見出し画像

バイクを守ることは自分を守ることーその2

バイクを守ることは自分を守ることーその1で、ブレーキフルードの液量についての経験談を書きました。
ブレーキフルードに関してはもう一つの経験談があります。

ある日、若いバイク乗りの人から「ブレーキの効きが悪い」という相談を受けました。
「何かやった?」と聞くと、ブレーキフルードが足りなくなったので余ったエンジンオイルを足したと言われました。

「え~~~っ!!」

僕は思わず言葉に詰まりました。
マスターシリンダーのカップの蓋を開けると、ダイヤフラムが悲惨な状態になっていました。
恐らくですが、マスターシリンダーのピストン周りにあるシール類も傷んでいたのではないかと思います。
エンジンオイルがゴムでできたダイヤフラムをベロベロにしてしまっていました。

不勉強でお恥ずかしい話ですが、ゴム製品についての詳細な知識を僕は持ち合わせていません。
ですが、ブレーキフルードの代わりにオイルを使うとゴムをダメにするので決してブレーキに使ってはいけないことは知っています。

時々ブレーキフルードを「ブレーキオイル」と呼ぶ人をみかけます。
呼称なのでどんな呼び方をしても良いのですが、本当にオイルを入れてしまうのは絶対ダメです。
普通に市販されているスポーツバイクは殆どの場合、ブレーキフルードにいはDOT4が使われていて、グリコール系の液体でありオイルではありません。
また、ゴムには耐油性のものと非耐油性のものがあるので必ずというわけではありませんが、僕が知っているマスターシリンダーやキャリパー周りのシールはほぼほぼ非耐油性のはずです。
普通、オイルにはゴムを劣化させる性質がありますから、オイルがキャリパーやマスターシリンダーの中のゴム製品に触れればシールが劣化し、最悪の場合ブレーキがかからないということもあり得ない話ではありません。

この若者のように、ブレーキフルードの代わりにエンジンオイル・・・
まさにこれはやってはいけない代表ともいえることをしてしまったわけで、事故を起こす前に気付いて本当に良かったと思います。
僕は彼に言いました、
「エンジンオイル入れるくらいならまだ水の方がましだよ」
そうなんです。
カップの中のブレーキフルード液面が下がってしまい、エアーを巻き込む前にどうしても緊急に一時的に補充するというのなら、
少なくとも、オイルを入れてシール類をダメにするくらいなら、ゴムに対してなんのダメージも与えない水の方がまだましなんです。
【注意】水とブレーキフルードは分離せずに混ざり合いますので、どうしても一時的にフルードの代わりに使いたいというのであればできなくはありません。
しかし、どれだけブレーキ正しく動作させることができるのかについてはまったくデータも経験もありませんので、この記事を参考にして実施される場合はは自己責任でお願いします。
僕個人は読者の方がなされるブレーキのメンテナンス、ブレーキの動作に関して一切責任は負えませんのでご承知ください。

僕も含め、バイクにのる人の殆どは、そういうお仕事でもされていない限りはこういったケミカル製品の専門家ではないと思いますし経験も知識もないでしょう。
ですが、DOT4とDOT5を混ぜてはいけないとか、フルードとオイルを混ぜてはいけないとか、そういった基礎知識的なことは知っておくべきです。
そして、ブレーキレバーやブレーキペダルのタッチ、握った時踏んだ時の効き具合に違和感があったらそれを感じ取って点検をしようとする意識を持つべきだと思います。
バイクを事故や故障から守れないということは、自分を危険に晒すことになりかねませんから。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?