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【究極の再利用施設】インターメディアテク

施設の概要は…

KITTEを運営する日本郵便株式会社とミュージアムのあり方について研究を続ける東京大学総合研究博物館が協働して、現代社会におけるミュージアムの役割を追求すべく創設された公共貢献施設です。
公式ホームページより


と、読むとお堅い最先端ミュージアム施設の様に思えますが…果たして実際はどうでしょう。今回最初はある特別展示物目当てで立ち寄ったのだ。それも素晴らしかったが、まず施設の話からまとめておく。

まず入り口にあるひたすら不思議なステンレスの立体。東大だから素材的な展示かな、と思ったら脇の解説に記載される田中米吉氏の解説と笑顔の写真。

チーズみたい
米吉氏


あ、この人!埼玉県立近代美術館の建物にドゴーーン!!!と四角柱ブッ刺したあの人では?なぜここで会うのか。

これやった人よね?
パワー!

あれ?ここ美術館じゃないよね、とちょいと頭が混乱しつつ施設を巡る。

【なんだか面白い施設】


いや、ただ見てるだけでは面白くない、博物館だし、妙にアカデミックだし。
そして展示物自体もさほど珍しいものでは無いのかもしれない。骨格標本とかは科学博物館だって見れるわけで。
しかし展示室の雰囲気が重厚なのだ。

なんというかこう…海外の博物館で見た様な…オルセー美術館みたいな、一続きの空間。最近の例えならハリーポッター的な感じと言えば伝わるのだろうか?見てないけど。

開館10年の新しい施設はずなのになんかものすごく時の経過を感じる。なんだろうこの違和感。展示室の演出としてだけではない違和感なのだ。
(後述するがその違和感に気がつくとものすごく面白い)

【ギメ氏の寄贈コレクション】

奥に進むと近代期にウルトラマリンブルーの人工顔料を作る事に成功し財を得て考古物蒐集を行ったギメ氏のご子孫から東大への寄付品の展示。ポツンと置かれるブルーの顔料瓶の脇に解説があった。
「ギメ氏の生産した人工顔料はギメブルーと呼ばれ…」
おっ?きな臭くなって来たぞ?ブルーといえば??あの人が頭によぎり始める。
解説を読み進めると「後にこの顔料に深みを加えた青色がイブ・クライン氏のクラインブルーとして登録される」
ほーら、ビンゴ!きたきた!
この施設、そこはかとなく現代美術家の名前が見え隠れするのだ。

見学中、白衣の様な制服(いかにも研究者っぽい)を着た係の方とすれ違ったので、堪らず先程から気になっていた「違和感」を尋ねてみた。
そしたら!
大変面白い話を次々と聞くことができ旅をした気分。楽しそうに色々話してくれた係の方に感謝しかない。

尋ねたことはまず、什器について。

ギメ氏の展示物の解説にも什器(じゅうき。ショーケース)について解説があり、展示物じゃなくて什器の記述って意外だな?と思っていたのだ。
で、ある展示什器の足の下に銀色のテニスボールみたいなものが挟まっているのだ。なんだこれ?免震的な?地震対策?
で、係の方に聞いたら

「こちら、ケースが低くて見づらいので高さを揃えるための措置なんです。このケース類、昔の東大で実際使用されていたもので…この施設展示物より寧ろこのケースの方が面白いかも知れません。展示物に関しては「かつて」使用されていた研究素材で現役を終えており、そのもの自体はそんなに珍しい品でもないのです(それでも100年近く前の標本などそれだけで十分時間的価値あると思うが)」

ひえー!なるほど!
古いキャンパスを建て直したりする際に不要になった古い什器たちをこの施設の展示ケースとして再利用しているそうだ。
ガラス什器のガラスも当時のままだったり、「昭和○年○番」と記載の備品シールが貼ってあったり。

なるほど、空間全体を包む経年感の理由はこれか…。

【東大以外の什器も】

中には現在は機密性の問題でもう使用できないが、かつて東京国立博物館のショーケースだったものも現役を終えてここにある、という什器も。

なにその熱い展開。

「ここは什器の博物館でもあるんですね!」と言ったら「そうなんです〜!」とさらに色々教えてくれた。
・上の階にある展示ケースはかつての耐火書庫に実際に使用されていた剛鉄の本棚の再利用
・備品1号はお雇い外国人教授のために作った特注デスク。
・ここは日本郵船の仕分け部屋だった場所。床の素材は当時のままのものを同じ順序ではめ直した。

うわー!面白い!!!!!
ケースを覗き込み資料を見る。100年も前の人も同じ什器を覗き込んでいたのかな、と思うと堪らない気持ちになる。

さて、ひと通り解説を聞き盛り上がり、お礼を伝えて残りの展示へ。
お、エジプトっぽい何かがある。

壊れかけのホルス…

うーんなんか鳥の足の間に人間の足がチマっと見えるけどこの彫刻、不思議だな…
考古学的な目的で蒐集したんかな?
と解説を読んだら「若林奮氏 所蔵品 若林○○氏寄贈」の文字。

具体と抽象

え、若林奮さんの名前が何故ここに!なんだこの全体を通しての現代美術の匂いは…

【過去の展示のポスターアーカイブコーナー】

帰り支度をしながら化粧室に立ち寄ったらその壁一角に過去の東大総合研究博物館での展覧会ポスターの展示会が。
「01'真贋のはざま デュシャンから遺伝子まで展」
デュシャンから遺伝子までっつったって幅広くね??と思ったら見覚えのある千円札の画像があるではないですか…来ましたよこれ。

展示内容に模造千円札の話が。




そうか原平さんの千円札、東大まで行って研究されたのかー。
法学部も最高峰だしなぁ。
芸術裁判として判例だものな。
美術館だけにとどまらなかったんだなー

というか、この展示、今みたい。
めっちゃ面白そう。

美術大学でないからこその視点で展覧会をしていたのだな。。。
最高峰大学とは知ってはいたけども個性が強すぎ。
面白すぎる!!!

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