Big Bang Theory S1Ep17 鏡の国のアリス、ギリシャ神話、トロイの木馬からシュレーディンガーの猫

本投稿タイトルは記事用です。ドラマの正式なタイトルはこちら。

The Tangerine Factor:シュレーディンガーの猫の法則
アメリカでの放送日:2008年5月19日

ビッグバンセオリーを見ていて面白いなと思ったオタクネタで自分が知っているネタ、調べたネタをまとめておいておくために作ったものです。ざっくりとした背景はこちらもご覧ください。目次もかねて作成しています。

エピソードタイトルについて

今回はシーズン1の最終話となりますが、今回も日英で焦点が全く異なります。英語のタイトルは「The Tangerine Factor(タンジェリン要因)」。ビッグバンセオリーでお馴染みの中華料理屋「四川宮殿」で提供しているタンジェリン・チキンが、実際にはタンジェリンを使っていないことを気にしているところからきているようです。

日本語タイトルは「シュレーディンガーの猫の法則」。

ペニーはレナードと付き合うべきか、それともただの友達でいるか?その選択に迷うさまをシュレーディンガーの猫に喩えたものです。

後述しますが、シュレーディンガーは「量子力学は未完成の状態である」ということを指摘したかったようですが、ペニーはもちろんシェルドンも「蓋を開けてみないと分からない=蓋をあけてみろ=一度つきあってみたら?」と解釈して一歩を踏み出す、という筋書き。

そこにシュレーディンガーを持ってくるという、ビッグバンセオリーのシーズン最終回を飾るにふさわしく、今後のペニーとレナードの行方はどうなるか?とクリフハンガーも盛り込んだエピソードだと思います。

あらすじ

シェルドンはいつも使っている四川宮殿のタンジェリン・チキンがタンジェリンを使っていないとクレームをつけるためにハワードから中国語を学ぶ。

ペニーは付き合っている相手が、二人の夜の関係をブログに書いて公開したことで激怒するも、自分の男を見る目のなさに悩み始め、まったくこれまで付き合ってきた男性とタイプが違うレナードについて考え始めるのだが...

冒頭のシーン

「Modern Chinese: An introduction to MANDARIN」と書かれた中国語の本をもってハワードがシェルドンに中国語を教えている。

勉強しているフレーズは自己紹介のようで、最初の発音は間違っているとしてハワードが指導しますが、中国語のピンインで「zhing」はヒットしませんでした。どこで調べても「zhong?」と表示されますので、このピンインに該当する単語自体がないのかもしれません。

Sheldon: Wo de zhing shi Sheldon.
(Google翻訳から)我的(???)是Sheldon.
Howard: No, it’s Wo de ming zi shi Sheldon. (Makes a hand movement with every syllable.)
(Google翻訳から)我的名字是Sheldon.
 →私の名前(ファーストネーム)はシェルドンです。
Sheldon: Wo de ming zi shi Sheldon. (Copies hand movements.)
我的名字是Sheldon.
Howard: What’s this? (Repeats hand movements.)

シェルドン・クーパーの中国語表記

上の引用ではそのままSheldonとしてますが、シェルドン・クーパーは中国語では「谢尔顿·库珀」だそうです。

面白いので、他の4人も調べてみました。

レナード:伦纳德·霍夫斯塔特
ペニー:佩妮
ハワード:霍华德·沃洛维兹
ラージ:拉杰什·库斯拉帕里

さて。本題に話を戻しましょう。

ハワードは中国語の四声を表示するために、指で音の高低をとらえて発音するのですが、それを見たシェルドンもにたような動作で発音します。

シェルドンはその動作もフレーズの一環だと思ったと答えるのですが、まさか動作込みでないと伝わらないわけもなく、ハワードがその動作は不要だと言うと、教師として自分の癖(idiosyncrasy:個人の特異性)と教える内容とは区別する義務がある、と主張。

Sheldon: How am I supposed to know that? As the teacher it’s your obligation to separate your personal idiosyncrasies from the subject matter.

