なぜ都市部の出生率は低いのか

「都市化が進んでいるほど出生数が下がる」という事実について、その影響要因を考えてみたい。

最初に断りを入れておくが、本稿はポリティカルコレクトネスやフェミニズムに言及することつもりはない。あくまで「〜であるならば、論理的に考えて・・・ということが言えるかもしれない」という思考実験程度に捉えて頂きたい。 


28歳から39歳の有配偶女性の子ども数に影響を与える要因の調査によると、本人収入・世帯収入という独立変数に対し、従属変数たる子ども数との関係は弱い負の相関を示している。即ち、「収入が高くなるほど出生数が下がる」のだ。

なぜ、収入と出生率に負の相関が見られるのか。

一般に、都市圏に近いほど平均収入が高くなる傾向がある。そのため、都市部では「高収入を実現するため、女性が仕事で多忙となり、子育ての余裕がなくなる」ということが言えそうである。
これが命題に対するアンサーとなるのだろうか。

答えは否である。実は「都市化が進んでいる県ほど女性就労率は低い」という研究結果が先行している。そのため「女性就労率と出生率には直接関係がない」のだ。

では、なぜ都市化と出生率に負の相関があるのか。 

その答えは"文化規範"にあると筆者は考える。

都市部と比較して地方部は、閉鎖的なコミュニティとなっている場合がある。こうした閉鎖な社会においては、「女は子供を産まねばならない」という古くからの規範が残されている可能性がある。反対に、個人が独立して生活する傾向にある都市部では、他人のプライバシーに口を挟むことが憚られる。

子を産み育てるべきという"同調圧力"の程度差が、都市部よりも地方部の出生率が高いことに少なからず影響を及ぼしている。

これが筆者の提示する仮説である。

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