不思議な感覚
こんな殺人的な暑さの中
災害急の暑さの中
フルフェイスのヘルメットを被るだけでも息苦しくなるし
ただでさえ尋常な暑さではないというのに
ジャケットは肩、胸部、肘、背中にプロテクターが入っている
ご丁寧なことに、パンツも腰と膝にプロテクターが入っている
そういう服装をすることをまったく苦だと思わないどころか
当然のことと思っている
走り始めると数分としないうちに
エンジンの排熱が暖房器具のように僕の下半身を暖める
高速道路に入れば少しは紛れるだろうから
もう少しの辛抱だ
最初のSAで最初の休憩をして
飲み物を買って水分補給をする
僕みたいに一人で走りに来ているバイク乗りも休憩している
変態は僕だけじゃないんだな
こんな暑さでも走りに来る人はいるんだね
視界が開けて
目の前に高くはないけど山が広がって
バイクに乗って走っている実感が湧いた瞬間
嬉しくて泣いてしまいそうな感覚に囚われた
なんだか不思議な感覚
バイクに乗って走っている
ただそれだけのことなのに何故だろう
無性に嬉しくて
この瞬間ばかりは暑さを忘れた
暑さを感じなかった
本当だよ何も感じなかった
ただ嬉しかった