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シン・九州 結 拾~とある次元の物語~

結 黒船4



2024年4月6日(土) 10:08am 九州大学 知能研究室
椅子に縛られた小森助教授の目の前の床が波打つと、ウェブ男が波紋から飛び出し、足をバタつかせて天井まで飛び上がった。
続いて飛び出してきたに、研究員も戦闘員も「エッ」っと固まる。
誰よりも、小森助教授が目を剥いた。

タケルは波紋から飛び出すと、目の前に広がった研究室の風景に驚いて
「エッ? な なにココ 実空間? なんで?」

「タケルゥー!?」”どうしてココに調”の声へ目を向けたタケルは
「先生ぇぇぇ!!」”そこでしたか調”で応える。

「タケルッ ソイツは操縦型のアバターだ。本体はこの辺りのどこかに隠れてる。まずソイツの動きを止めるんだぁ」と先生が言い終わる前に
タケルは、少し上空にいるコンパン似のソイツへノイズ砲を撃った。
バァァァン
ウェブ男はヒラリとかわし、ちょこまかと研究室の中を逃げまわる。
ノイズ砲の照準が合わない。チッ、タケルは背後でこっそりと冷凍カプセルをバラ撒いた。イチ、ニー、サン
逃げまわるウェブ男の動きがピタッと止まり
「な なんかぁ」の断末魔のあと、戦闘員たちの目の前で凍りついた
タケルは、すかさずウェブ男を羽交締めにすると、戦闘員たちへ
「全員を解放しろ。逆らえば容赦しない」と、右の拳を凍りついたウェブ男の赤い複眼にあてた。
囚われた隊長と強気の猿に狼狽えた戦闘員たちは、研究員たちの拘束を解くと、ジリジリとアトずさる。そしてタケルの「さっさと出てけェェ」の声にギョッとして、たちまち部屋から逃げ出していった。

タケルは小森に向き直り「先生、さっきココのサイバー空間の封鎖は解除しました。もうKnetに繋がります」
それを聞いた研究員たちは、ワラワラとパソコンに向かう。
タケル「なんで、実空間にいるんですか、ボク?」
小森はお手上げのポーズをしながら「それはソイツに、あとでたっぷりと聞くとしよう。まずは、サイバー空間に降りて話そう」とクルッとパソコンに向かった。タケルは、羽交締めのコンパンと一緒に波紋に飛び込んだ。

接続サーバーに隠れている真っ白な豆柴犬 ヤマトタケルのすぐ目と鼻の先に、天井の波紋からさっきのが降りてきた。ウェブ男を小脇に抱えて。
そしてもう一匹が、奥からヌッと現れた。葉っぱのツリ目に、葉っぱのタラコ唇、葉っぱのハイリア耳とトンガリ鼻、そして葉っぱのリンク帽子
「なんだぁ、あの葉っぱの顔はぁ いったいどこから..」
猿「うわぁ、モーリーだ。なんかスゴイ久しぶりって感じぃ」
葉っぱ「タケシ、よく来てくれた。助かったよ。本当にありがとう。でも、よくココがわかったね」
猿「ヘヘッ 実は教頭先生がニュースで…いやいや、今はそれどころじゃ… 先生、大変なんです」
葉っぱ「どうしたの」
猿「ボクの子分AIオタケが、いま大国の潜水艦に侵入してるんですけど」
葉っぱ「な なんだって!?」ノッケから想像を超えている。
猿「細かいところは飛ばします。でね先生、いま熊本市沖の有明海に、大国の潜水艦12隻がいて、1000人の兵隊が熊本を侵略しようとしているんだって。いや、もう始まってるかも…」
葉っぱ「エッ.エッ..エッ…侵略ぅ?!」小学生にしては話がデカすぎる。
猿「どのメールだっけ…これだ…うッ 漢字が…まぁいいや

