ルートヴィヒ美術館展 20世紀美術の軌跡 市民が創った珠玉のコレクション 国立新美術館 2022美術館めぐり
「まだ価値の定まってない美術を税金で買うことは難しいことは理解している。」
「だから個人コレクターが買って然るべき時期に公共に公開していく。」
「個人コレクターの役割はそれだと考えている。いくらで買ったか、などどうでも良いのです。」
こう答えていたルートヴィヒ夫妻。
この考え方には非常に感銘を受けた。
投資目的にもフォーカスが当たる美術・芸術という分野。特にその色が濃くなり始めている気がする昨今。(一部の個人画廊主はそれをもう何年も前から危惧していたが)
マネーゲームじゃねぇんだよ!
と言うスタンスを持ったコレクションが来日した事に、もう十分意味があるのではないか。
そしてそれをしっかりと受け止め、打ち出した国立新美術館&京都国立近代美術館のキュレーション、素晴らしい。
さて、作品群もこれまたかなりグッとくるチョイス。特に大きな目玉を謳われておらず、でも各セクション重要な作品がフラッグとして使われていて来館者を迎える。
人それぞれきっとツボがあり、「コレだよこれ!」と思って訪れるのかもしれない。
この、一つのヒーローより全員主役感のあるラインナップでとても楽しかった。
その中でも自分は、
モディリアーニ!ウォーホォール!マレーヴィチ!キッペンベルガー!
の作品に会えたことに興奮していた。
モディリアーニの「アルジェリアの女」は黒が強く強調さらていて非常に好きだ。襟高の白シャツ×黒のプルオーバーにゴールドのネックレス。非常に今っぽいファッションも惹かれた。帰宅後画集を眺めていたら子供達に「母さんに似ている」と言われた。目がつり目だしね。笑。
ウォーホールの2人のエルヴィス、も初めて手に入れたタッセンの画集の表紙だったので何十年後に実物を見れて感激した。
あまり来日する作品を調べずに現地入りしたので、この作品があることへの驚きも味わえて楽しかった!この、ドキドキ感。こう言う静かな昂りを味わえるのも私にとっての美術館の醍醐味でもある。
初見の作品としては、ギュンターユッカーの、釘の作品は視覚への挑発の面白さを(そして洗濯バサミの誰かさんや影の作品のあの人を思い出す)ハンスアルプの「女のトルソ」は彫刻作品の面白さを存分に味わうことができた。らしさ、ってなんだろう、と。
もう一度見に行きたい、と思う久々の展覧会だった。展示の見やすさ、作品の並べ方、キャプションの文章の読み易さ、内容のわかり易さ。図録の内容の充実度。各種広報物のグラフィックデザインの良さ。
主催の国立新美術館と京都国立近代美術館のタッグ。恐るべし。