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身体構造の統合が、肉体のみならず、情緒的/心理的安定性が得られるメカニズムの仮説

抗重力筋(Tonic Muscle)は、主に脳幹の網様体が直接的に調整し、小脳や運動皮質がその働きを補完します。また、大脳基底核は運動の計画や調和を支えることで、間接的に抗重力筋の活動をサポートします。これらの筋肉は、重力に対抗しながら身体のバランスを維持する役割を果たし、その連携や協調性が高まることで、身体構造全体が統合された状態を保つことができます。この統合は、筋骨格系の調和だけでなく、神経系の効率的な働きにも寄与します。

ロルフィングをはじめとする身体技法は、身体構造の調整を通じて抗重力筋の連携をスムーズにし、その結果、無意識的な動きや姿勢の調整が効率化されます。これにより、全身の筋膜ネットワークの適切な張力バランスが回復し、神経回路の調和も促進されます。このような調和した身体の状態は、脳幹や小脳、大脳基底核を通じて運動機能や姿勢の安定性を高めるだけでなく、大脳辺縁系の情動や感情の処理にも秩序をもたらす可能性があります。

さらに、姿勢維持には、中枢神経系から末梢神経への一方的な支配だけではなく、筋肉がゴルジ腱器官や筋紡錘を通じて筋緊張(トーヌス)に関するフィードバックを中枢神経系に送る双方向の制御が重要です。この相互作用により、中枢神経系は筋緊張の状態を絶えずモニタリングし、動的な調整を行うことで、効率的な姿勢やバランスを実現します。

特に、身体の安定性や重力との調和が改善されると、筋膜ネットワークが適切な張力を保ち、筋肉の調和が全身に行き渡ります。その結果、身体が「安全で安心できる」と無意識に感じることで、情動が安定しやすくなると考えられます。この状態は、ストレスの軽減やリラクゼーションを促進し、さらには自己調整力の向上につながる可能性を示唆しています。

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