考えない人-デジタル化の末路
僕は別の記事でも、将来はアナログに戻るのではないかというような、
デジタルに依存し過ぎる事への懸念のようなことを書いてきました。
昨今、そのことを如実に感じることが続いていているので、その角度からもう一度デジタル化の未来を考えてみようと思います。
ここ数週間、数ヶ月というもの、実は仕事上のストレスが絶える事なく僕を襲うのです。
本当にこんな仕事は辞めてやろうと思う事もしばしばあります。
それはどんなストレスかと言うと、、、
例-1
既に他の業者から金額提示を受けているお客さんが、僕に見積を出せと言う。
しかも僕から購入する意思がないのにである。
「だったら購入予定の業者に頼めよ」 と僕は思うのですが、その前段階で見積を出すことができない理由を説明したりしているのにこんな話を繰り返すわけです。
例-2
荷物が届くから、届いたら教えて欲しいと言われ、どんな荷物が届くのか、それはいつなのかを聞いても情報をくれない。
しかも、届いた荷物をどうすれば良いのかを聞いても教えてくれない。
実際に荷物を受け取ったことを教えても、その品物をどうすれば良いのか(客先に送るのか、誰かが受け取りにくるのかもわからない)も言わない。
例-3
客先から見積が欲しいというリクエストがあったので、AとBのどちらを見積もれば良いのか、場合によってはCという選択肢もあると言うと、
特に決めてはいないのでお薦めのものを見積もってくれと言われる。
、、、で、日本ではAが一般的なのでAで見積を用意して提出。
すると見積を提出したその直後に B で見積もってくれ、Aは要らないとあっさり当然のように言われる。
手間をかけて見積提示したことが無駄になったわけだが、僕に対しては特に謝っているような雰囲気もない。
例として3つほど書きましたが、こんなことは毎日欠かさずに繰り返されるわけです。
すべて外国のお客さんだったり勤務先の本社の人間だったりするので、日本人とは文化が違うから・・・と以前はそう考えていました。
しかし、海外の人達の全員が全員そうではありません。
つまり、外国人だからこういうことを繰り返すのではなく、違うところに何か要因があるなぁと感じる今日この頃なのです。
こういう訳のわからない仕事の仕方をしている人達の殆どは、日頃はスマホを徹底的に使いこなし、コンピューターの知識も豊富、デジタル世界のことで知らないことやできないことがないという人ばかりです。
アプリケーションの使い方には長けていて、色んなシステムや製品の知識もあります。
むしろ僕のようなアナログ人間の方が、言われたことに対してあれこれと考えて物事を進めようとします。
一概には言えませんが、デジタル世界のような On か Offか、0 か 1 か、白か黒か、Yes か No か、、、
そういう世界でばかり生きてきた人達って、アナログ世界で生きている人に比べると想像力が足りていないんじゃないかと思うようになりました。
だからこの3つの例あるようなことが毎日繰り返されるんじゃないかって。
スマホもコンピューターも、デジタルの世界では感情とか思惑とかいうものはまったく考慮する余地がないので、良くも悪くも決められたことさえしていれば目的を達成することはできます。
ところが相手が人間だとそうはいきません。
日によって、時間によって、感情が不安定な時もあるかもしれません、
さっきは良好でも今は感情的に落ちているかもしれません、
常に一定、常に同じ人なんて存在しないわけですから、何をするのでその時々で相手の表情を読み取り、声の僅かな変化から感情を察知し、
それに対して自分が何を言うべきか、どの言葉を選ぶのか、そのタイミングはいつか、、色んなことを考えて接したり言動を決める必要があります。
僕のようなアナログ人間というのは、子供の頃から人との会話や人との関りを抜きにして遊ぶことさえできない毎日でした。
もちろん、テレビゲームもスマホもパソコンもない時代ですから、
ラインの画面に文字を入力すればすべてが解決する世界とはまったく違い、
嫌な事であっても逃げることができず、互いに顔を見ながら話したり何かをしなければ何も解決できなかったのです。
でもそのおかげで、相手のことを想像する力を養うことができる人間になったのだと思います。
こんなことを言ったら怒るだろう
今これをやったら嫌がるだろう
こういう事をしてあげれば喜んでくれるに違いない
そんな感じの何でもない小さなことかもしれないけど、こういう想像力を働かせることが大事なんだと思います。
問題はデジタル一辺倒な人達です。
そういうアナログ世界で人と感情をぶつけ合うような経験がないと、この3つの例のようなことになってしまうんじゃないかと思います。
彼らの共通していることと言えば、
自分のことだけ伝えてしまえば、それを相手が処理してくれる。
それを相手がどう受け止めるか考えるか、嫌がるのか喜ぶのかなんて考えない。
自分が何を言えば何をすれば相手がどう感じるのかを想像しないし、その必要性すら感じることがないのだろうと思います。
米国 Apple の創業者 スティーブ ジョブス が、iPhone という革新的なデバイスを世に送り出した張本人でありながら、自分の子供には iPhone を持たせなかったという話は有名です。
恐らくは、自分の子供が 「考えない人」 にならないようにするためだったのではないでしょうか。
僕は初めて iPhone 3GS を買った後は今の今まで iPhone以外のスマホや携帯電話を買ったことが一度もありません。
それどころか iPad 2台、Apple Watch、iPhoneに至っては 3台持ち です。
でも基本的にはアナログ人間です。
依存していないからでしょうね。
文字での会話よりも声や顔を見ながらの会話の方が好きですし、
ITの仕事をしているくせにシステムというものをまるで信用していません。
デジタル化の末路を見る前に、考えない人ではなく、考える人が増えて欲しと思う今日この頃でした。