はがれた景色⑤
第43回すばる文学賞 一次選考にて落選
〇〇
ざわつく木々の雑談の中、僕と妻は場違いなほど固い階段を登る。昔ここでこけて膝すりむいたっけ。苔生す石の階段に、黒い血が飛び散っていた、それが気になり、しばらく眺めていた。もう雨に流されただろうし、仮に残っていたとしてもそれを確認する目を持っていないが、あのときの鉄の匂いが、確かな強度で子供のときの映像を反対側に映す。
僕だけのものであった遊び場。両親にも、仲のよかった友達にも教えなかった秘密の場所。雨をしのげる大木に空いた穴、イタチが猟場にしていた小川、寺の軒下。
森の空気は陽光の多くが届かないので夜のそれとよく似ている。月明かりの中を彷徨う感覚でもって、森が僕を取り込んでしまう、輪郭がぼやけていく。森を成す木々や動物たち、湿っぽい土やもの静かな石たち、その中に僕がいる認識が、実感が、町の中で求められる、確固として孤絶した私を溶かし、明後日の方向に収斂させる。
僕の手をゆるやかな弾力でもって包む妻の手、初めて触れる樹液の溢れる木の、あのとき、子供のころここを自分だけの秘密にしようと決心した、包まれる肌触り、この手をあのときの木とすると、僕はちゃんと今ここにいるんだろうか。
「不思議な感じだよ、きみとここを歩くなんて。」
「そう?なんだか楽しそうね。久しぶりにそんな顔見た。」妻が応えた。
久しぶりの帰省は、妻の活気をさらに取り戻すものだったようで、私の手を引き、早く行こうと促す。階段はゆっくりいこうよ、石の階段だし、転ぶと危ないから。私がそう言うと、妻は私の隣に並んだ。歩調を合わせる日常も、疑義を差し込む隙の無い、ありふれた環境の一つに回収されたんだ。でもここは秘密の場所だ。何かを隠したり無かったことにするには、似合わないところだ。
「蜜はさ、僕との生活に疲れたりしない?蜜が早く歩きたいとき、僕は一緒に歩けないし、何かこう、僕と一緒にいることで制限をかけているんじゃないのかなって。」
妻は吹き出しながら応えた。
「何それ、遠回しに別れ話きりだしたの?」「そういうのじゃないよ、ただ気になって、……」
「冗談だってば、本気になんかしないで。別にそんな子どもっぽい理由で疲れてるわけじゃないよ。仕事が忙しくなったし……あ、もうすぐ一番上じゃない?」
会話の切断に応じて進行方向に顔を向ける。たしか石段を登りきったところに寺が建てられていた。石段の周りは木々が覆いかぶさっており昼間でも薄暗かったはずだが、寺の周りだけは草すら生えておらず、そこだけ動植物が避け、どす黒い茶色をした寺があった。いつ来ても住職らしき人は見かけなかったが、あれはたまたまいなかったのか、それともそもそも誰もいなかったのか。
「一番上の開けたところに、たしか寺があったはずだよ。」「そうなの、じゃあ、もうすぐだね。」
石段を登りきったところに、木造の古びた門があった。手を柱に添えると、雨風が奪い去っていったであろう細い筋状の跡が、丸みを帯びて指先を撫でていく。所々柔らかく、脆くなっているそれは、内奥の衝動を抑えつけ、静かさが叫んでいる。
僕らは門で仕切られた内側へ進んでいく。夜明けの斜光が肌を焼く。階段ではなく平面になる。木の葉の喧騒や鳥たちの啄み、芋虫が草を食み、甲虫が樹液を啜る様は、この開けた場所では消散してしまっていて、一歩ずつ踏み出す二人の足音だけが空からも跳ね返って、軽やかな沈澱で満たされている。
「静かなところだね。」
軒下に隠れたり、堂の中に入ったり、あんなにも夢中になっていたのは、白い壁に落書きをするようなものだったんだろう。ここでは足音も、空気が指先から漏れる流れも、僕や妻も、その都度生まれて、消えている。
