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第一回ことばと新人賞応募作 みずからに対して第三者であるという事実は、言語の構造に由来する。 思索家や作家は、彼らの内部にいる本当の語り手を知っている。それは定式表現である。 だからわたしは、思索にふける重々しいことば、なびきやすく自己消費的なことばに手を加え続けるのだ。 ——パスカル・キニャール『さまよえる影たち』 日差しが強くなりつつある、枯れた木にぶら下がった花びらは白く、淡い腐臭を躱しながら無用の長物となった中央分離帯に見つめられ、境界層で加速する砂粒の行き着く