【おじさんの味わい深さ】広重おじさん図譜 太田記念美術館
先日、出光美術館への訪問時、トイレから出てきた次男(8歳)に
「お母さん!今度おじさん展覧会あるってよ!見たい」
と言われた。
比較的静寂な出光美術館で何を言い出すのだ君は??とちょっと焦りつつ
(おじさん展覧会ってなんやねん?)とツッコミたい時だけ出てくる自分の中の関西弁を抑えつつ。
そしたらトイレ脇の「他館の展覧会情報コーナー」に貼ってあった太田記念美術館のポスターが「広重おじさん図譜」。
↑写真と同じもの。
キャッチコピーは「おじさんがいっぱい」。
ひらがながいっぱいな時点で8歳男児の心を鷲掴みにしたのだろう。
毎週末、「おじさんいつ見に行く?」と聞かれたので前期のおじさんが総入れ替えになる前に見てきました。
美術手帖の真面目なSNS投稿に愛すべきモブとの記載があった。
モブ。
そうね。そういう捉え方もあるよね。
前置きが長くなった。実際見てきました。
展示の切り口
展示の分け方からまずおっかしかったのだが、
笑顔のおじさん、頑張るおじさん、食べてるおじさん…
あ、そういうジャンル分けなんだ!という。
これ面白いのは真面目に描かれているところなんですよね。
風景の一部ではあるのですが、表情等、丁寧に描き込んであり「何か」の一瞬の場面を切り取ったような。
まるで人物が映り込むことで味わい深くなる風景写真なのだ。
おじさんが描かれることで「その時」と「その後」を思わず想像してしまう。
もちろん絵、版画なので停止している場面なのですけれど
人物の動き、表情が見えるおかげで時間が流れていくことを感じることができる。
串団子を横手にぐいっと歯でしごいて美味しそうに頬張るおじさん。
もう一本おかわりするのか、喉に詰まりそうになってお茶を注文するのか。
渡し船を営むおじさん。後ろ姿だが、中洲で乗り換えの客を遠目でみつめて(さぁこっちくっぞ、ひーふーみー、何人ぐれぇかな?)と算段していそうだったり。この後姿がなんともいえなかった。
シンプルに広重の浮世絵をまとめて見れたことも収穫だった
思えば、2,3年前から北斎の作品は肉筆画から浮世絵、北斎漫画までまとめて見る機会に恵まれ、墨田区には北斎美術館もある。
現代×古典というタイトルでも取り上げられるのは北斎だった。
では広重は?というと実は単独、いわゆるワンマンを見るのは初かもしれない。(今回、他の作者の作品も何点かでている)
北斎がデザイナーなら、広重はフォトグラファーだなぁ、
とそんな印象を抱いた。
一緒に行った子どもは何を見たのか
今回、長男、次男に「おもしろいおじさんいた?」
と尋ねたところ、次男は「宿やに引き込まれているおじさん。イテテテテ!ってカンジがね!」。ポスターにも使われていたワンシーンが印象深かった様子。あと、串団子食べたくなったと言っていた。
うむ、それは便乗おねだりだね??
長男は弥次喜多道中の挿絵の、洗濯物を幽霊と見紛い慌てふためく様子の絵を、見間違いネタって定番なんだねーと。そうね。昔だったらドリフの幽霊コントのネタだよな。
二人ともミュージアムショップでおじさん絵葉書やら虎子石の絵葉書を購入していた。
子どものお財布に優しい1枚100円。
良い土曜日だった。