「いいところじゃない。何して遊んでたの?」
僕は当時の遊び方を、部分的に思い出しながら妻に説明した。軒下に隠れて、森からやってくる怪獣に見つからないようにすること、堂の中でその怪獣と勝負すること、樹液を集めて古い壺にそれを入れ、甘い香りに誘われた虫たちがその中に落ちていく様を観察すること、堂の外の地面に寝っ転がり、丸い空を延々と眺めること。
妻は一つ一つ、僕の遊びをなぞった。軒下に隠れた彼女は、頭をぶつけ堂内に響いた。怪獣は妻にものの数秒でやっつけられた。樹液の出ている木は見つけることができなかったようで、彼女は拗ねていた。最後に僕らは、地面に寝っ転がった。
「ここの上は鳥も避けて飛んでるみたい。さっきから全然見ないもん。」
「そうだね。」
「わかるの?」「何となくだけど、鳴き声とか羽ばたく音が、さっきから淡いし、遠いなって。」
自分の臨む方向が、ぽっかりと丸い穴が空いている。穴の外から入ろうとしても、たちどころに消えてしまう。
しばらくそのまま二人して寝転んでいた。土は震えることなく、僕らの体温が虹色に浸透している。そのとき風がひゅっと吹く。霧散した木々のこすれる音が再び集めり、ざあと噴き上げてくる。僕は堂の軒下に隠れていたあの頃を思い出していた。向こうから順に風が草を押し倒し、気づけば上方にいた鳥たちも一斉に空へ追いやられていた。僕は隠れる必要があった。やってきたものに対し、当時も今も、捉える目玉はない。
「ねえ。」妻が呼びかける。「どうしたの?」
「さっき石段登ってるときに、僕と一緒にいるから疲れるとか何とかって言ってたじゃない?……たしかに最近は疲れやすくなった。そうなんだけど、あなたの手をとったりしなくちゃいけないとか、そういうことじゃないの。」
「だってあなたの言葉遣いが変わってしまったんだもの。」
「言葉遣い?」「あなたが目が見えない生活に慣れてしばらくしてから、音を色で言ったり、肌触りを数で数えたり……最初は面白がって聞いてたけど、だんだんあなたが、私の知ってるあなたがぼやけて、あなたは私と結婚したあなたなんだよね?」
肌を撫でるは光ではなく、藍色の暗い風となり、木々のざわめきは空気にぶつかって散り散りになる。
「私には……」
僕は妻の手を、自らの手を地に這わせて見つけ、握り、身体を手繰り寄せた。筒の界面は高くそびえ、僕らは暗い毛布をかぶせられた。そのまま沈んでしまいそうだったが、しばらくして帰路についた。
実家に戻ると既に夕食の準備が始まっていた。僕らが戻ると同時に親父も戻っきた。村の猟師の寄合があったらしい。妻が慌てて母のいる台所へ向かう。ごめんなさいお義母さん、今手伝いにむかいます、いいのよ久しぶりに来てくれたんだから、ゆっくりしといて、いや……
引戸が閉まる。僕は靴棚を手すりがわりにして玄関マットに腰を下ろし、靴を脱いだ。鳥たちは完全に寝静まり、羽虫が街灯にぶつかる。
「おう、貴久。父さん晩飯前に一杯やるから、付き合ってくれや。」
どんと背中を押されて、居間へと促された。座卓には既にビールが用意されているらしく、父がグラスに注ぐ音が聞こえる。僕は座布団を探し出し、そこに腰を下ろした。すると目の前あたりにこつんと音がしたのちに、気泡の細かい音が弾ける。僕と親父は、グラスを合わせてビールを口に含み、しばらくテレビが流れたのちに、珍しく向こうから話し始めた。
「どうなんだ、最近は。」「代わり映えしないけど、毎日元気にやってるよ。」「蜜さんに迷惑かけてないのか。」「だいぶと一人でできることが増えてきたよ。ただ、点字の無いところだと、白杖があっても付き添いはいるから、その辺がね……。」「そうか。」
