経験談:レース用チャンバーで走った結果
友達から譲ってもらったDT125
かれこれ、もう30数年前、いや、約40年も前のことです。
仲間の一人がDT125にYZ125のチャンバーを付けて乗っていました。
ある日彼がこのマシンを僕に譲るということになりまして、ロードスポーツだけでなくオフロードも好きな僕は喜んで譲ってもらうことにしたのです。
さすがにチャンバー付きのDT125は実によく走るバイクでした。
それなりにキャブレターもいじってあるので低回転では少しかぶり気味でしたが回転数を維持していれば気持ち良く走ってくれます。
ただ、点火プラグを点検すると白いので、もっとメインジェットの番数を上げないとだめだよなぁぁぁ
などと言いながら、譲ってもらったあともキャブのセッティングを見直したり多少の手は加えたのですが。
何しろレース用のチャンバーにサイレンサーを付けただけの代物ですから、混合気には気を使っておりました。
中低速は大丈夫そうなので、メインジェット中心で番数を上げてやり、高回転域でのセッティングが出ればバッチリかなと、、、
でもある程度の距離を走らないと結果は出ないので、しばらく様子を見ることにしました。
まだセッティングが出来上がっていないある日
あの頃の僕はまだ若かったもので、仲間から「走りに行かないか?」と誘われると夜中だろうが早朝だろうがどこへでも走りに行ったものでした。
その日も悪友から、「DT125に俺も乗りたいから走りに行こうぜ」と囁かれ、僕はGSX750で、彼は僕のDT125に乗って、夜の暴走半島、いや房総半島へ夜走りに行ったのでした。
深夜の房総半島の山の中、車など走っているはずもなく民家も少ないので歩行者もなく、2台のバイクは快調に山の中の真っ暗なワインディングを走っていた・・・
までは良かったのですが、DT125が突然、ボォォォォ といいながら止まり、エンジン音がしなくなりました。
ヤマハ DT125 は呼吸を止めたのでした。
頭の中で、「もしかしたら焼き付き?」 不安が走りました。
僕もバイクを停めてDT125に駆け寄り、まずはキック。
「ん? んんん?」
キックしても足に伝わる圧縮は皆無、このとき、エンジン内で何が起こったかはおおよそ想像できました。
ありゃりゃりゃりゃ。。。。
ということで、真っ暗な山の中ではどうすることもできず、道路の端にDT125を置いてその晩はGSX750に二人乗りで深夜の帰宅。
後日トラックで山中のDT125を迎えに行き、持ち帰って早速シリンダーヘッドを開けてビックリ。
予想していたとは言え、現実にその光景を見るとやっぱりビックリすもんですね。
見事にピストンが溶けて大きな穴があいておりました。
写真も動画もないのは残念
当時は今と違い、デジカメもなければスマホも世の中には存在していなくて、穴のあいたピストンの写真すら残っていないのは本当に残念です。
若かりし日の思い出は記憶だけが残っているわけです。
ただ、この経験は後の僕の良い経験として、理屈だけでなくて実際に手を入れてやらないとバイクが壊れるぞということを身をもって学ぶことができたわけです。
溶けたピストンの小さな破片がクランクケース内に落ちていたかもしれないと思いますが、クランクケースを割ってオーバーホールした覚えはないのでそこまで酷かったわけではないのかもしれませんが、取りも直さず、マフラーを換えたらキャブレターもきっちりしないといけません。
というお話でした。