亡霊たちは
わたしは恋をしたのだけれど
君をしりたいとはおもわない
わたしは失恋をしたのだけれど
うしなうほどの君をしらない
走馬灯のように
シーツのなかをめぐる星たちは
すこしのカケラも残さない
亡霊たちはいつでもやすらげる言葉がほしいから
いつでもやさしいふりをしてあげる
そぶりや しぐさで甘くなった亡霊たちを
味方につけて汽笛の夜
誰よりも賢く、臆病な人ほど、
自分をあざむいてしまえるのならば
未来ほどの味方はきっといないね
誰かが、悪魔だと言いさり
誰かは、笑う
いけないことだ と、うなだれ
上向きの午後に どうでもいいよ と
また眠る
わたしはいつでも守られていたいから
自らを抱き
わたしはいつでも触れていたいから
胸をはる
いつでもどこにもより憑けない亡霊たちは
賢くも強くもないよね
コップ一杯分の絵文字を噛み砕き
きょうはこの顔でいようと、飲み干した