えッと、地下水のナントカで干上がりそうな大国本土をジュンすために、阿蘇のビミしい水を、熊本ごと、根こそぎナントカう侵略作戦でヤンス。
五島列島沖で動かない大国 太平洋カン隊は、九州連邦の軍と警察を、ゴッソリ首都長崎に集めるための巨大なオトリでヤンス。
侵略作戦が成功すれば、五島列島沖の大カン隊が、領土ナントカのダイギをナントカげて、熊本へ押し寄せる計画でヤンス。 だそうです」
【結 九も読んでみて】

葉っぱ「ヤンス?」所々わからないが、ザックリもの凄い状況は理解した。
猿「先生、大統領府に伝えてください。熊本を守ってください
葉っぱ「わかった、すぐに暫定大統領に伝える。僕に任せて。タケシ、君にお願いがある。ホノカくんが危険なんだ」
猿「えっ、どうしたの」
葉っぱ「私が捨てるのを忘れていた重大なメモを、この国の守護神AIツクシノシマの居場所を、そのウェブ男に読まれてしまった。ホノカくんは、ツクシノシマの防人なんだ。ウェブ男の告げ口で、なんショッカーやジャバン軍がそこへ向かってる。タケシ、ホノカくんを助けに行ってくれ」
猿「あぁ、西都市ね。あの真っ赤な山手線E235に乗ってくとこね」
葉っぱは、何も言わず首を縦に振った。「ホゥ」とヤマトタケル

「あっ」とタケルが見上げる。ちょうど、真っ赤な山手線E235の群れが、サイバー空間上空を駆け抜けていく。
猿「ボク、前にあれに乗ったことがあるんだ」そういうと、ウェブ男をポンと葉っぱへ投げて「行ってきまぁす」と、遥か上空へ飛び上がり、真っ赤な山手線E235の一両に飛び乗った。
どんどん成長していく教え子を頼もしく眺めるモーリー。
その背後で、接続サーバーから真っ赤な山手線E235に擬態したヤマトタケルが上空へ駆け上がっていった。

10:09am 有明海
広大な熊本平野を東から西へと貫いて、平野に広がる豊かな穀倉地帯へたっぷりと水を届けながら、熊本市の南端を流れて、有明海へと注ぐ一級河川『緑川』。その緑川の河口に、のどかな春の平和な風景の中に、原子力潜水艦「上海」を旗艦とする原潜艦隊の8隻が、横一列に進みながら、いまゆっくりと浮上してくる。100mを超える長い甲板と、真っ黒な8つの艦橋が波間に姿を現わすと、全艦が船首を熊本市に向けて、静かに停止した。
輸送型潜水艦1隻を除く、7隻の前方ハッチが一斉に開く。
ハッチから湧き出す迷彩服の大国海軍兵たちは、腰の小銃と背中のマシンガンだけの軽装備で、後方の魚雷ハッチから上陸用ゴムボートを取り出すと、4、5人がひと組になってボードに乗り込み、船外機を回して次々と艦を離れていく。7隻が吐き出した兵士約700人が、140台ものボートで、けたたましいエンジン音を響かせて緑川を次々と遡上していく。
圧巻の光景で侵略作戦が始まった。

同じ頃、同じ光景が、半分ほどの規模で、熊本市のド真ん中を貫いて流れ、有明海へと注ぐ一級河川『白川』の河口でも繰り広げられていた。原潜艦隊の4隻のうち、輸送型1隻を除く3隻の兵士約300人が、80台ものボートで白川を遡上していく。

AIミチザネジャバン軍にあらかた破壊された今、頼める解説役もいないので、これから始まる大国の侵略作戦を、作者から大まかに説明しよう。

大国 国防省 作戦本部は、深刻な地下水の枯渇で日に日に干上がってゆく本土を守るために、世界屈指の豊かな水の都 熊本を、マルっと自国領土に切り取る「熊本侵略作戦」を企てた。いま始まった作戦の第1段階では、緑川を遡上する上陸部隊が「健軍水源地」を、そして白川を遡る上陸部隊が「八景水谷水源地」を目指す。それぞれの上陸部隊が、目的地に到着するタイミングで、輸送型潜水艦からミサイルやロケットランチャーなどの重火器をドローンで上陸部隊へ送り届ける。重火器にモノを言わせて水源地一帯を制圧したら、その証として国旗を掲揚して、その映像を世界へ発信する。第2段階では、五島列島沖の太平洋艦隊が、自国民救済の大義で熊本へ南下し、緑川と白川に挟まれた領土を全軍で掌握する。そして、第3の最終段階では、白川を阿蘇カルデラまで遡り、南の谷から北の谷までグルっと領土にして、阿蘇の水と、ついでに地熱も手に入れるという、壮大な作戦なのである。

