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ドストエフスキー原作の映画・ドラマ

Amazonのレコメンド機能が優秀なのは良く知られていますが、最近アメリカのAmazonからロシア映画を複数購入しているので、ロシアに関連する作品が次々と紹介されてきます。

これまでも『戦争と平和』や『アンナ・カレーニナ』、『鶴は翔んでゆく』などの映画の鑑賞記事を投稿してきています。

『戦争と平和』について書いたものが最初の記事だったと思いますが、その後、DVDを買ってはレビューしていった結果、ロシア映画のマガジンを設定しました。

今回、Amazonのレコメンドで紹介された作品(集)が「フョードル・ドストエフスキー・コレクション」。コレクションというだけあって、5作品まとめたセットでの販売となっています。

私が買ったのはアメリカのAmazonからですが、同じものが日本でも売られています。後述しますが、値段はアメリカのAmazonで買った方が5,000~6,000円ほど安くなっています。(為替レートによります。)

注意)
日本で販売されているパッケージも、中身はアメリカで販売されているものと同じです。日本向けの字幕や日本語吹き替えなどは入っていないと思われます。下記の日本のAmazonの商品タイトルでも「Fyodor Dostoevsky Collection (9DVD NTSC) with English subtitles(フョードル・ドストエフスキー作品集(NTSC DVD9枚)英語字幕付き)」と書かれています。

日本のAmazonで価格が高いから日本語訳がついているということはありませんので、購入を検討される際にはご留意くださいませ。

このセットに含まれているのは、ドストエフスキーの小説4作品の映画・ドラマとドストエフスキーの伝記的なドラマの合計5作品。合計で9枚のディスクとなります。
コンテンツを小説の発表順に並べると、『虐げられた人びと』、『罪と罰』、『白痴』、『カラマーゾフの兄弟』、そして最後は小説ではなく作家本人を描いた伝記的ドラマ『ドストエフスキー』となります。

面白いことに今回のパッケージに入っているドストエフスキーの小説4作品(残りの1作は上述の通りドストエフスキーの伝記的ドラマ)のうち映画はたった1作品『虐げられた人びと』のみで、あとは全てテレビドラマシリーズとなっています。

トルストイとドストエフスキーと、アメコミのMarvelとDCコミックの関係

ロシア文学の映画・ドラマの記事に変なタイトルの文章になっていますが、ロシアの近代文学を代表する二大巨頭、トルストイとドストエフスキーの映画作品の関係は、まるで最近のアメコミの二大巨頭、マーベルとDCコミックスのようだなと感じまして。

少なくとも最近、私が購入したDVDなどだけを見て判断する限り、トルストイは巨大な予算をかけた超大作映画が多いです。たとえばトルストイ原作の『戦争と平和』の映画はソ連の国家的威信をかけた大作でした。(以下のリンクの『ボンダルチュク監督版「戦争と平和」』参照)

一方でドストエフスキーの作品は今回の4作に見る限り、映画は『虐げられた人びと』は主演女優はナスターシャ・キンスキーなど著名な方もいますが、『戦争と平和』ほどの巨大なプロジェクトという感じではありません。(もっとも『虐げられた人びと』は1991年。ソ連崩壊の年です。ソ連にも国家的威信をかけて映画にお金をかける余裕もなかった時代だった、ということもあるでしょう。)また残りの3作品やドストエフスキーの生涯はテレビドラマとして作られています。
まるでアメコミ映画で壮大な構想とプロジェクトを積み上げて作り出すマーベルのMCU映画と、連続ドラマでヒットを飛ばしているDCコミックのようだな、と感じた次第です。

ロシア文学やロシア語の専門ではないので、非常に乱暴な感想でありますので、今後ほかの作品なども鑑賞することで、ここに書いた内容がガラッと変わることはあり得ます。

今回の5作品はロシア語音声・英語字幕のみです

パッケージに含まれる5作品は全て音声はロシア語のみ。上述の通り、字幕は英語のみしかついていません。ロシア語字幕や日本語字幕はありませんでした。

コストパフォーマンスは非常に高いです

アメリカのAmazonで購入した場合、5作品・9枚のディスクで本体価格69.99ドル、日本へのの送料込み85ドルでした。1作品に換算して17ドル。ディスク1枚では9.43ドルです。