このIdiosyncrasyというのも、いかにもシェルドンが使いそうな仰々しい表現ですね。そして、シェルドンの嫌味は反論に対するハワードの返しも面白い。ハワード、やっぱり侮れない。

Howard: You know, I’m really glad you decided to learn Mandarin.
(字幕)中国語を習得すべきだ。
Sheldon: Why?
(字幕)なぜ?
Howard: Once you’re fluent you’ll have a billion more people to annoy instead of me.
(字幕)不快にできる相手が10億人も増える。

第16話と同様に太字は字幕に反映されていない部分ですが、欠落した部分に面白みがある、と再確認。

シェルドンは中国語を勉強すべき

ハワードは、シェルドンが中国語を勉強すべき、というよりは彼が中国語を勉強してくれて嬉しいと言い、その理由としてハワードの代わりにイラつかせる相手が10億人も増えるからと言っています。

単に不快にできる相手が10億人になるだけでなくて、いつもいらついている自分が、シェルドンの嫌味攻撃の対象から外れるばかりか、その相手が10億人もいるからうれしい、と言っているわけです。

ハワードのイラつき具合と、それをきちんと相手に伝える表現は、日本人の話す日本語ではなかなか難しいものがあるように思います。

レナードに中国語でなんと挨拶したか?

レナードが外から戻ってくるなり、中国語で話しかけます。

Leonard (entering): Hey!
Sheldon: Mai du lui tsa.
(Google翻訳)梅毒驴 i tsa. (i tsaは不明でした。)
Howard: You just called Leonard a syphilitic donkey.
(字幕)いまのは「性病もちのロバ」だ。

外から帰ってきたレナードにシェルドンが話しかけた音はスクリプトでは「Mai du lui tsa.」となっていて、このうち「Mai du lu」が「梅毒驴(梅毒ロバ」ですが、「i tsa」が分かりません。

そもそもシェルドンはなんと言いたかったのでしょう?

Google翻訳で似たような単語をいくつか試してみて、なんとなくこれかな?と思ったのがこちら。

每度庐杂:Měi dù lú zá
Google翻訳では「Every time a mess.」

「毎度毎度、混乱してばかりで!」みたいな感じでニコニコしていったのならありえそうです。ここは正解は分かりませんでした。

ハワードから発音の間違いを指摘されたシェルドンの返しが、これまたすごい。

Sheldon: My apologies Leonard, I’m only as good as my teacher.

as ... as を用いた比較級だけですが、これほど嫌味な発言ができるとは、日本の中学生にも教えてあげるべきではないでしょうか?

シェルドンが中国語を学ぶ理由

そもそもなんでシェルドンが中国語を学ぶのか?

誰もが疑問に思うところですが、なんと出てくる中国料理にクレームをつけるためだと。

Leonard: Why are you learning Chinese?
Sheldon: I believe the Sichuan Palace has been passing off orange chicken as tangerine chicken and I intend to confront them.
(字幕)「四川宮殿」に抗議する。タンジェリン・チキンにオレンジを使っている。
Leonard: If I were you, I’d be more concerned by what they’re passing off as chicken.
(字幕)それよりチキンを心配しろよ。

最初、ざっと見ててもなんの話をしているのか全く分かりませんでした。タンジェリン・チキンにオレンジを使っているって、そもそも何のこと?でしたし。

そしてそれに対するレナードの回答もピンときてなかったのです。

タンジェリン・チキン、オレンジ・チキン

それで調べてみたところ、タンジェリン・チキンとはアメリカ風中華料理で、「鶏肉をぶつ切りにしてよくたたいた後、から揚げにして周りに甘いオレンジの味付け(オレンジピールを入れる)をしたチリソースを絡めて作る」料理だそうです。

おや?こちらは日本語のウィキでも写真がきちんと表示されますね?

