マガジン

  • 雑記

  • 落選集

    公募で落ちた作品をまとめました。落選が分かり次第更新します。感想いただけると幸いです。

最近の記事

間違いなく良品。ただし同封品のみ難点。

修業時代から愛用させていただいていたが、独立してからは経営も苦しく、安い代替品を用いていた。しかし徐々に商売も軌道に乗り始め、また先代が亡くなられご子息が跡を継がれたとのこと、初心に帰る気持ちで当商品を購入した。 まずその風体。透き通るような白色と粒感が若干感じられる輝きは、先代の仕事をしっかりと引き継いでらっしゃると感銘を受けた。最近は機械化の波もこの業界に押し寄せ、添加物も多く粒度も感じない極端な微小化工程により、くすんだ砂のようなものが横行しているが、やはり除霊に臨むに

    • 2024.8.23

      6月に息子が産まれて、現在育児休業中であり、家事育児をこなしつつも働いていた時よりも時間的・体力的に余裕が出てきている。なのでこうして文章を書こうとして実際に書ける。今まさに次の授乳時間までの間の時間でPCに向かうことができている。(息子は指を吸いながらもうすぐ寝そうだ。) 朝から定時まで働き、いったん帰宅してから子供をお風呂に入れ、寝かしつけをし、そのあとまた在宅で仕事をし、終わったら家事をして失神に近いやり方で寝る生活は、当時はそこまでキツイと感じていなかったし、それ以外

      • 2022.2.15

        育児休暇を終え、今月から育児勤務として一日4~6時間ほど働いている。これがなかなか大変で、ついに今日あるプロジェクトから離脱したい旨関係者に伝えた。 別に同僚が非協力的であるとか、彼らがまったく仕事ができないとかではなく、むしろよく理解してもらっているし気にかけてもらえているし、仕事もできる人たちだと思うのだが、制度上どうしても辛くなってしまう傾向にあることがここ2週間ほどでようやくわかってきた。 まず一日6時間の勤務をするとして、6時間作業できるわけではない。 一日8時間

        • 7月3日

          BFC3予選落ち 消失界面超過に伴う質的変化とその環境への影響について 1.概要 2001年に発生した若狭湾沖大爆発により、安全保障における考慮すべき要因の再検討とその対応が今日まで各国において盛んに行われている。我が国においては、消失界面超過傾向を保有している人物特定のためバイタルスキャナの義務化や、消失界面を超過したもの(以降超越者と呼ぶ)からの精神汚染を防ぐための防電塗布染料の開発及び一般家庭、商業施設、公共施設等への塗布補助制度の拡充、加えて質的変化を伴う恐れの

        マガジン

        • 雑記
          8本
        • 落選集
          15本

        記事

          「文体の舵をとれ」練習問題

          道具の仕立てとそのモチベーションが相互に入れ替わりうることとか発見をするための手段としての緻密な計画と課題の見極めとかいろいろ考えてたけど、全部思い出せないのでとりあえずやってみます。 練習問題① 文はうきうきと問一.一段落から1ページで声に出して読むための語りを書く。 問二.一段落くらいで動きの或る出来事、もしくは強烈な感情を抱いている人物を一人描写する。 (P32,33より趣旨抜粋) ページをめくる。乾燥した手の上を滑っていく。コーヒーの染みが残る右端を押さえながら、

          「文体の舵をとれ」練習問題

          Look in my eyes

          第二回かぐやSFコンテスト 落選作 父さん。青年の覗きこむモニターには、少し驚いたような表情をした男性と、空中で静止している建物の破片と思しきかけらの数々が映る。父さん今日はね、朝から会議が多すぎてさ、まだ三時なのにヘトヘトなんだ。それなのにこれからコードの品質保証計画の打合せまであるらしい。これじゃ技術的な仕事なんてほとんど出来やしない。モニターの男性は表情一つ動かさない。舞い上がる書類やガラス片、背後から差し込む光まで静止している。まあ、ある程度認められたのかなって思う

          Look in my eyes

          霧、晴れ上がり

          SFプロトタイピング企画「未来の医療を創造せよ」落選 砂埃が晴れる。稜線が輪郭を得る。波のように無数の人々の動きがあり、飢え、怒り、生存を欲し、死んだそばから生まれ、生を渇望している。しかし騒乱や喧騒はなく、身にまとった布切れが風にあおられるたびにバタバタと、舞い上がった砂にせき込む何人かの声のみがある。張りつめた皮膚の下に圧縮された期待と疑心があった。それぞれの血走った眼で見つめる先は小高い丘の一点であり、そこにはある少年が椅子に腰かけ頭にいくつもの配線が施されたヘルメッ

          霧、晴れ上がり

          液体金属の背景 Chapter2

          思考(Cogitatio)とは、実際のところ共に‐揺れ動く(Co-agitation)ことでないとしたら、一体なんであろうか? ――ミシェル・セール「作家、学者、哲学者は世界を旅する」 彼らは繰り返した。お互い誰かを轢き、追いかけ、または追いかけられた。彼らは徐々に自覚的になり、反復の幾つかの特徴を把握した。逃走ないし追跡をやめ、共に逃げたり、ばらばらな方向へ歩みを進めたりしても、同じような反復に戻り、その度に誰かが巻き込まれる。ただ日が暮れる頃には反復から抜け出し、それぞ