また僕らは黙りこくってしまった。テレビからは大げさな笑い声が、後ろの方では夕飯の支度なのか、煮えたぎり気泡の破裂の連続が、外からは、雨が地面と木と草と、家々をたたく音が聞こえる。昔から父親はそんなに子供と言葉を積極的に交わす人ではなかったが、同じ沈黙を共に過ごしてきた。母さんから怒られて家から閉め出された時も、当時飼っていた犬のクロが死んでしまった時も、大学受験に失敗してしまった時も。親父はただの一つの言葉も僕にかけなかった。ただ側にいて、背中に手を置いたり、さっきみたいに叩いたりしただけだった。
「まあ、またいつでも帰ってこい。暇だしな。」親父はくすっと笑ったようだ。
「はいはい、お父さんテーブルの上片づけて。今から夕飯持ってくるから。今日は天ぷらですよ。」
かたかたと皿やら箸やコップやらが置かれていき、さっきまでの沈黙とビールの匂いは、油や出汁の香ばしい茶色に追い出されてしまう。妻と母が座る。皆で手を合わせ、食事に取り掛かった。妻にそれぞれの皿の位置を手を持ってもらいながら教えてもらい、自分の取り皿にいくつかのせた。つゆにくぐらせる、重くなったそれを口に運び噛むと、油とつゆと、弾ける肉の繊維が口の中で解ける。箸でつつき、つゆにくぐらせ、口に放り込み、噛み、飲み込み。
「お父さん、今日の寄合、もしかして田中さんのお話だったの?」母が父に聞いた。
「ああ、もうかなり回復してるから、見舞いに行こうとなった。多分来週かな。」
「田中さんって、向かいの?病気でもしたの?」「熊に襲われたみたいなの。」母は困ったように言った。
「最近ちらほらと出るようになってねえ。畑が荒らされて困ると言ってると猟師までやられちゃって……。お父さんも気をつけてくださいよ。」
「この辺りって、熊が出るんですか?」妻が不安そうに聞いた。
「ほんとここ数年の話ね。山沿いの畑がやられるの。だからこの辺りまでは降りてこないと思うから、安心してね。そうそう!お父さんたら、貴久が小さい頃から猟に連れて行っていたの。信じられないでしょ。」母はまた困ったように言った。
「おかげで足腰は鍛えられたよ。それに鹿とかうさぎだったから、熊みたいな危ない動物が出たときには連れてってくれなかったよ。」僕は父の肩を持った。
いつの間にか雨はやんでいた。いつやんだのか聞いてみたが、最初から降っていなかったらしい。
針だ、光は。肌は刺され、膨張し、焼かれ、黒ずみ、肉も焦げ、神経は切れ、骨も炭となり、僕自身が剥き出しになる。取り替えたばかりのガラスは、陽光を弱らせるには頼りなく、ソファに沈む僕はじっと、映画が始まる前の真っ暗なスクリーンに向かっているようだ。鳥がベランダの欄干に止まった、爪を立てる音がした。それなのに葉が騒ぐ、大げさなおしゃべりは聞こえない。
ある夜を思い出す。結婚し同居し始めた頃、花見の帰り、明かりを消した部屋、写見の鏡の前で僕は、光に縁取られた自分自身を見つめていた。部屋は月明かりだけが染み出しており、輪郭はわずかに青く日蝕のように揺れていた。深い青は暗闇に散り散りになり、僕の内側の黒と外側の黒が同じになるのを見ていた。僕はありとあらゆる僕を見ていた。
思い起こしてみると、あのときからそうだったのかもしれない。僕は今、目を開くと僕を見るようになり、忘れていたことにしていたことが、抑制を失って、ひび割れて、好き放題に僕の頭蓋を占める。
「……私たちは、何をどう間違ったんだろう。」
