エンジンオイルの話ー1
どんなエンジンオイルを選んでいますか?
エンジンオイルはバイクのエンジンにとっては血液みたいなもので、長く乗る、性能を発揮する、安全に走る、そのためには欠かせないものです。
では、どんなオイルを使えば良いのか?
・行きつけのバイク屋さんがお薦めするオイルを使う
・二輪用品店で良さそうなものを購入する
・友達が薦めるものを使う
・オイルなら何でも良いので適当にお店の人が薦めるものを使う
どれも間違っていません。
その選び方でオイルを手に入れて交換しましょう。
ただ、ここでのお話は「自分で選ぶ」 という人向けにちょっとしたアイデアになればと思うことを書かせていただきます。
四輪用のオイルを使っても良いのか?
やったことがないので正確なことは言えませんが、やめた方がいいです。
二輪用のエンジンオイルを使いましょう。
2サイクルのエンジンには 2サイクル用を、4サイクルのエンジンには4サイクル用を使うことも必須です。
何故四輪用のエンジンオイルを使わない方が良いのか、その理由は後述します。
エンジンの構造を理解することも大切
エンジンオイルを選ぶのにエンジンの構造なんて関係あるの?
関係なかったら 「何でも良いから安いオイルを買って節約しましょう」
その一言でこの記事が終わってしまいます(笑)
関係は大ありです。
毎日街で見かける普通の乗用車では、エンジンは、燃焼系のユニットで構成されていて、駆動系のユニットは完全に別体です。
燃焼系とは、シリンダー、ピストン、シリンダーヘッド内のカムやカムシャフト、カムチェーン
ピストンを上下させるためのコンロッドやクランクシャフトなどの部品で構成されています。
燃料であるガソリンと空気の混合気を爆発させるためのユニットで、これがエンジン本体です。
駆動系のユニットを構成する主な部品はギヤで、ギヤを組み合わせて使うことでエンジン内で爆発した力を回転力(動力)に変えてタイヤへ伝えるためのユニットです。
これはエンジンではなく駆動装置です。
結果、エンジンはエンジンオイルで、ミッションである駆動装置はミッションオイルで潤滑します。
一方のバイクはというと、前述のエンジンと駆動装置が一つの箱の中に収められて一つのエンジンとして使われています。
もちろん、その中にはクラッチ(乾式クラッチはこの中には含みません)も収められているので、矛盾した話ではありますが、バイクのエンジンではひとつのオイルでこの燃焼系ユニットと駆動系ユニットの両方を潤滑しなければなりません。
何故四輪用のオイルをバイクに使えないのか?
もうおわかりだと思います。
四輪用のエンジンではピストンとシリンダー、クランクシャフトとメタル(軸受け部)などの摺動部分だけを潤滑することが目的です。
ところが、二輪用エンジンオイルの場合、燃焼系のパーツの摺動部分だけでなく、駆動系のギヤなどの嚙合部分の潤滑もしなければいけません。
更には、クラッチを滑らせてはいけないし、エンジンの回転数も四輪よりもバイクの方が倍近く高い(比較する自動車の種類によって違いますが)です。
特に250cc 4気筒などは10000回転を超える回転数で走ることは珍しくありませんので、車のエンジンに比べるとかなりオイルにかかる負荷が高いと言えます。
バイクのエンジンオイルを金額で選ぶと失敗する
上の画像は、メーカー名を隠していますが、実際に二輪用として販売されているエンジンオイルの缶に表示されている内容です。
最上段は四輪用の表記です。
自分で用品店に行ってオイルを買う時には、値段を見て決めずにオイル缶の表示を確認して選ぶことを強くお薦めします。
また、これもおわかりだと思いますが、四輪用エンジンオイルは質が悪いとか性能が低いとか決してそういうことではありません。
どんなに上質なオイルであっても使用目的が二輪用のそれと違うから使わない方が良いということです。
参考までにお話をしますと、僕はいつも性能レベルが ”MA2” のものを選んで買っています。
この規格は二輪用に使うための性能規準をクリアしているということなので、下げてもMA、できれば MA2 を使いたいところです。
※四輪用でMAやMA2に適合したものは恐らく販売されていないかと思いま
す。画像では SN 適合です。
もちろん、バイクの排気量やどんな乗り方をするのか(ツーリングか、レース用か、街乗りか)によって選定すれば良いと思います。
経験談
適切な エンジンオイルを使うと、最もその良さがわかるのはギヤの入り方だと思います。
・赤信号で停車する時にニュートラを出しやすくなった
・1速から2速にシフトアップする時にスコっという感じで難なくギヤチェン
ジできた
・クラッチのつなぎ、半クラッチが今までよりも節度があって使いやすくな
った
・ギヤ抜けしなくなった
そんな経験は一度や二度ではありません。
また、冬場の寒い時でもセル一発でかかるとか、エンジンオイルの効果が期待できるので、適切なエンジンオイルを選ぶことは大切だと思います。