西半球の多くの国では、料理名は「オレンジチキン」、「オレンジピール・チキン」、「タンジェリン・チキン」などの料理名が使用されることが多い。(ウィキペディアより)

なるほど。オレンジ・チキンはオレンジピール・チキン、タンジェリン・チキンとも呼ばれていて、4人が良く行く「四川宮殿」ではタンジェリン・チキンとして出している。

しかし、シェルドンは「タンジェリン・チキン」と言って出されるメニューが「タンジェリン」ではなくて「オレンジ」が使われているので、正しくないという、いかにもシェルドンらしい指摘をしているわけでした。

というか、オレンジ・チキンとかタンジェリン・チキンというアメリカ風中華料理があるということも初めて知りました。

次にアメリカに行ったら、試してみることにしよう。

レナードの発言の真意

シェルドンのクレームが分かったところで、レナードの発言の意味も分かりました。

タンジェリン・チキンと言って出されるメニューにオレンジが使われている!とクレームつけるなら、そもそもチキンの心配したら?と言っているわけです。いろいろ説明したので、再掲してみます。

Leonard: If I were you, I’d be more concerned by what they’re passing off as chicken.
自分だったら、チキンと言って出されるものが何か心配するけど。

これ、すごい表現ですよね?

「四川宮殿」は明らかにネタ・設定だと思うので調べないことにしますが、要するに「鶏肉と言ってるけど、本当かどうか気にしたら?」と言ってるわけで、もうなんと言ってよいやら。

アメリカのコメディーのブラックさは、ちょっと恐ろしい。

ペニーの彼氏のiPod

ペニーがドアを開けて入ってきて窓を使わせてというなり、窓から叫んでiPodをたたきつける様に投げ捨てる。

彼氏が自分との夜の関係(夜ではなかったかもしれませんが、自己検閲により穏当な表現に直しておきます。)をブログに書いたことで激怒し、彼氏を部屋から追い出したときに置き忘れていったものを返すという理由で投げつけたものでした。

彼らは4階に住んでいるので、ふつうにおちても壊れそうですが、ご丁寧にもラージが壊れたiPodを拾ってきてくれたおかげで、見事に砕け散っています。

そして、これは昔懐かしい初代のiPod。

ラージが拾ってきたのを見ても、スクリーンはわれていないようでも、裏蓋がとれてしまっています。

画像1

ペニーの元カレ

ペニーとの関係をブログに書いたヤツですが、レナードが慰めに行った時にマイクと呼んでました。

第14話でペニーに好かれるためにオタクグッズを捨てようとした時にやってきた男もマイクと呼ばれていましたが、たぶん彼のことでしょう。

小さな親切、大きなお世話なレナード

順番が若干前後してしまいましたが、ペニーの彼氏のマイクがペニーにひどいことをしたせいで、ショックを受けているのを慰めようと何度かレナードが部屋を訪れます。

これがやるたびごとにおかしな方向に向かっていき、ハワードは「やるたびひどくなるのはおもろいな!」みたいに楽しんでいるのは、「悪友」以外の何ものでもありません。

ラージすら、今回だけはいじめられキャラから脱したせいか、ずいぶんと楽しそう。

1回目:ペニーがiPodを投げ捨てた直後。とりあえずペニーを慰めに行くも、「Go Away!」と叫ばれて撃沈。

2回目:一度、断られているにも関わらず、やっぱり放っておけないので、もう一回行く!と立ち上がる。そこにハワードから弱みに付け込むんだな、と言われてそんなことはしないが、据え膳出されたら僕だってゲイじゃないんだし、と言って突撃する。

今回は部屋に入れて、ペニーはダメ男しかつかまないのか、いいオトコすらダメにしてしまうの?どっちだと思う?と質問されてキャラ崩壊。なんとか持ちこたえて、慰めのきっかけとしてマイクの書いたブログを読む。

ペニーが言うほどひどくなく、ペニーが愛情深いと言ってるんじゃないか?と言ったせいで、変な風にペニーを励ましてしまい、マイクにブログの真意を説明してもらって仲良くなる方に進むことを決意させてしまう。

レナードは、ペニーがマイクと別れる方向にもっていってあわよくば自分が付き合いたいと思っていたのに、変な方向に進んでしまう。

シェルドン、タンジェリン・チキンがタンジェリンじゃないと改めて失望

シェルドンは四川宮殿に中国語で文句を言ったようですが、相変わらずタンジェリン・チキンはオレンジが使われているということで納得していない様子。

レナード、三度目の正直か、二度あることは三度あるか?

