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ありがちな勘違いと高まる危険
バイクに乗る人、こんな経験はないでしょうか?
特にまだあまり乗り慣れていない人にありがちな気がします。
5台、10台でツーリングに行くと、グループの中にはゆっくり走る人もいれば速く走る人もいて、
遅れても気にしない人もいればなんとかついて行きたい人もいます。
前方のグループから離れても、待ち合わせや次の休憩地点をちゃんとわかっていれば問題ないし、交差点や分岐で待っていてくれると思えれば、
焦って無理に飛ばす必要もありませんね。
でも、道がわからないという不安からじゃなくて、走る上で遅いのが嫌で、
ペースの速い人達について行こうとして無理しちゃう人、そんな人を対象にしてこの記事でお話をしていきたいと思います。
もう少し速く走りたい
自分のペースが他の人より遅くても気にならないならそれはそれでOK。
自分なりの楽しみ方で走れば良いのです。
けれど、多少無理してでも先頭グループについて行こうとすると、ある程度コツが要りますし、場合によっては危険も伴います。
当然のことですが、公道を走るわけですから優先されるべきは速さよりも
安全です。
事故を起こしてしまったら折角の楽しいツーリングが台無しになってしまいます。
そうは言ってもやっぱり速く走りたいんですよね?
僕にもわかります、その気持ち。
僕だって若い時はそうでしたから。
今より少し速く走るためのコツを大雑把に言うなら、ブレーキを上手に使うことと、直線では必要以上にスピードを出さない、その2つです。
そして、転ばないために考えることはアクセルを上手に使うということでしょうか。
え?速く走りたいのにブレーキを使う?
え?転ばないようにしたいのにアクセルを使う?
なんかおかしくないですか?
そう言いたくなりませんか?
次の項目でその辺についてお話しましょう。
ブレーキを上手に使うとは?
速く走りたいなら上手にブレーキを使ってきっちり減速しましょうということなのです。
特にコーナーに入る前はきっちり減速しておくことがスピードを殺さないために必要なことなんです。
え?矛盾してるって? そう思いたくなりますよね。
スローイン・ファーストアウト という言葉があります。
コーナーにはゆっくり入って素早くコーナーを出て行くという意味です。
どうしてこんなことをするのかというと、コーナー入り口でスピードが乗ったままだと、コーナーに入ってから減速したりブレーキングしたりしないといけなくなることが多いからです。
ツーリングで初めて走るような所なら尚更で、コーナーの深さも何も知らない場所では、「この速度なら大丈夫」というところまできっちりスピードを落としておいて、コーナーに入ったら様子を見ながら徐々にアクセルを開けていくようにするのが基本です。
無理にスピードを殺さずにコーナーに入ると、コーナーの途中で減速する羽目になり、落としたスピードをコーナー出口で取り戻すのが凄く遅れてしまい、結果的にはコーナー入り口で十分な減速をしていた方が早くアクセルを開けることができていた分だけ全然速いということになるんです。
それに、危険度も一気に増えます。
次の項で説明しますが、直線では速度はそれなりにしか出しません。
速い人達に追いつくために直線をフル加速して出せるとこまで出すなんていうのは殆ど自殺行為です。
コーナーを抜ける時には直線に入る前に次のコーナーへのアプローチのことを考えながらコーナーを出ます。
ライン取りもコーナーへアプローチする前に決めておきますし、
もちろん、どのくらいの速度で進入するのが良いかも考えるので、
目いっぱい加速なんてしてたら、次のコーナーでの減速を過大にせざるを
得なくなって速くな走れないし危険が増すだけで何も良いことがないんです。
コーナーはアクセルを少しずつ開け気味にしながら走る、そのためには十分にコーナー手前でブレーキを使って減速をしておく、スローイン・ファーストアウトです。
Slow in, Fast Out
直線では抑え目にしないとかなり危険
サーキットでは直線では目いっぱい加速します。
もちろんパワーバンドを上手に使ってシフトアップもします。
レースでは危険と勝負の紙一重のところで走っているのでそれが当然です。
でも、ツーリングでは公道を走っていますしレースではありません。
何度も言いますが安全、事故を起こさない、それが最優先事項です。
僕は若い頃は行く先々で飛ばしていました。
速く走ろうとして一生懸命でした。
直線で誰かに追いつこうとして、直線で後ろにいる誰かを引き離そうとして、直線でも懸命に加速して次のコーナーで曲がり切れずにそのまま直進しちゃったなんて経験もありますし、
同じことをして事故を起こした仲間も見て来ました。
だからこそ言いたいのです。
直線は次のコーナーに合わせて速度調整をすれば良いと。
これが先頭チームに置いて行かれないための安全にしかも速く走るためのコツです。
次のコーナーまでまだ距離があるから、直線で少しでも差を縮めてやろう、
そう思ってアクセルをどんどん開けて加速していくと、思っていたよりも早くコーナーの入り口に近い付いてしまったり、コーナーの深さを読み間違えていて想像以上にキツいコーナーだったりします。
そんな時に限って対向車もいたりします。
そんな状況でもバイクを振り回して思うようにコントロールできるなんて人、僕はただの一度も見たことはありません。
上述で書いたように、 Slow in, Fast Out を実行できる速度で次のコーナーにアプローチする、直線はそのために使うのです。
峠での直線は間違ってもフル加速のために使ってはいけません。
アクセルを上手に使う
コーナーの手前で十分に減速できていれば、コーナーリング中に余計なブレーキングの必要がありません。
むしろ、コーナーを走りながらアクセルを開けていき、コーナーを抜けて直線に差し掛かる前には全開にできるくらいにアクセルを使います。
もちろん、前述のように直線でのフル加速をする必要はありません。
極端な言い方をすれば、直線ではアクセルを開けなくもすむくらいにコーナーを回りながら加速して、直線になったら加速し終わっているくらいが良いのでしょう。
ただ、気を付けないといけないのは、コーナーリング中はバイクが大きく傾いています。
その状況からラフな操作でアクセルをガバっと開けたり突然閉じたりするのは危険が伴います。
直進している時と違って、タイヤの接地面には路面に押し付ける摩擦力と
遠心力でコーナーの外方向への力がバランスするところで安定をしているので、ここに急激な加減速をすればリアタイヤの挙動がどうなるかわかりません。
なのでエンジンの回転数を適度な範囲で維持しておきながら、徐々にトラクション(駆動力)をかけていくという操作をすることになります。
※そんな事をする人はいないと思いますが、、、、
コーナーリング中にクラッチレバーを握るなんてことをしたら、
リアのトラクションが抜けて一気に不安定になるのでしてはいけません。
僕は時々ですがわざと半クラッチの状態にしてトラクションを調整しなが
らコーナーを回ることがありますが、これは予期していない危ない場面で
やる緊急避難的な操作なので何事もなければ半クラッチも不要です。
ツーリングで置いていかれたくない人、安全第一で行きましょう♪