武田神社に弾丸旅行 其の2
甲府駅から武田神社までは、およそ2キロ。雨が降っていて寒いし、道中ずっと上り坂だし、バスで行こうかと思いました。しかしせっかくの旅行なので、あまりに安直にたどり着くのは風情が薄れる。だから、グッと北方へ顔を向けて遥か先を見つめ、歩き出しました。
石畳といった感じの、観光地然とした舗装路。その通りにぽつりぽつりとある配電ボックスに、武田二十四将のイラストが描かれています。切り絵の画風で、とても映えます。できれば青空の中で見たかった。まぁ京都に比べればはるかに近いので、また来ようと思えば簡単に来られます。神奈川や埼玉よりは不便ですが、なにしろ山梨は東京都の隣接県です。もっとも中央線で行くと神奈川を噛みますが。
手がかじかむ寒さの中、緩やかだけど延々と続く上り坂を進んでいきます。ときおりバスに追い越され、やっぱり乗ればよかったなぁと未練たらしく見つめます。
県庁所在地なのに、お店は少なく、普通の住宅が建っています。東京西部の市街地といった感じ。さすがに甲府駅周辺なので、建っているお家はさほど敷地面積が広くない。
先が見えない道のりもつらいけど、先が見えてしまう道のりもつらい。まだ着かないということが一目瞭然です。途中、美味しそうなケーキ屋があったのですが、まだ歩かなければならないとなれば寄るわけにはいかない。さらに進んで山梨大学を通りすぎます。
そして、ようやく武田神社に到着します。駅北口を出てから、およそ30分。寒くなければ、歩くのにちょうどいい距離です。
鯉の泳ぐお濠を渡り、階段を上がってこれまで歩いてきた道を見おろします。このずっと先が、甲府駅。
そぼ降る雨にも利点が。境内に人がほとんどいません。静かに、史跡めぐりの気分に浸れます。
薄暗いなか、参道を歩きます。水木しげるさんの描く袖引き小僧がポツリと立ってそう。手がかじかんでいるけど、手水舎で手を清め、そして拝殿へ。
お賽銭を放り、手を合わせました。
『其の1』は、こちらです。