          液体金属の背景 Chapter2

          2020年をふりかえる

          今年はコロナのこともあってあまり出かけることもなく、おせちも作っておらず、実家に帰ることもなく、近くの小さな神社に初詣する予定があるぐらいで、歳末感もなく何となくの長期休暇を楽しんでいる風な過ごし方をしてしまっている始末。というわけで今年なにしてたのかなあと無理やりにでも思い出してみようということで、ちまちまとこの記事を書き始めた次第です。 今年は紙文さんが主宰されている「六枚道場」で作品を出したのが最初でした。ご案内のとおり六枚道場は参加者や読者間の感想や意見交換が活発で

          2020年をふりかえる

          暗さの触れ

          第一回ことばと新人賞応募作 みずからに対して第三者であるという事実は、言語の構造に由来する。 思索家や作家は、彼らの内部にいる本当の語り手を知っている。それは定式表現である。 だからわたしは、思索にふける重々しいことば、なびきやすく自己消費的なことばに手を加え続けるのだ。 ——パスカル・キニャール『さまよえる影たち』 日差しが強くなりつつある、枯れた木にぶら下がった花びらは白く、淡い腐臭を躱しながら無用の長物となった中央分離帯に見つめられ、境界層で加速する砂粒の行き着く

          暗さの触れ

          2020.08.13

          今日は5時半に起きたのに全く寝れないのでとりあえず日記という形でこの文章書いている。さっそく間違えたが今日起きたのは5時半ではなく5時だ。正確には4時54分だ。なぜこんなに早く起きたのかというと昨日は21時に寝たからだ。なぜそんなに早く寝れたのかというと一昨日は2時に寝て6時に起きたからだ。たくさん寝る日と少ししか寝れない日を交互に繰り返しているので、これはこれで規則正しい生活言えるだろうか、いや言えない。 今週は積極的に休みましょうと会社が休みに設定しているので、9連休に

          2020.08.13

          六枚道場#3感想

          今回も懲りずに書いていきます。 グループAグループAはここから読めます。 1. 「花の歌」ケイシア・ナカザワさんいつも音楽からインスパイアされて小説をかかれているとのこと、花の歌と検索して真っ先に出てきたランゲの曲を聴きながら読ませていただきました。 このお話に魅力的だと感じた点は2つあって、一つはラストの書かれなさ、もう一つは線形的な帰結からの脱却が、口語の文章の展開によってなされていることです。 ラストシーンは男性が転げたときに頭につけた花を取ろうとするシーンで終わ

          六枚道場#3感想

          六枚道場#2感想

          今回も少しづつ感想をかこうと思います。 グループCグループCはこちらから読めます。 9. 「私の先生」小林猫太さん中学生の美術部員が近場で起きた猟奇殺人の犯人を顧問の先生だと思って、生徒の気持ちと行動が変わってゆく様を描いていると読みました。うまいなあと思ったのは、最初は猟奇殺人を漢字で書くこともできず、トイレに行くのも怖くて億劫になっていた主人公が、最終的には先生の家に深夜まで見張り、差し違える覚悟で犯人じゃないのかと先生を問いただすところまでに至る、気持ちと行動がエス

          六枚道場#2感想

          六枚道場#1感想

          はじめにオンライン文芸サークルの六枚道場というところで作品を一つ出しています。 やっぱり感想を頂けるというのは、それが好意的であれそうでないものであれ、嬉しいもので、個人的な営みであった書くという所作が、他者の読解を発生させたというのは、奇跡のような、隠れていた接続、関係があらわになるような感覚があり、このような場を設けていただいた管理人の方には感謝しきれないです。 せっかく書かせていただいたので、他の作品も読みたい、ここに読んだ人間がいるぞと示すことで新たな結節点をしめし、

          六枚道場#1感想

          2019.12.10 どうにもならないことをどうにかしようとするためには

          ここに書かれている文章はその他の記事と同様どこかの他人に向かって書かれたわけではなく、僕が僕自身のために書き留めているものである。何か伝えたいメッセージみたいなものはない。いつも通りTwitterで共有するがいつもの習慣を崩さないためでありそれ以上の意味はない。この断りにも何の意味もない。 *** 今直面しているどうにもならないことに動揺している。動揺というのは時間が経つにつれて落ち着いてくるものだが、今回は時間が経つほどその振れ幅が大きくなるのを感じている。 論理的に

          2019.12.10 どうにもならないことをどうにかしようとするためには

          2019.12.09 金沢旅行記3日目

          宿の部屋から朝日があがる前に起きる。昨日は暗くてよく見えなかったが、海がすぐ側だ。 露天風呂に入って体を温めてから朝食をとる。四角い白いものは、能登の郷土料理のすいぜんというらしく、ナタデココに似た食感で美味しかった。どの料理も朝の微睡みから引き起こしてくれる、それが素晴らしいかどうかは分からない。 チェックアウトし、宿のすぐそばにある温泉に向かった。 お湯は少し熱めで体の表皮が少し赤くなった。肌は膜を纏ったようになり、露天は冷たい空気が心地よかった。休憩所の畳の上で寝

          2019.12.09 金沢旅行記3日目