見出し画像

【あなたの得意な科目は?】ワールドクラスルーム 森美術館開館20周年記念


5月24日鑑賞

まず、森美術館に所蔵品があったことを忘れていた。
コレクション展示室と言う名の部屋は常設されていないので(展示室の出口の方にたまーに展示があったりするが)、所蔵品、コレクションという概念がなかったのだ。六本木周辺の美術館はそういうもんだと思っていた。
お隣の国立新美術館もコレクションを持たない美術館である。

でも、ちゃんとまとまったコレクションを形成していてそれが自分にとってドンピシャの時代のものも多い(70、80、90年代の現代美術)
今回のような展覧会は開館20周年記念とういうことだが
ぜひ年に1回は所蔵品を展示する機会を作って欲しい。
あわよくば、新所蔵品展、なんかも期待している!

で、今回は所蔵品を中心に国語、算数、理科、社会という’学問の切り口から展示してみようという試み。(作家蔵から出展もあり)

【おお!という作品】

アイ・ウェイウェイ
面白さ、というならばアイ・ウェイウェイ氏の作品である。
2009年に森美術館で個展もしていたのですね。
骨董品、もしくは文化財を落っことすという…なかなかパンクだな。
というのとこれが社会の項目にあるというのはシニカルというか皮肉というか。
先日見た蔡國強氏もそうだが、彼らのバックグラウンド、そしてこの状況の中で芸術という道を進んだ人の作品は強い。


コーラロゴの壺


宮島達男

こちらは哲学という項目。
東京都現代美術館のコレクション展示室の最後飾るあの真っ赤な作品と近いものを森美術館が収蔵していたとは。
好きなシリーズでもあり、あー目が疲れなかればずっと見てたいのにな、といつも思う。


数字一つ一つも小さいサイズ
現美のミニサイズ版



違うスピードでカウントされていく無数の数字達。
そんな単純なことなんだけれどなぜ見続ける事ができるのだろう。この作品に会いたいと思うのだろう。
そんなことを考えながらぼんやり眺めるのか好きなのかもしれない。


しかし今回展示室が個室っぽく結構狭くてですね。。。
もう少し広いところに置けなかったのか、と。
色が色だから他の作品に影響してしまうから仕方ないのもわかるのですが。

宮永愛子

きました!ナフタリン!
これは定期的に展示してほしいなと思う。
今後この物質がどうなっていくか自分の目で展示室で確かめたい。
展覧会の後期にも確認しに訪れたらよいだろう。
まさに科学よな、と思ったがやはりサイエンス、理科の項目に展示がありました。納得。


実際に履かれていた靴から型取りされている。
少しずつ結晶化されケース側に付着
実験室みたい



消える、というより形を変えていく。

時間の経過を感じる美術作品というのが面白いのだ。
美術品=収蔵されたら不変的なイメージをもたれやすいが、そうではない作品もある。

ジャカルタ・ウェイステッド・アーティスト

古い看板を掲げる店舗に新しい看板のデザインを提供しつつ、古い看板を収集していくというプロジェクト。

看板に興味を持つ、それを作品にする、ってそれも考現学とか路上観察学じゃないですかー!!
好きです、こういう作品。

ああ、アジアだなぁ。
右端の入れ歯?っぽい看板が気になる

ボンカレーとかオロナミンCのホーロー看板が、リアルタイムでブロック塀や商店に貼られていた街で暮らし、そんなものがなんとなく好きだった自分としては、看板が作品になっているのを見るとぐっと来てしまう。
残したくなる気持ち、郷愁やいつも目にしている風景への執着って、もしかしたら国は違えど同じなのだろうか。



アジアの現代アーティストの作品群が目立つ森美術館の所蔵品コレクション。
これはあまり類似を見ないとも感じるし、面白さがを堪能できた。
混沌とした作品を52階の高層ビルにいかに展示するか。
そう思うと、この美術館の意味や意義も少し見方が変わってきそうだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?