ところが作戦本部は、ノッケからやらかした。
白川を意気揚々と遡る80台のゴムボート部隊は、目標には辿り着けない。
目指す「八景水谷水源地」は白川ではなく、河口付近で白川に合流する坪井川と繋がっているからだ。それも、用水路級の狭さと浅さで、だ。
作戦本部が入手した地図データが不鮮明だったのか、誰かが細工したのかはわからない。
白川上陸部隊は、このあと付近住民の呆れた視線を浴びながら、あるときはボートを担いで歩き、あるときは用水路でボートを押して、何台ものボートが破れ、何人もの兵隊が脱落し、とても軍隊とは思えない苦行の途中で、作戦の終了を知らされることになる。
作戦本部は、3割もの兵力を開始わずか数分で、戦力外水路へと迷わせたのである。


10:10am 熊本東バイパス付近

なんショッカー改造人間 バッタ男の「進めぇ、蹴散らせぇ」で始まった、なんショッカーとジャッカル電撃隊の全面衝突は、熊工北門通り県庁通り健軍神社参道の3つの通りで繰り広げられている。

熊工北門通り
「逃げずに戦うんダッチャ!」
ジャッカル電撃隊 美月 可憐が変身した磁力の戦士アートクイーンは、上空から襲ってくるハチ女の毒針を、磁力盾アートキュートで防ぐだけで精いっぱい「空を飛べるなんて...」バチッ バチッ ハチ女の毒針が蜂模様のビキニの尻尾から振り下ろされるたびに、桃色の戦闘服に身を包んだアートクイーンが、アートキュートごとうしろへ弾き飛ばされていく。
左肩に埋め込まれた磁力モータは、フルパワーを出し続けている。
「なんてパワーなの」得意のマグネットキックも空中戦には役に立たない。100人ほどのハチ女小隊の戦闘員は、銃を撃ちながら圧していて、70人ほどのクイーン隊は、小型磁力盾のバリアで銃弾を防ぐだけで精いっぱい。
こちらもジリジリと後ずさっていった。
せっかく圧しているのなら、サッさと健軍基地へ向かえばいいモノを、ハチ女は想ったように空中戦でクイーンにマウントを取れず、イライラしながら、執拗に、青い髪を振り乱して、後ずさるクイーンへ毒針攻撃を続けた。
防戦一方のクイーン隊は、小競り合いを続けながら、熊工北門通りから県庁通りの方へと圧されていった。

県庁通り
水前寺公園から県庁通りを東へ進んでくると、東バイパスまでは割と高いビルがあって、クモ男は関節から粘着バイオワイヤーを次々と吹き出して、ビルからビルへ、ブランコ軌道で順調に進んできた。
ところが、バッタ男のトキの声で東バイパスを越え、交差点のビルで上空へと飛び上がって見渡すと、その先の景色にビルらしきものが無く「おぃおぃ」と慌てて引き返した。
と、その鼻先をかすめて自転車が横切り、ビルに突き刺さる ガチャーン
「エッ?」驚く間もなく左目の端に、何かがコッチへ飛んでくる
軽自動車!? とっさに右肘からワイヤを放って方向を変え グァシャーン
ギリギリで軽自動車をかわして下を見ると、バカヂカラの緑色の男バイクを振りかぶっている。「ヤバイですねェ、まずアレを止めましょう」

ジャッカル電撃隊 打市 文多が変身した怪力の戦士クローザーキングは、緑色のパワースーツで軽自動車を軽々と持ち上げると、目の前をウロチョロと飛び交う目障りな赤青男へ投げつけた。
「コラ、キング よさんね。ビルが壊れよっタイ」
吾妻 龍が変身した電力の戦士ライヤジャックが、キングの腰にしがみつく。「ウルさかぁ」キングは、怒り狂ったように青い戦闘服のジャックを振りほどき、片手でバイクを持ち上げると、道路の真ん中で振りかぶった。
「ウガァァ」

