感覚の違い・温度感の違い
リターンして数ヶ月が過ぎた頃からかな、いつの間にか一般的な人とバイク乗りである自分との間に感覚の違いや温度感の違いがあるなぁと感じるようになりました。
何の話だか想像できませんよね?
事例その1
最近はすっかり冬になってしまい、朝晩なんて完全に屋外の空気は冬です。
僕がまだバイクに復帰していない頃は、
「こんな寒い中をバイクで走るなんてできない。」
そう思っていました。
もちろん、若い時の自分はどんなに寒い日でもバイクに乗っていたわけですが、それでもさすがにバイクに乗らない期間が長く、しかも高齢になった今は、こんな寒い中をバイクで走ったら寒くてダメだと本気で思っていたのです。
多分、その感覚は一般のバイクに乗らない人達も共通して同じ感覚なのだろうと思います。
ただでさえ寒いこの時期に、わざわざ風を切って走ろうなんて思う人は普通はいません(笑)
ところが、バイク乗りとして復活して迎える初めての冬、年末までにどこへ行くか、新年にはどこを走るか、なんとなく考えている自分がいます。
いつの間にか、寒さは度外視になってるし・・・
これって、僕は既に普通の人とは違う感覚になってしまっているという証ではありませんか。
バイクに乗るという点では寒さに対する感覚が、大きく違ってしまっています。
事例その2
YouTubeで林道ツーリングをする人の動画を見ることが増えました。
林道ですから、デコボコ道が当たり前で、大きな石がゴロゴロしている道や倒木が道を塞いでいるなんてことは全然珍しいことではありません。
長年林道ツーリングを楽しんでいるベテランライダーでも、ヒィヒィ ハァハァ と、
息を荒くして懸命に障害物を超えながら進んでいくのですが・・・。
中には林道横の崖に転落しかけたり本当に落ちてしまう人もいます。
彼らの中では一大事で、YouTube動画のサムネイルにも「転落!」とか「大事件」的な感じで表現されています。
僕は若い時にはトライアルにハマっていました。
練習をしに行くと3メートルくらいの高さの土手というか崖のようなところもあったり、急斜面というよりも崖に近い場所も沢山ありました。
当然ですけど、そういうところから転げ落ちるとか、3メートルの崖のちょうど一番高いところでバイクが引っかかって、僕だけがそこから落ちるということもありました。
まぁ、そんなことは全然珍しいことではありません、というかそれが日常です(笑)
なので、YouTubeの動画の中では転落したベテランライダーさんは冷静なのに、同行している他の人達がやけに動揺していたりします。
なんとなくわかる気がするんです。
僕からすればバイクごと崖下に落ちるくらいのことは、大きな怪我さえなければ笑い事なんです。
困ることがあるとすると、バイクを崖の上に戻すための方法がなかったらどうするかってことくらいですね。
それだって、バイクを引き上げなければ死んじゃうとかではないので、後日、トラックにフル装備でワイヤーやウィンチを積んで行けばいいだけの話かなって思います。
危険に直面した時の温度感も、悪く言えば鈍いオッサン、良く言えば慣れっこなので動じないオッサンになっているなと思いました。
同じバイク乗りの中でも、トラブルに対する温度感の違いを感じたりします。
事例その3
自分で自分のバイクを整備します。
当然ですが、手は真っ黒になり爪の間に入り込んだ黒い油も石鹸で洗ったくらいでは綺麗にはなりません。
特に今のような乾燥する時期は、皮膚にとってはかなり過酷な状況が続くので、
肌荒れのようなことは珍しくないですし、現役の時には垢切れの瞬間に音を発することもあったくらい、肌は荒れます。
そうりゃぁそうです。油まみれになったと思ったら今度は強力な石鹸で手の油分を完全に洗い流しただけでなく、保湿も油分も全くない状態になるわけで、
これを繰り返す訳ですから手の甲なんてボロボロになります。
でも、バイク乗りにとってはそれは当然のこと、というかむしろちゃんと自分で自分のバイクの面倒を見ている証として、喜びでさえあるのです。
手がカサカサにならないように気を使う人、中にはきちんとクリームなどでケアを欠かさない人もいます。
そういう人たちから見たら異常なことかもしれませんね。
ここにも温度感の違いなのか感覚の違いのようなものを感じます。
こんな感覚の違い、温度感の違いはあらゆるところにあります。
何時間もぶっ通しで走り続ける感覚とか、
用品を買う時の金銭感覚とか、
バイクのメンテナンスをして手が真っ黒の油まみれになったり服が汚れることとか、
気温だけじゃなく、埃まみれになるとか雨にうたれるとか、
事故やトラブルにも動じないメンタルとか、
バイクに乗っているとあらゆる面で鍛えられますね。
僕は何事も前向きに捉える人なので、全て自分にとっての鍛錬、訓練であり、それを越えてきた今、培われた感覚で温度感で、人様とは違う何かを持っている気がしています。
単なる自己満足でしかないのでしょうが、考えようによっては宝物かもしれませんね。