洗濯 2025.2.9
久しぶりにゆったりと洗濯物を干す。
最近、仕事も私事も忙しく、家に帰れていなかった。今週はあやさんも忙しくしていて、お疲れのご容子。彼女はまだ布団に包まっている。
冬はつとめて。この刻、うちのベランダは日陰なのだけど、青空が、空そのものが眩しい。向かいのビルも陽を浴びて、辺りを白くさせている。頬を触れる空気はツンと寒く、息を吸う度に肺臓を冷やす。それが少し心地よい。何か身体に良い物を摂取しているようなそんな気がする。決してそんなことはないのだけれど。音。遠くで鳥の鳴くのが聞こえる。チュンチュン。冬の朝、静かな街は、小さな音も取り零さない。それは地表近くが冷えている冬や夜や早朝に特有の物理現象で、気温に依る音速と屈折角の違いがそれを生むのだけど、そんなことを考えて、今の気持ちにはそぐわないかなと思いつつ、でもそういう事を知っているから、枕草子では描写されていないけれど、きっと清少納言もこの音を聞きながら、寝穢く、布団に包まって、火鉢に火の入るのを待っていたんだろうか、と、そんな事を考える。
洗濯物もあらかた干し終わって、窓を閉め、暖房をつける。サーキュレーターを回す。
寝室へ戻ると、あやさんは目を覚ましていたけれど、まだ眠そうな重たいまぶたと苦戦していて、布団を着込んで冬毛になっていた。
「おはよう」
「おはようございます。すごい厚手のコートですねえ」
「やっぱり炬燵いったよ。布団からでれないもん」
「それはどこから出られなくなるかの違いでしかないです」
「ううう」
また横になる。猫みたいだなあ。
さて、朝ごはん作るか。