友達のちょっといい話 3
中学校の同級生のチャガノンは、ちょっと訳ありの家の長男です。成人式の朝、スーツを着込んだ彼は家を出ようとしていました。
すると、家の若い衆がやって来て「若旦那、お着物を用意してますんで、着替えてください。」と声を掛けられました。
本当はイヤだったんだけど、銀色の紋付袴に着替えさせられて、成人式会場へと出かけたのです。
会場の公会堂についたのはいいけど、とても憂鬱です。女子は着物でも洋服でもいいけど、男子でスーツじゃないのって僕くらいじゃない。こんな格好で友達に会うのはイヤだなぁって、会場の端っこで途方に暮れていました。
すると、中学校の同級生だったターくんが、「久し振り~、何だよ、ひとりかよ~」と隣に座ったのです。そして、最近の音楽の話とか、趣味の話とかをしたのだそうです。
20年以上経ってから、その話をわたしに話してくれたチャガノンは、「あの時さ、アイツのおかげでホントに救われたんだよ。アイツがいなかったら、途中で帰って、部屋で泣いてたかもしれないのに、あの日は笑って帰れたんだ。」
友達ってありがたいなぁって、ニコニコしながら話してくれました。