アイスランド日記 2日目
15日。
明け方にルームシェアをするBさんが到着する。
初日は夜中から空港に泊まったりアイスランドの太陽に時間感覚を狂わされていたから2日分ぐらいに感じていたが、二日目は疲れも抜けてすっきり目覚める。
食堂(みんながカサブランカと呼ぶのでこれからはそう書きます)までは2キロほどなので走って行く。集合は9時。もちろんまだ陽は昇っていなくて、真っ暗。
寒いから重装備で出かけたけど走ると思いのほか暑かったので、明日からはもう少し軽装にする。
ご飯を食べてからみんなで灯台に行こうということになる。
灯台が好きだ。
灯台が出てくる物語はいつもわたしにとって特別なものになる。
なぜだろう、何がきっかけなのか分からない。
わたしは海のそばに住んだこともないし灯台には縁がないから。
でも今思い出したけどいつか遠い昔、空にパルスみたいに扇を描く光をベランダから眺めていたことがあるような気がする。
もしかしたら灯台じゃなくて自衛隊基地の何かかもしれないし、それともただの夢かもしれない。
灯台のあとにはパフォーマンスや展示のできる会場をいくつか見て回らせてくれた。
びっくりしたのだけど町のあちこちの施設、ギャラリーをそれぞれのアーティストは自由に選ぶことができる。
私は食堂の隣にある小さな舞台(小学校の体育館にあるみたいな)で公演をやるのかと思い込んでいて、この場所をかっこよく見せるのはなかなか困難だな…と考えていたところだった。
本番の場所どころか、町にある音楽学校のスタジをも稽古に使わせてくれるし、町のプールやサウナも使い放題だし、こんなに篤くもてなしてもらうなんて初めてのことなのでぽおっとしてしまう。
あととてもいいなと思ったのは、この町の人たちが工具とか農具をみんなで共有して持っていること。
ワークショップと呼ばれる場所には要らなくなった材料とか建材、何かの部品が所狭しと貯蔵してあって、誰でもそれをリサイクルできる。足りないものがあれば買って、そこに置いておけば町の誰かもそれを使いたい時に使える。使った後は、次に使う人のために道具を、その場を気持ちよく整えておく。シンプル。
これはとてもいいシステムだし、小さなコミュニティを営む時には是非真似するといいなと思った。
夕飯もとても美味しい。
アイスランドは野菜が不足しがちと聞いていたのだけど、シェフが作ってくれるのはいつも野菜たっぷりのヘルシーなものばかり、むしろ肉は今まで出ていない(たぶん)。
ドレッシングも手が込んでいるし、シチューやピラフもシンプルなのにスパイスが適度に使われていて私はとても好きだ。お水にもレモンとチアシードが入っていたりする。
昨日も今日も稽古をしていないので明日は少しでも時間をとれたらいいな。
今夜も海からの風邪が強い。
風の音を聞きながら眠れるなんて嬉しい。