レナードの激励のおかげで、マイクと和解するために出かけたペニーでしたが、大激怒して戻ってきます。

どうもマイクがさっさと別な女性に乗り換え、取っ組み合い(意味深)をやっていたそうで。

さて、改めてレナード、ペニーに突撃します。そして、優しくてペニーを大事にしてくれる男性と付き合いたい!というので「僕とどうかな」。

ペニー、ちょっとだけ驚いた様子を見せるものの、「いいわ、デートしましょう!」ということに。

結果として三度目の正直になったレナードでした。

画像2

これはペニーがレナードにデートに行ってもいいわ、と返事した時の表情なんですが、前回の記事でも書いたようにこの時期のペニーは本当にいい演技をしていると思います。

レナードとデートするとは言ってはみたものの...

場面が変わって、シェルドンがiPodで何かを聞きながら階段を降りてきて郵便ボックスを確認しに来ます。中国語の勉強をしている模様。

Sheldon: Show me your citrus peels. Gei wo kan, ni jud di zi pei. Show me your citrus peels. Gei wo kan, ni jud di zi pei. Show me your…
(字幕)むいた果皮を見せろ

明らかに四川宮殿のタンジェリン・チキンのタンジェリンなのかオレンジなのかを追求するためのセリフを練習している模様。

さすがにこの中国語はいくつか調べましたが、どうみても検討違いの単語のようなので諦めました。

郵便物を取り出すシェルドンに、ちょうど良く帰宅してきたペニーがレナードのことについて教えてほしいと頼むと、シェルドンが話すレナードの隠れた性格や癖というのがまた爆笑もの。

・へちまを持っているのに、それを隠している。隠す必要ないのに
・乳糖不耐症だけど、無脂肪のアイスなら少し食べられる

・・・ペニーが聞きたいのはそういう事じゃないわけで、シェルドンの部屋(レナードに聞かれる可能性があるところ)ではなく、ペニーの部屋で話さない?と誘います。

要するに、レナードとデートすることに決めたものの、気の迷いでないかどうか、あらためて気になってしまったペニー。シェルドンに裏書きしてほしかったわけですね。

鏡の国のアリス

この時のペニーとシェルドンのやり取りがこちら。

Penny: Leonard might come home, can we talk in my apartment.
(字幕)私の部屋に来ない?
Sheldon: We’re not done?
(字幕)まだ話が?
Penny: No.
(字幕)あるわ。
Sheldon: Ach, why not? We’re already through the looking glass anyway.
(字幕)異世界に迷い込んだついでだ。

この太字の部分が、オリジナルのセリフと字幕とはどういうことになっているのでしょうか?

「Through the Looking-Glass」は、「Through the Looking-Glass, and What Alice Found There(鏡の国のアリス)」の原題の前半部になっているようです。

この挿絵にみえるのはマザーグースでも有名なハンプティ・ダンプティですね。

日本語で「どうせ鏡の国に迷い込んだようなものだし」と言われて、鏡の国のアリスまで思いつけるか?この文脈上、単語をそのまま訳して「鏡を通り抜けたし」、ではまったく意味が通じません。

「鏡の国のアリス」の世界に入り込んでいるのだから、もう少し付き合うか、ということで意味が通る。

うーん。これだけで「鏡の国のアリス」を思い出せないこともないでしょうが、こんな風にさらっと使われると見落としてしまいそうです。

日常会話こそ、こういった話題が入り込んでくるわけで、最近は記事を書くたびに言っているような気がしますが、行くべき道のりは遠いと改めて思います。

レナードがファンタジアのカバのように踊る

さて、ペニーの部屋でシェルドンとの会話。

いきなりペニーは本題に入ります。

Penny: Okay, so, here’s the thing. I guess you’re aware that Leonard asked me out.
(字幕)レナードが私を誘ったのは知ってるでしょ。
Sheldon: Well, he didn’t actually say anything, but when he came back to the apartment he was doing a dance that brought to mind the happy hippos in Fantasia.
(字幕)何も聞いてないけど、レナードは「ファンタジア」のカバみたいに踊ってた

これはもう、笑うしかありません。レナードに演技させなくても、絶対レナードやっていることでしょう。

レナードの気持ちは知ってたけど、ところで...

