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日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション ひとりの精神科医が集めた日本の戦後 東京都現代美術館



高橋さんの個人年表がおもしろい!

というわけで、近年寺田倉庫でも開催されていた高橋龍太郎コレクションの拡大版というか、ついに総本山の現代美術館で開催。

現代美術館2フロアで開催である。
現美に訪問したことがある方は、広さ、物量をお察しください。公式にも2フロアの覚悟が載っている↓


日本の現代美術を中心とするコレクションとしては世界最大級の高橋龍太郎コレクション。本展は、その3500点あまりにのぼる巨大なコレクションから選りすぐった作品で総覧する、日本の現代美術史の入門編でもあり決定版ともいえる展覧会です。個人が収集するスケールを軽く凌駕するダイナミックな作品群で、東京都現代美術館の展示室を2フロアにわたり埋め尽くします。

東京都現代美術館公式WEBサイトより


2021年の横尾忠則展以来の物量なんじゃないかと。

コレクションの経緯


高橋さんの年表と照らし合わせながら見れたら最高なんだろうけども。
地下の入口にある年表、入場前に撮っておけばよかった。
本格的に収集を始めたのは1997年ごろ。東京都現代美術館が開館して間もない頃だ。この年表には「開院したクリニックが赤字に」とかけっこう包み隠さず書いてあったりおもしろいのだ。

あ、面白いという作品



本当にここ30年が一通りあるな!という中で、今後面白そう!と思ったのはSIDECORE。
工事看板のネオンを絡めた作品や映像などまさに「路上」なのだ。

いいなぁ、もうこれ今和次郎から赤瀬川さんなど脈々と続く考現学&路上系統の延長線上にある。
もちろん、現代風で、映像の撮り方とかものすごくかっこいいのだけども。そして路上だけに留まらず地下まで。
工事のネオンとか、カラーコーンとかその役割以上に造形が確かに惹かれる。

そういえば、数年前路上にある「止まれ」の文字だけひたすら写真に撮っていた事があった。カメラロールを辿るとなんだか、道路の写真ばかりの時期があった。標識とかマークとか面白い。


ただそこにあるのに、面白い。路上系の作家の作品に惹かれるのには納得している。

しかし、例えばChim↑Pom from Smappa!Groupも路上や都市を起点とする作品を作ることもある作家だが、作品を見た時、自分に高揚感がない。
何でだろ?とよく考えるのだけど、出発点(例えば路上や都市)の興味関心は同じかもだけどアウトプットされた物が単純に自分には響かない。
ただそれだけの事なんだろう。
好み、の問題。ただそれだけ。


うーん、SIDE COREはもっと見たい!と思っていたらタイムリーにワタリウム美術館で「SIDE CORE展」を開催である。絶対見る。
→見て来た。ものすごく面白かった、また後日レポする。


あと、もう一つ、路上の作品。
反射板を利用した作品。これは圧巻だった。

ギラギラー!
鈴木ヒラク 「道路」
接近すると宝石の様相。
ガードレールにある、アレなんだけども。

ぎゅっと詰め込まれる、村上隆、山口晃、奈良美智などなど


近年個展が開催されすんごい入場動員数を出した作家たちも、ここではみんな同列に扱う。面白いな。

山口晃
狭さが伝わるか


作品の物理的サイズの問題だけども。

小部屋にギュギュギュっと詰まっている。
村上隆に至っては初期のタミヤ系が展示されていた。
そうかー。ここから収集してるのかー。これ東京国立近代のここ数年の新所蔵品にもなっていたけども、だれかが手放したのか。

村上隆 ポリリズム



なんて思いながら、頭上を見上げるとDOB君が見下ろしている。
昔、この現美で初期作品の展示を見た時のことを思い出したがそれ以前から蒐集していたのだろうか。

ボワーン

今は平気で見れるけど、当時展示室から出てきてまさにオエェっとなってしまったことを思い出した。
まさに胸焼けとか車酔いとかそんな感覚を体験したんだと思う。

村上隆に限らず、10代の頃は現美の展示見終わるとヨロヨロ&胸焼けはしていた気がする。草間弥生&アラーキーと組み合わせ同時開催とか、森村さんや森万里子さんの個展の時とか。
それが陶酔なのか、胸焼けなのか、ただの年齢的強刺激の問題なのかわからないけれど。

現代美術大量摂取のオーバードーズか。

物量的に攻撃してくる東京国立近代とは少し違う刺激だった。

「反芸術アンパン」に載っていてた「最終的に読売アンデパンダン展という坩堝が爆発する」感じ、なんとなく理解できる気がする。


でもそういう体験をしながら、「これ好き」「ジワジワくる」「あ、無理」とか自分の感覚を育てるのに一役買ってくれたのだろう。
何が好きで何が苦手なのか曖昧な状態より、ある程度分かった後の方が自分は生きやすかったから。
もちろん、昔好きだったものが苦手になってしまう場合もあるし、拒絶してたものが受け入れられることも起きる。美術に限らず。

まぁ人間なんていい加減で良い加減なんだろう。
見る側の状況によっていとも簡単にかわってしまう。

美術品は同じ状態でそこにあるのに。



展示室が狭い問題


しかし…展示点数の多さから現美の広さが全く活かせておらず…
もっとどうにかならなかったかい?

いろんな作家の作品が入り交じるのは覚悟の上、衝立を乱用せずに展示してもよかったのでは?とも思うが…難しいか…

導線に対してわりと鑑賞者は多いのでどうしても狭っ苦しい感がありそこは残念だった。あんなに広い美術館なのに。
東京国立近代美術館のガウディ展を思い出した。
メインビジュアルのように倉庫的な雑多な雰囲気でも良かった気がする。

こんな感じで倉庫に保管されているのかな。


5時間コース


さてこの日は3本立て計画の日だ。
開発好明展→お昼ご飯→高橋龍太郎コレクション→おやつ→コレクション展示室→NADiff
現代美術館5時間コースである。
「二階のサンドイッチ」でおやつを食べてコレクション展示室へ移動する。ソフトクリームを与えたので子供達もまだ元気だ。
「美術館図書室にいてもいいよ(子どもがくつろげる場所がある)」と伝えたが一緒に回ることとなった。

次、行ってみよう。

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