僕たちが間違ったことは、僕の不統一な言動であり、それを決定的な、はっきりとした強度をもった認識に仕立て上げた盲目であり、それ以前のある夜の見間違いであり、結婚という契約であり、出会いという偶然であり、通った学校であり、口にした食べ物であり、窓から眺めていた風景であり、そして、この世に生を受け、持続する僕であることなんだろう。
妻は僕と同じ空気を吸い同じ食事を摂る生活を送る中で、徐々に狂っていった。彼女は突然耐えきれず叫んだり、誰でもない誰かに怯えたり、陽気になったりした。仕事は医者の診断を受け休みをもらい、毎日ベッドに腰をかけ、最近は近くの公園から吹き込んでくる桜の花びらを眺めていた。
ある昼下がり、昼食を済ませ陽気と胃の充実にまどろみ、このソファで眠りに引き込まれんとしたその時、すずめが空をじぐざくに切る音がした後、妻は自身を窓に叩きつけた。精神科医からは入院による集中的、継続的な治療が必要であると、家庭療養も限界であると告げられた。僕は彼女を入院させ、今こうして一人でソファに座っている。
インターフォンがなる。僕は外で待っているのが田中だと確認して、カバンと白杖を手に、外に出た。エンジン音のする方に近づいていく。扉が開く重い音がした。
「乗ったか?じゃあ行こう。」
すり潰れた深緑の匂いは、車の扉が閉まるとき、少しだけ僕の隣に座ってくれた。
「久しぶりだよな、二人で車に乗るの。」
「たしかにそうだね。卒業旅行の時以来か……。」
「二人とも留年してたから、研究室の卒業旅行には誘われなかったしな。」
「ははは」
車に乗り込んでおよそ三十分、一言も発しなかった僕らのはじめての会話がこれだった。
妻が暮らす施設は、山間の小高い丘の上にある。田中と僕は、そこを目指している。
「田んぼしかねえな。」「そうなんだ。」「わかんねえのか、そういや。」
車はずっとまっすぐを走っていた。少なくとも左右に揺れることはほとんどなかった。エンジン音は小気味よく軽快だった。すれ違う対向車が引きずる空気との摩擦音はリズム感があった。
「お前、本当に蜜さんのところに行くのが今日が初めてなのか?」田中は獲物を狙う、慎重に足を運ぶ猫みたいに言った。
「そうだよ。」
「大丈夫かよ今日。」「大丈夫かよって、何が?」「何がって、そりゃ色々あんだろ。」
また対向車が通り過ぎる。ウィンカーランプのカチカチという音とともに身体が前のめりになり、右側に引っ張られると、またシートに押し付けられる。
「今左に曲がっただろ。」「おっ、流石にわかるんだな。」
しなくてもいい話は考える時間を作るのに有用だ。現に田中はまた黙ったので、色々と何があるのか考えてみる。僕が妻の入院先に行かなかったのは、妻がおかしくなったのは僕のせいだから、僕がおかしいから、僕が一人でいると、きっと妻も良くなる、治療にも専念できる、すべきことをすべきだ。でも本当に僕がおかしいから妻は病んでしまったのか?対向車が通り過ぎる。僕のおかしさは、病原体のように空気や飛沫を媒介にして誰かに感染するのだろうか?対向車が通り過ぎる。
「おい。」田中が僕の思考に割って入ってきた。
「付き合いも長いし、お前が何考えてるかなんてすぐわかるんだよ。」田中はそう言ってつなぎ目なくギアチェンジした。
「色々は色々のままでいいんだ、お前さえそれで良ければ。」
対向車はそのあと施設に着くまで、一台も通り過ぎることはなかった。
昼過ぎなのに薄暗い寒さのある道を通り抜けると、フロントガラスは熱を帯びはじめた。田中は施設の警備員らしき人物と二言三言交わし、金属音を通り抜け、がらんとした雰囲気を抜けていく。道中、森の中を抜けてきたのだろう、鳥の鳴き声や木々の覆いのちらつきが多かったが、今はぼんやりと澱んでいる。
