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【エッセイ】昭和のオッサン達
この記事では、僕と同年代や年齢的に近い世代の男性を ”オッサン” と呼んでいます。
これは断じてバカにするとか侮辱する、或いは蔑視する意図はまったくありません。
同じ時代を生きた仲間を親しみを込めて、或いは尊敬の念を込めて
そのように呼ぶことにしたという筆者の意図をご理解願います。
去年バイク乗りとしてリターンしてから、何かと自分が昭和のオッサンであることを意識する機会が増えました。
そして、僕のようにある程度の年齢になってからリターンした人や、
30年、40年とバイクに乗り続けている人も含め、
「あ~、やっぱり昭和の人だわぁ」 みたいなことを感じることがとても多いのです。
ある意味でこれが、バイク乗りとしての仲間意識だけでなく、同じ世代を生きた者同士の仲間意識につながっているような気がしてなりません。
そして、特にバイク乗りの世界の昭和のオッサンというのは恐らく、良くも悪くもZ世代を始めとする若い人達とはもの凄く大きな特性の違いがあるんじゃないだろうかとも思うわけです。
僕は去年バイクに乗るようになった時、身近にはバイクに乗る人は皆無でした。
一人で走るのももちろん好きですが、やっぱり時々バイク仲間と連れ立ってツーリングしたいという願望もありました。
そこで、ネットやSNSを使って仲間を募集し、同世代のバイク乗り数人のオッサン達と知り合うことができました。
その数人のメンバーで六壱会(仮称)というグループになり、毎月ツーリングをするようになったわけです。
ここからが妙に面白い話で・・・
先日、ソロで千葉県内を走っていた時、バイク乗りが多く集まる場所で休憩していたら僕はナンパされました(笑)
ナンパと言っても50代のオッサンが還暦の僕をナンパしたわけですが、
聞けばそのオッサンも誰かにナンパされてバイク好きグループに加わったと言っていました。
結局、僕もその「バイク好きグループ」に加わることとなったのでした。
バイク乗りというのは、ただそれだけで暗黙の仲間意識のようなものがあり、道の駅、PAやSAの喫煙所や、カフェ、休憩所などで居合わせた見ず知らずのバイク乗りに気軽に話しかけたりします。
「今日はどこへ行くんですか?」
とか、
「凄い良いバイクに乗ってますね~」
とか、本当にためらうことなく気軽に声をかけたりするし、
声をかけられた方も気さくに答えてくれます。
そんなノリで僕も声をかけられて、話が合い、その日はナンパに乗って少しの間一緒に走って、当たり前のように「バイク好きグループ」の仲間入りをしていました。
2月11日祝日、そのバイク好きグループでのツーリングに参加し、一緒に房総半島を走ったわけですが、途中、休憩していたら(そこは僕がナンパされた場所)偶然にも六壱会のメンバーであるTさんに遭遇しました。
それでその日はソロツーだったTさんもバイク好きグループのツーリングに飛び入り参加することとなりました。
「こんな偶然ってあるんですね~」
なんて言いながら喜んでいたら、なんと、「バイク好きグループ」 のメンバーの一人であるYさんが、六壱会のメンバーであるTさんと顔見知りでした。
これが2つ目の偶然です。
バイク乗りの世界って狭いねぇぇぇ なんて話をしてたらなんと、その人は六壱会のNさんとも知り合いということで、まぁ凄い偶然の連続だったわけです。
よくよく突き詰めて見ると、六壱会のTさんは、Nさんにナンパされて六壱会のメンバーになったのですが、僕自身もバイク好きグループの一人にナンパされてそのグループに参加、そのグループの他のメンバーもどこかで誰かにナンパされていたという、オッサン達はあちこちでナンパし、ナンパされてバイク仲間になっている実態が浮き彫りになったのでした。
50代、60代になるとバイク仲間が身近にはいない・・・
それは僕だけではなく、恐らくは僕のような高齢リターンライダーには共通のことなんだと思います。
僕は今になってそこに気付きました。
昭和のオッサンがバイクにリターンすると、基本的には孤独な存在、だから仲間を求めて休憩場所で出会ったバイク乗りに気軽に声をかけ、すぐにその場で仲間になってしまう。
そんな荒業が通用するのは昭和のオッサンならではのことなのでしょう。
こんな芸当を、僕も含め昭和のオッサンは何のためらいもなく、不思議にも思わずにやってのける、僕はつくづく昭和のオッサンで良かったなと思います。
・人を見たら泥棒と思え
・どこの誰だか知らない人に自分の連絡先など聞かれても教えない
ある意味、そういうことというのは常識でもあります。
不思議なことに、オートバイに乗っている、ツーリングを楽しんでいる、
ただそれだけでラインの友達登録をし合ってその後も連絡を取り合うことができる。
もちろん、今までに知り合ったバイク乗りとの間で何一つおかしなことをされたことはありません。
ただただ休日にバイクで一緒に走り、一緒に食事をし、一緒に休憩し、タバコを吸い、缶コーヒーを飲む、
バイクという経験を共有できる味方でもあり仲間でもある自分と同じ年代を生きてきたオッサン同士、それが妙に嬉しくもありホッとする関係でもあります。
こんなことができるのは、昭和のオッサンだけなのか?
平成のオジサン達も同じことができる世代ならいいな。
オートバイ乗りではない人達も、知らない人同士でも仲間意識を持てる世界になればいいな。
そんなことを思う今日この頃でした。