そこへ、背筋を伸ばし、左腕でワイヤーを掴み、右手を美しく広げたナルシストな姿勢で、大きな円錐を描きながら降りてきたクモ男は、キングに近づくとその周りを高速で回転した。バカヂカラな緑の戦闘服を、ワイヤーでバイクごとグルグル巻きにすると、はるか上空へブランコ軌道で飛びあがり、ビル屋上のポールを回って急降下した。

バイクを抱っこした姿で、ワイヤーで巻かれたキングは、ブンッと、一瞬で上空へ飛び上がり、ビルの屋上からトホホな姿で吊された。「ウガァァァ」

「まずひとり」そしてクモ男は、また上空までブランコ軌道で飛び上がると、次は青い戦闘服に向かって急降下した。

開始早々、目の前で相棒が戦力外にされる様子をボォーと見ていたジャックは、上空からこっちに向かって襲いかかってくる敵に慌てふためき、腰の電子剣ライヤソードを抜くと、いきなり必殺技を放った。
「1億ボルト稲妻斬りぃぃぃ」 ジャッキィーーーン
その太刀筋を、紙一重で、ナルシストな決めポーズでよける赤青男。
グァガガガァァーン 稲妻斬りの斬撃が、キングが吊るされているビルを斜めに切り裂いた。「ウガァァァ」怒るキング
「し しまったバイ」青くなるジャック  もともと青い…

「なんですかぁ あの破壊力は。コイツも始末しておきましょう」
クモ男は、青い戦闘服へ細かなブランコ軌道で執拗に攻撃を続ける。

赤青男が吹き出す糸は頑丈で、ライヤソードを振り回すだけでは切れない。
そうそう稲妻切りを撃つわけにもいかず、おのずとジャックは防戦一方になっていった。
周りでは、なんショッカーのクモ男隊100人ほどの戦闘員が圧していて、70人ほどのジャッカル隊員は、ジリジリと後退していく。

そこへ、北側のビルの間からアートクイーンとクイーン隊70人ほどがワラワラと飛び出してくる。続いて「待つんダッチャァーー」とハチ女が上空に現れ、その下からハチ女小隊がクイーン隊を追ってと噴き出してくる。
ワァァァァァァ
逃げ惑うクイーン隊と、巻き込まれたジャック隊が合流して、健軍神社参道の方へと圧されていった。

桜舞い散る健軍神社参道
咲雷 吾郎が変身した原子力の戦士スピードエースは、右肩に小型原子炉を内蔵していて、5,6階のビルを楽々と越えるジャンプ力以外にも、原子力のムチ スピードアーツを操ったり、アトミックパンチを打ったりと、多彩な武器を持っている。
だが、いま目の前で戦っているバッタ男は、さっきから見てると、ジャンプしかしていない。ジャンプ以外に何もしてこない。まさかとは思うが、ジャンプだけでここを突破しようとしているように見える。
そんな敵に、ムチやパンチで攻撃して良いモノかどうか、ジャンプしながら真っ赤な戦闘服のマスクの中で迷っていた。
下では、バッタ男小隊とエース隊が互角の押し合いをしている。

