何故悪く言うのかな?
英語圏の人達との交流や会話の機会が増えてくると、なんとなく見えてくることがあります。
今まで気付きにくかった日本人と海外の人達の間にある違いに気付くようになります。
今から160年も昔のこと、一万円札の新しい顔になった渋沢栄一さんは、ヨーロッパへ行った折に欧州諸国の国家元首に会って大変ビックリしたそうです。
当時の日本では、武士は金の話をするのは卑しいので商売の話などしない、商人は卑しい身分なので武士と一緒にしてはいけない、、、そんな身分の差が明確にされていました。
しかし欧州へ行くと、国の代表者たる人が渋沢さんに対して自国の名産品を売り込むわけです。
日本で言うなら征夷大将軍が日本の名産品を営業するようなものですから、渋沢さんは随分と驚いたそうです。
自国を経済的に潤す、自国に富をもたらすとはそういうことかと、想像したことすらない新しい考え方を知り、日本へ帰ってからは考え方を一新するべく活躍した事は皆さんご承知の通りです。
で、僕の話に戻しましょう。
渋沢さんほど立派な話ではありませんが、現代人にも凄く似たような面はあり、外国の人の文化や習慣、考え方に触れるうちに 「これは日本人にはないかもね・・・」
そんなことがチラホラ見えてきます。
僕の場合、海外の人々は自分や自分の身内を悪く言わないということが見えてきました。
自分の能力や自分の勤務する会社、職場の同僚のことを悪く言うのは聞いたことが殆どないと思います。
そういうのを聞いた記憶がありません。
例えば、あなたの会社はこんなシステムを導入するなんて凄いですねみたいな話をすると、そうですね、これからはこんな技術が一般的になるだろうから、それに向けて我々も頑張ってますみたいな肯定的な方向へ話をもっていきます。
反対に日本人は良く言えば謙虚なのかもしれませんが、自分が出来る事と出来ない事をはっきりさせ、できないものはできないと言いますし、
褒められても「いやいや、そんなことはありませんよ」と本心からではないかもしれませんが、とりあえずのところは自分の位置を下げる方向で話します。
外国の人みたいに肯定的な方向ではなく、
上がやれっていうから予算もないのに無理しちゃいましたとか、
どれだけの効果が見込めるかわからないですよ、
そんな感じでどちらかというと否定的な話の方が多いように思います。
外国人の意識って、ことごとく自分の、或いは自分達の良くない面は隠そうとします。
不利になりそうなことは口にしたがりません。
どちらかというと日本人は逆で、そういうところから話を始めます。
これって、気を付けないと 「この人はそんなに自信がないのか・・・」 と思われかねないことだと思います。
海外の人との交流でこんな日本の姿が見えてきたのですが、本当に大切なことは英語を使うことではなくて、そういうちょっとしたことかもしれないけど、今まで見えなかった日本、日本人の姿が見えてくることにあるんじゃないか、そんな風に思う次第です。