日本ではなかなか見当たらないロシアのドラマ、しかもドストエフスキー原作のものが格安で入手できたのは幸いでした。

アメリカのAmazonのリンクはうまく画像付きで表示されませんが、こちらのリンクからたどれます。

https://www.amazon.com/dp/B00Q0IOV6U/

参考までにAmazonで「fyodor dostoevsky collection dvd」で検索すると、この5作品パッケージの他に、「白痴/カラマーゾフの兄弟」の2作品パッケージ(商品単価39.99ドル。送料別途)、「白痴/カラマーゾフの兄弟/罪と罰」の3作品パッケージ(商品単価49.99ドル。送料別途)もあります。

『白痴』だけがすべてのパッケージに入っていますので、それだけ人気の作品でもあるのでしょう。

参考までに日本までの送料(全て14.95ドル)込みとした場合の、それぞれのパッケージの総額、1作品当たり、DISC一枚当たりの単価を計算すると以下の通りとなります。

($)  総額  作品単価 DISC単価
2作品版 54.94:  27.47: 9.15(6枚)
3作品版 64.94:  21.64: 9.27(7枚)
5作品版 84.94:  16.98: 9.43(9枚)

『虐げられた人びと』や『ドストエフスキー』などがディスク1枚しかないせいで、5作品版がDISC単価では高くなってしまっています。ですが作品単価では、やはり5作品版が最安ですね。

さて。それではパッケージを作品ごとに紹介いたします。

5作品パッケージの中身

各作品については、以下の通り個別に説明いたします。あらすじなどはリンク先のウィキペディアなどをご覧ください。

1)『虐げられた人びと』

小説は1861年の作品。

映画は1991年の作品で、日本でも有名なナスターシャ・キンスキーがナターシャを演じています。

DVD1枚。1時間40分。
メニューは「全話スタート」、「各パート」、そしてなぜか「字幕オフ」のみしか選択できません。ここは注意が必要でして、一度「字幕オフ」を押してしまうとオンに戻すことができません。
字幕をオンにしたいときは、再度ディスクを入れ直す必要があります。
こんなメニュー設定の仕方は初めて見たような気がします。

「虐げられた人びと」 トップメニュー 字幕はオフのみ選択可です。
「虐げられた人びと」からナターシャ役のナスターシャ・キンスキー

2)『罪と罰』

小説は1866年の作品です。

DVDは2007年にロシアの「チャンネル1」で制作された全8話のテレビシリーズです。

DVD1枚のみ。1話約50分で、全8話。400分。
メニューからは、「全話スタート」か「各エピソード」の選択のみ。
英語字幕は自動でOnになっています。(Offにできない模様)。

制作されたのが14年前ですし、画質もきれいです。

「罪と罰」のシーンから

3)『白痴』

小説は1868年の作品。

DVDは2003年に制作された全10話のテレビシリーズ。放映はロシア国営の「ロシア1」です。

英語のウィキペディアによれば、原作に非常に近く(日本語で言えば忠実に、でしょうか)、ロシアでも著名な俳優が演じており、さらに作品の信頼度を高めるために、時代考証を徹底していて、原作当時の話し方や衣装も注意深く配慮されているとのことです。

The series' script is very close to Dostoevsky's original text, and the series features well-known Russian actors. According to bonus materials included on the DVD, in order to improve authenticity, serious efforts were made to capture the spirit of the time, through proper way of speaking, and through very careful selection of costumes for the actors to wear.

https://en.wikipedia.org/wiki/The_Idiot_(TV_series)

本作品でムイシュキン公爵を演じるエフゲニー・ミローノフはロシアでも大変実力のある俳優で、後で説明する『ドストエフスキー』でも主人公のドストエフスキーを演じています。
さらに英語の説明では「well-known Russian actors(ロシアでも著名な俳優達)」と複数形になっていますから、ミローノフ以外の俳優も力のある方が演じられているのでしょう。
時代考証・言語考証も含めて、製作スタッフの熱意のほどが見て取れます。

DVD4枚
1話約52分で、全10話。520分。
メニューはロシア語で、4枚のディスクで全10話ということでキャパシティに余裕があるからか、トップメニューにも動画が設定されていて、設定やら補足資料などもついています。これは上述した通り、製作スタッフが原作の時代背景や雰囲気を作り出すために傾けた努力の証として、必要な資料だと思います。
英語字幕は設定から選択できます。オン・オフの切り替えあり。
ここまで熱を入れて作ったのであれば、ロシア語字幕も付けてほしかったところですね。