車は先ほどよりもずっと低速でその澱みを進む。田中は黙って運転していた。昔妻としていた話を思い出す。ヨーロッパの東の方にある、きれいに整備された丘の上に、あるギャラリーがあり、そこに行ってみたいと話していた。雑誌の見開きいっぱいに掲載された写真は、整備された芝生や植込みには鳥や虫の一つもなく、白く角ばった立方体が積み上げられていた。所々にある丸や三角をした窓から、そこに誰かがいるような様が見えるけども、様でしかない様だと話していた。まさにその肌触りを、今車内で感じている。
運転席側のドアが開き、続いて僕の座る補助席側のドアが開く。無臭だ。何も臭わない。鼻腔の奥の方が圧迫される。鼻血が出たんじゃないかと鼻先を拭ってみるが、鉄の匂いもしなければ、何も付いていない。田中に補助してもらいながら受付の方へ向かった。舗装してある構内の道路からのアプローチは、砂利が敷き詰められているようで、一歩踏み出すことに周囲に僕の実感が波打つ。その波が跳ね返ってくる様が分からない。砂の中に行くとこういう感じなんだろう。過剰に整えられた空間の中を進む。生き物の気配のない真っ白な領域は、翻って混沌としている。あらゆる空白は示唆的で、この状況を成り立たせている施設の職員や入居者の影がちらつく。投影された像からは何も読み取れない、そんなことはわかりきっているくせに、空白は想像による構築をかき立てる。建造物の背後の人々の存在が匂い、その中に自分の妻を見つける。何を期待しているんだろう?
自動ドアが開き、受付を済ませる。若干の消毒剤の匂いがするが、やはり無臭に近い。受付の女性と、田中がやり取りする以外には、一切の音がない。足にとっての地面は、僕の頭のあるところで、実感のない端切れの時間がゆるゆると……。
受付の女性が案内してくれるという。僕は田中の補助を受けながら、施設の中を進んだ。警戒音とともにゲートが開く。笑い声、床を叩く簡素なスリッパ、膝小僧あたりの肌の摩擦。周り巡った聴覚の解釈は、もう一度鼓膜の振動に戻る。耳に飛び込んでくるくる回る音は、霧の中を歩くようで、逆に外から聞こえる植え込みの木々の葉がたてるものは、直線的で跳ね返りはしない。廊下はひどく白く長い。田中も案内の女性も界面はなだらかなものだが内部の濃淡の運動は右へ左へと旋回している。消失点に届く歩行の連続ののち、また皮膚を焼かれる対流に巻き込まれた。
「弊施設では加入者様の運動能力の向上と、それに伴う認知能力の改善を目的に、中庭に運動場を設置しておりまして、今はその時間になります。奥様も運動のお時間となっておりますが、如何なされますか。」
面食らっている僕の様子を田中が察してくれたようで、どうする、蜜さんにこっちに来てもらおうか?と翻訳してくれた。僕は蛇行し減衰する声のやり取りの中で妻のものを探した。あははとかふふとかこっちーとか、近所の公園で交わした言葉が再度構築されていた。真っ暗なむき出しの舞台の上をスポットライトがなぞるように、声を丹念に探す。空洞となった三角錐、高速に周方向に回転する桃色の円柱、紺色の断面、かすれた深い緑……。どれでもなくどれでもあるような、ただそれらは一つの独立した声としてあった。投影される耳の奥が、乾いた風が抜けていく。一つ、息を大きく吐く中に赤色の、少し青みがかった渦が混じったものを見つけた。蜜?僕は案内の女性がまだ近くにいることを田中に確認してから訊ねた。
「この運動の時間はあとどれぐらいですか。」「あと二〇分ほどです。」「では待ちます。」
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