お絵かきハニー
密度のある青だか茶色だかわからないけど、
パレットからペインティングナイフで掬おうとした絵具は
絵具を食べに来たゴキブリだった。
ゴキブリって絵具も食べるの。
夜中の車庫、懐中電灯とアウトドア用品のライトでテラスキャンバス。
気がそれるまで全然気づかなかったけど、足元の暗闇に目を慣らせば黒くてテラテラと光るゴキブリが3、4匹いる事に気がつく。夏の夜中は少し賑やかで仕方がない。
描いていたら朝になって、崩れるみたいに車庫のコンクリの上で昼まで寝た。
昼になって家に帰ってシャワー浴びて寝て、夕方のチャイムで目を覚まして、ご飯食べて車庫に行く。もうゴキブリが先に絵具たべにパレットの上に来てんの。
誰かが食べくさした絵具でまた続ける。
夜中に外で描いてたら自販機の光に親近感が湧いて、普段飲まない炭酸飲料を買う。飲み物がガタンと落ちる音が真夜中の街に静かに響く。
いつも絵具まみれで行くコンビニ、夜勤の店員に顔覚えられちゃった。あんまり夜中にアイスとか炭酸飲料とかよくないんだよな。一夏で4キロ肥えちゃったんだから。
少しの狂いで体の形が変わっても、美しいもの見たさにやめられないね。自分が思うラグジュアリーさを纏って、ロマンチックなセンチメンタルをやる為にパレットに命の色、深夜の友達、逆をゆくリズムが必ずそばにいる。