「白痴」のシーンから

4)『カラマーゾフの兄弟』

1879年に発表されたドストエフスキー最後の長編小説。
「罪と罰」と並んでドストエフスキーの最高傑作とされています。

DVDは2009年にロシアのチャンネル1で放映されたテレビシリーズ。

DVD2枚。1話約43分で、ディスク1枚に6話づつ、全12話構成。516分。

ウィキペディアの記載によれば、テレビ放映時は全8話だったものが、DVDではカットシーンも含めて全12話となっているようです。素晴らしい。

総放映時間がどれだけ増加したか分かりません。映画でも「ディレクターズカット」と言って公開されていた映画よりも長尺のものがDVDやBlu-rayで発売されることもあります。それでもドラマのDVD化にあたってエピソード数が1.5倍になる、などというのはあまり聞いたことがありませんが、視聴者としてはありがたいですね。

DVDメニューは全話スタート、字幕オンのみの選択、各エピソード選択の三つ。こちらはDisc 2のエピソード選択画面です。

「カラマーゾフの兄弟」エピソード選択画面

こちらが実際の物語のシーンのキャプチャー画面です。

「カラマーゾフの兄弟」シーンから

5)『ドストエフスキー:Life Full of Passion』

小説家フョードル・ミハイロビッチ・ドストエフスキーについて描いたテレビシリーズ。さすがにこの作品の日本語版ウィキペディアはありませんでした。代わりにドストエフスキー本人のウィキペディアを置いておきます。

ドラマに関してはロシア語のウィキペディアのページがあります。

上述した「白痴」でムイシュキン公爵を演じたエフゲニー・ミローノフが「ドストエフスキー」本人を演じています。

この俳優さんの経歴がすごい。
舞台俳優としても活躍しているようですが「カラマーゾフと地獄」でイワン・カラマーゾフ、「ハムレット」でハムレット、ボリス・ゴドゥノフでボリス・ゴドゥノフ、「桜の園」でロパーヒン、「フィガロの結婚」でフィガロ、「カリギュラ」でカリギュラとか、もう「主人公はエフゲニーで決まり」みたいなことになっています。

DVD1枚のみ。1話約55分で、全8話。440分。
メニューは「全話スタート」か「各エピソード」の選択のみ。
英語字幕は自動です。

第1話の冒頭は、有名なドストエフスキーの肖像画を画家が描いている場面からスタートします。ドストエフスキーの物語を今から始めるんですよ、という雰囲気でつかみはOKという感じです。

「ドストエフスキー」第1話 冒頭のシーン 

こちらがその冒頭シーン。この時の画面が暗かったので、少しばかり明るさを調整していますが、左側の黒い影のようなのはキャンバスでうっすらと灰色に見えるのがドストエフスキーの肖像画の肩の部分です。

ドストエフスキーと言えば誰もが見たことがあるこの肖像画を描いているシーンから始まるわけです。

それにしても、エフゲニー・ミローノフ。本当にドストエフスキーにみえますね。

そしてこちらは第8話のスクリーンショットですが、何も言われなくても借金しては賭博に明け暮れたドストエフスキーを表しているようです。

「ドストエフスキー」第8話から

5作品の総時間数

これら5作品はほとんどがドラマです。
各作品のトータルでの放送時間を集計してみると1976分=32.9時間となりました。結構な分量になっています。

『虐げられた人びと』   100分
『罪と罰』        400分(50分×8話)
『白痴』         520分(52分×10話)
『カラマーゾフの兄弟』  516分(43分×12話)
『ドストエフスキー』   440分(55分×8話)

各作品の一話あたりの時間から概算で集計

この中で一番長そうな感じがする『罪と罰』がドラマの中では最短なのは、本格的に作ってしまうと何倍も尺が必要になるからかもしれませんね。どれも大体8話~10話ぐらいでシリーズが完結しています。
『カラマーゾフの兄弟』もTV放送時には全8話でした。DVD化で全12話になったのは上述の通りです。

総時間数まで出したので、ついでに2作品、3作品、5作品ごとの分辺り単価も出してみました。ちょっとマニアックですがせっかく計算したのでおいておくことにします。

     総額$  総分数 分辺り単価($/m)
2作品版 54.94:  1036: 0.053
3作品版 64.94:  1436: 0.045
5作品版 84.94:  1976: 0.042


今回は購入した作品が届いたので、中身の確認と紹介をいたしました。
また年末年始に鑑賞して、記事を投稿したいと思います。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。コメントなどいただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。


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