シェルドンのせいで、本題に入ろうとしたペニーの出鼻がくじかれてしまいます。それでも、ということで落ち着いて話をしようとシェルドンに座ったら?と勧めるも、「この部屋で座る場所を決めてない」という、これまたシェルドンらしい回答。

そこで、座る場所を決めるということでシェルドンはペニーの部屋のあちこちに座って歩きながらペニーの話を聞きます。

トロイの木馬の登場人物まで登場

この時の会話もこんな感じです。

Penny: Okay. Um, here’s the thing. So, I’ve known for a while now that Leonard has had a little crush on me…
(字幕)レナードが私に少し気があるのは分かってたの。
Sheldon: A little crush? Well I suppose so, in the same way Menelaus had a little crush on Helen of Troy.
(字幕)少し気がある?メネラオスがヘレネに「少し」気があったみたいに?
Penny: Alright, yeah, I don’t really know who they are…
(字幕)メネラオスって?
Sheldon: Well Menelaus was the brother of Agamemnon…
(字幕)アガメムノンの弟

レナードがペニーに「少し」気があることはペニーが知っていた、という発言に対して、この「少し」に反応して持ち出したるわ、ガマの油…

じゃなくてギリシャ神話のトロイ戦争にも出てくるメネラオス。

レナードがペニーに気があった程度が「少し」なのは、メネラオスがヘレネに「少し」気があったのと同じという説明。

もうこれは笑うしかないです。

そもそもトロイ戦争が起きたのは、スパルタ王の娘がギリシャの副大将のメネラオスと結婚したのにも関わらず、トロイの王子パリスがヘレネを連れ出したことで起きたもの。

その後、メネラオスはトロイの木馬に潜んでトロイを陥落させ、パリスについていったヘレネも最初は殺そうとしたものの、情が残っていたのでそこまでできずに連れ帰り、最後は不死の命を得てギリシア神話の楽園「エーリュシオン」で永遠に暮らしたとされています。

それと同じ程度に「少し」気があるとは、すごいですね。

この喩えがすごいと思うのは、ペニーはレナード以外の男についていったりしているのに、最終的には一緒になって幸せに暮らすとか、明らかにビッグバンセオリーにおけるレナードとペニーの関係をもにおわせる表現になっていることです。

こんなのがさらっと出てくるのはさすがシェルドン、と言わざるを得ません。この機会にギリシャ神話でももう一度、読み直してみようかな。

トロイ戦争と言えば、ギリシャ神話としてのみ思われていたのに、実際に存在すると信じて疑わずに、自分でお金をためて発掘してしまったシュリーマンは外国後の達人として、その方法も称賛されています。

外国語の学習に王道なしを改めて思い出しますね。

ペニーの心配事

レナードはこれまでペニーが付き合ってきた男たち、そしてペニーのタイプとも違うけれども、ペニーが選んだ男性はみな失敗してきたこと、でももしペニーがレナードと別れたら友達を失ってしまうことを心配しています。

ここで「光年」を時間・距離と誤認したペニーの間違いを指摘したりという部分がありますが、あまり重要ではないのでパス。

シュレーディンガーの猫

ここでようやく登場するのがシュレーディンガーの猫。詳しい説明は済みませんが、こちらをご覧ください。

この記事の冒頭にも書きましたが、シェルドンがシュレーディンガーの猫の喩えを持ってきて言いたかったのは、「量子力学は未完成の状態である」⇒「二人の関係についてはどちらでもありえて、そんなことを聞かれても答えられない」という、物理学的に正しい説明だったのでしょう。

しかし、ペニーは「蓋を開けてみないと分からない=蓋をあけてみろ=一度つきあってみたら?」と理解します。

もちろん、シェルドンはそんなことを言いたいわけではないので、再び最初に戻ってシュレーディンガーの猫の説明を始めようとします。この辺は、本当にシェルドンらしいですね。