そこへ、
「何しちょっとかぁバッタ男ぉ さっさとそいつば越えて行かんかぁ」
バッタ男小隊のうしろで止まったジープから、怒号が飛んだ。
ジープの後部座席で立ち上がって叫ぶ、ガラガラヘビのコスプレ野郎
そのヘビのカブリものから、見覚えのある顔が...
エースは降りながら「大志ぃぃぃ!?」と驚くと、
ガラガラヘビも「そん声は...吾郎ねッ」と驚き返す。
吾郎は跳びながら「なんかぁ お前はなんショッカーやったとかぁ こん裏切りモンがぁ」
大志は首を上げて「どっちがかぁ ジャバンば裏切っちょって なんば言いよっとかぁ」
吾郎は降りながら「なんかぁ、そんヘビんごた格好わぁ なんのコスプレね」
大志は首を下げて「なんかぁぁぁ」と叫んで、ちょうど降りてきたバッタ男に飛び乗ると、次のジャンプで電磁ムチをエースめがけて打った。
エースは、ようやく出番となった原子力のムチ スピードアーツで、大志のムチを跳ね返した。
吾郎「駿やオイに、スパイばしよったとかぁぁ」
バッタ男「なんかぁ お前わぁ、さっきからなんショッカーの大幹部になんち口ばききよっとかぁぁぁ」
大志「フンッ 吾郎ぉ お前んごたザコに構ってる暇はなかッ バッタぁ! サッさとコイツば飛び越えて行かんねぇぇ」
バッタ男は「エッ?」と背中の大志を見返した。
ひとりの時よりもあきらかにジャンプが低くなっているのに…
そして、はるか上空にいる赤い戦闘服を青い顔で見上げた。

とその時、
北側の住宅街から、アートクイーンとライヤジャックがそれぞれの隊員140人ほどと一緒に ワァァァ と飛び出してきた。
続いて「待つんダッチャァーー」とハチ女が上空に現れ、その下をクモ男がブランコ軌道で飛び出て、その後から戦闘員200人ほどが ワァァァァァ と噴き出してくる。
健軍神社参道は、総勢500人ほどが、敵味方入り乱れる戦場となった。

10:27 室井チーム
KHK人気番組『突撃!隣の大統領』の収録で、大統領候補 八重山 九美さんへのインタビューも終盤に差し掛かった頃、室井の携帯電話ドコデンからけたたましく『ワルキューレの騎行』が流れた。
「もしもぉぉし、はいはい室井ですがぁ。ええ、はい エッ? ヘッ? えぇぇぇ...は.ぁ.い...わかりました、はい」と電話を切った室井は、
恵梨奈の「どがんしたとですか?」に答えず、暫くボォーと動かない。
恵梨奈の「室井さん?」に、ハッと目を上げ
「九美さん すいません、インタビューはここまでにします。ホントに突然ですいません」とペコペコと謝ったあと「このあたりで海が見える高い場所ってありますか?」と切り替えた。
九美さんは困った顔で「こんあたりから海わぁ、どがんちゃろ?」
室井は「そうですよねぇ」と住宅街を見渡す。
九美さんは「バッテン、そこん動植物園の観覧車やったら、こんあたりば見渡せるっちゃなかかね」と南の方角を指さした。
室井は小さな目を見開いて笑顔で「観覧車ぁ それだぁぁぁ ありがとうございます」そういうと竹田と恵梨奈に「いくぞ」と真っ直ぐ南へ駆け出した。竹田が「おい」とカメラと機材を担いで室井に続き、恵梨奈はマイクを片手に久美さんにペコッと頭を下げて、文句顔で二人のあとを追っていく。
久美さんが三人の背中に叫ぶ「まっすぐ行っても動植物園には入れんバイ  グルゥ っと回らんばぁ」室井は振り返らず手を振ってそれに応えた。
「おい、ちょっと止まらんかぁ」重たい荷物を担いだ竹田が叫ぶと、室井はスピードを落とし、周りを窺いゼェゼェしながら、
「長崎のKHK本店からです ゼェゼェ いま大国が ハァハァ 熊本を ヒィヒィ 侵略に来てます」竹田と恵梨奈は揃って「はぁぁぁぁ? ハァハァハァ」
室井「熊本沖の有明海に、フゥフゥ 潜水艦が12隻いて、フゥ 上陸兵1000人が、フッフッ このあたりの健軍水源地に向かって、フッ 川を遡っているそうです」
竹田と恵梨奈「えぇぇぇぇ! ヒィヒィ」
室井「本店の指令は、この侵略戦争をスクープせよ、です。行きますよ」
と言って駆け出した。
「ちょ、ちょっと待たんねぇ」竹田と恵梨奈は、ヨタヨタと追い駆けた。

結 完 につづく

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