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聖一国師


東福寺通天橋からの紅葉風景

その一
私は静岡県焼津市に生まれ育った。焼津市は県都静岡市の西隣にある水産で栄えた街である。

東京で機械技師に採用されたが生来の神経症のため都会が馴染めずUターンして故郷で自営業を始めた。

結婚後子供もでき商売も軌道に乗り始めた頃、やり遺し感のあった禅の哲学を復習し始めた。
京都にあるFAS協会にも参加し気が向けば座禅も再開したが生まれつき股関節が固く長時間の座業が向かなかったので仕事の合間に東洋西洋の哲学を脈絡もなく勉強し始めた。
会社員時代関西出張があれば私の歴史好きもあって京都にもずいぶんかよった。
そんな京都の一日京都駅の南にある禅宗の本山、東福寺を訪れたことがあった。この寺は広大な寺域に楓が自生し秋には、谷を埋め尽くす楓の紅葉風景で有名だ。
イロハモミジや、山モミジに混じり中国由来の唐楓の木も多いのでこの寺の開山は中国由来の人かと漠然と思っていた。
開山は聖一国師と言った。なんと現在の静岡市の出身であった。しかも山深い農村である。
静岡に生まれ、日本と中国の著名な寺で修行を積み、のちに京都五山の一つ東福寺の開山となった聖一国師は、僧侶として最高の栄誉である「国師」の号を日本で最初に贈られた高僧であり、静岡茶の始祖として知られていることもその時知った。

国師は、中国から茶の種子や麺類、人形などの技術を持ち帰り、我が国に伝えて、日本の産業と文化の進歩のために寄与したという。
彼の生い立ちや修行時代、禅風、哲学等々その二
以降順次書き起こしたい。
その二へ

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