デートに誘ったはいいものの、悩みだすレナード

大学の学食。ここにはペニーはやってこない。ペニーとデートすることに決まったものの、振られたらどうしようとか吐き気を催すほど心配で、やっぱりデートはやめようかと言い出すレナード。

そのやり取りがこれなんですが。

Leonard: Sheldon, this date is probably my one chance with Penny, what happens if I blow it.
(字幕)ペニーとの唯一のチャンスをふいにしたら?
Sheldon
: Well, if we accept your premise, and also accept the highly improbable assumption that Penny is the only woman in the world for you then we can logically conclude that the result of blowing it would be that you end up a lonely, bitter old man with no progeny. The image of any number of evil lighthouse keepers from Scooby Doo cartoons comes to mind.
(字幕)唯一とは言い切れない。女性はペニーだけという考え方もありえない。その前提で話をするなら、結論として君は孤独な老人になる。「スクービー・ドゥー」の邪悪な灯台守みたいに。

アメリカのドラマを見ていると結構な頻度でスクービー・ドゥーが出てきます。子供時代はこれをみてないともぐり、ぐらいの勢いです。

そして邪悪な灯台守が出てくるお話は、なんと今では日本語でも公開されています。こちらには後継ぎはいますが、シェルドンの話では、後継ぎがいない孤独な老人、たとえばスクービー・ドゥーにでてくる邪悪な灯台守といった言い方でしたので、「後継ぎがない」そのものがこのお話の説明ではないと思いますが。

日本で言えば、「まんが日本昔ばなし」かな、っていうぐらいのポジションかもしれません。

レナードはデートすべきか否か?シェルドンの答えは?

回りくどいシェルドンの説明に、レナードも端的に尋ねます。デートはすべきかいなか?

シェルドンはレナードにはたった一言「シュレーディンガーの猫」と答えます。

ここは、ペニーのところでも説明したように、きっと「僕に聞かれてもわからない」がシェルドンの言いたいことなのでしょうが、レナードもペニーと同じように箱を開けてみよう=付き合えと理解します。

果たして猫は生きていたか?

いよいよ約束していたデートの日。レナードは緊張してペニーのドアをノックします。二人ともお出かけのための装い。

レストランの予約は夜八時と伝えるレナードですが、ペニーが先に話をしない?と言うものの、なんとなく気まずい二人。

困ったレナードは、なんと「シュレーディンガーの猫」は知ってる?と尋ねますが、レナードにとっては驚くべきことにペニーは良く知っていて、お互いにキス。

そして猫は生きていたわ、といってディナーに出かけることになりました。

シーズン1はめでたしめでたし。

四川宮殿はどうなった?

これで終わりと思っていたら、最後の最後にシェルドンが四川宮殿。第7話でハワードがいないままに3人でやってきたあの中華料理店ですね。

シェルドンはやはり、タンジェリン・チキンにタンジェリンが入っているかどうかを確認しようとしていますが、四声が悪いのか、果皮を見せろ、が鼻水を見せろになってしまって、まったく会話がかみ合わない。

ついには警察を呼べ!とまで言われているところにやってきたのがレナードとペニー。

シェルドンが文句言っているのを見て、何も言わずにお店を出ていくところで、シーズン1終了。コメディらしいオチをつけておしまい。

コメディと油断してたら深い森でした

最初、アメコミネタをまとめておくかと思って始めた、このシリーズ。

ですが、字幕にも訳されていない/省略されたセリフに隠されたアメリカ文化、表現の豊さという「鏡の国」に迷い込んだような感じがします。

「鏡の国のアリス」の原題は「Through the Looking-Glass, and What Alice Found There」ですが、とても「そこで発見したもの」を書き表せる気がしません。

シーズン2以降も続けていきますが、その道すがら、アメリカの文化に根差したネタを、これからも拾い集めていきたいと思います。

今日も長いネタ記事、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

本エピソードで他に見落としているネタがありましたら、コメントいただけると嬉しいです。

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