ボークでもプレイは続く
有料コンテンツならきちんと体系化してポイントを整理して記事を書こう、そんなことを考えていたらいつまで経っても記事をアップできなくなってしまいました。
今日は久し振りに野球規則に関する記事です。
社会人や高校生の野球だとそれなりに資格のある審判員なので間違うことは殆どありませんが、比較的間違いの起こりやすいのがボーク発生時の走塁です。
実際のプレイでの事例を紹介しましょう。
◇ 事例:ボーク発生時の走塁
走者一塁の時、投手が一塁へけんせい球を投げました。
送球するのとほぼ同じタイミングで審判から「ザッツ・ボーク」がコール
されましたが、塁への送球は悪送球となり、ボールはファウルゾーンを転々としています。
その間に一塁走者は二塁へ走ります。
審判はザッツ・ボークをコールしていましたがタイムはかかっていません。
二塁へ走った走者はさらに三塁へ走ります。
しかしボールを拾った野手からの送球で三塁アウトの判定となりました。
すると攻撃側監督から審判に対して以下のように抗議がありました。
審判はボークを宣告しているのだから三塁アウトではなく、走者を二塁へ進めて試合を再開すべきだと主張しました。
すると4審が集まり協議をし、攻撃側監督からの抗議を受け入れ、走者二塁から試合を再開しました。
このケースでは攻撃側監督も審判も、ボーク判定について誤ったルール適用をしています。
また、この裁定に対して守備側からは抗議がなかったので守備側も適切に判断できていなかったと言えます。
正しくは以下のような対応です。
まず、投手が一塁へのけん制球を投げた時のボークは有効です。
しかし悪送球となったことで走者が走っている限りはプレイを止めてはいけませんしタイムをかけることもできません。
一塁走者が二塁へ達した時点で、この走者にはボークによって与えられる
ひつの進塁を得たものとします。
しかし、走者が守備側の様子を見て、さらに先の塁へアウトになる危険を承知で走る権利はありますので、三塁へ走る走者を止めることはできません。
結果、三塁アウト判定は取り消されるものではなく、走者アウトにするのが正解です。
同様に、もし三塁セーフであればそのまま走者三塁で試合を続けます。
これは野球規則6.02(a) ペナルティ【規則説明1】と【注】の中で明記されています。
◇ 事例:ボークにも関わらず打撃
審判からのザッツ・ボークというコールにも関わらず、投手が打者への投球を行い、これを打者が打撃する場合があります。
この場合もボークの宣告に関わらずプレイを続けてその結果を見なければいけません。
以下、実際の試合で起きた事例です。
1アウト走者二三塁のとき、投手が打者への投球をする時にボークがありました。
これに対し球審はザッツ・ボークをコールしましたが投手はそのまま投球し、これを打者が打ちました。
打球はサードゴロとなり、三塁手は打球を捕り一塁へ送球、
一塁で打者走者はアウトになり、これが2アウトですが、その間に三塁走者は本塁へ生還、二塁走者は三塁に進みました。
審判は特段の措置をせずに2アウト、走者三塁から試合を続けました。
これも審判のルール適用が誤っている事例です。
正しくは、プレイが落ち着いたところでタイムをかけて以下の措置をします。
・三塁走者を本塁に、二塁走者を三塁にへそれぞれ進塁させます
・打者はボーク発生時のカウントから打ち直しをします
これは野球規則6.02(a) ペナルティの中で明記されています。
ボークにもかかわらず、打者が安打、失策、四球、死球、その他で一塁に達し、かつ、他のすべての走者が少なくとも1個の塁を進んだときには、
このペナルティの前段を適用しないで、プレイはボークと関係なく続けられる。
これを平易な言い方で説明するとこんな感じです。
ボークが発生してもプレイが続けられて打者が打撃をした場合は、
打者が出塁して更に走者全員がひとつ以上進塁できたのならボークはなかったものとするという事です。
逆な言い方をすると、
・打者は打撃をしてアウトになった
・打者が出塁できたとしても、塁にいる走者が一人でも進塁できていなければボークを適用して打者は打ち直し
ということです。
参考までに、以下のような事例もあります。
◇ ボーク発生したが打者への死球となった
事例1:
1アウト、走者一塁の時、打者への投球時にボークが宣告された。
ボークにも関わらず投球は続けられて打者への死球となった。
打者は死球により一塁へ出塁
一塁走者は打者に押し出される形で二塁へ進塁
従ってボークはなかったものとして試合を続ける。
事例2:
1アウト、走者二塁の時、打者への投球時にボークが宣告された。
ボークにも関わらず投球は続けられて打者への死球となった。
打者走者を死球により一塁へ出塁させても、二塁走者は進塁できないことになる。
従って、タイムをかけボークの措置をとり、二塁走者には三塁を与え、
打者はボーク発生時のカウントから打ち直しをする。
◇ プレイが続かない場合
ボークが発生してプレイが続かない場合には即座に審判がタイムをかけて試合を止め、ボークに対する措置(走者に1個の進塁を与える)をします。
以下のような場合はプレイは続きませんので、ボークを宣告後速やかに、
またはタイムをかけてからボークを宣告する価形でもかまいません。
・投手板に触れている投手がボールを落とした
審判はその場でボークを宣告してボールデッド(タイム)
・投球または塁への送球をしようとした投手が ”ザッツ・ボーク” のコール
により投球動作また送球動作を止めてしまった
審判はその場でボークを宣告してボールデッド(タイム)
・塁への送球をする時にザッツボークが宣告されたが、野手はこの送球を
捕り、走者も走塁の意思を見せない状態
野手が捕球してプレイが動かないのを確認したらボールデッド(タイムを かける)
・投手が打者への投球をする際に”ザッツ・ボーク” が宣告されたが、投手
は打者への投球を続け、捕手がこれを捕球した。
捕手が捕球したらボールデッド(タイムをかける)
他にもプレイが続かない例はありますが、全部を列挙することも難しいのでこの辺にしておきます
◇ まとめ
慣れないととてもわかりにくい内容だと思います。
経験の少ない審判だと対応を間違う場合もあります。
また、審判の措置が間違うことで自分のチームに不利益がある場合は、野球規則の適用を正しくしてもらう、訂正してもらうというお願いをする必要もあるかもしれません。
ボークが発生してもプレイは続けます。
その結果によってボークを適用する場合、ボークはなかったものとする場合もあります。
コーチ、監督の人も審判をする人も、是非実際の試合に役立ててください。
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