別府のひと
仕事で別府に住むようになって、もうすぐ10年になる。
別府はやはり観光地。子どもの頃にラクテンチや地獄めぐり、志高湖などみんなが知っているスポットにはよく連れて行ってもらっていた。大分県の他市町村とはちょっと違う雰囲気を感じるまちだ。
同じ大分県に住んでいても別府育ちでない私は、他とは違う空気を感じる。ちょっと荒っぽい感じ。それが何故なのかはっきりとは未だに分からないけど、実際に高校生の時は「別府は治安が悪い」なんてことも同級生の間で話されていた。
そんな別府市で仕事をするようになった時、私は緊張していた。
採用されてまだ1年目くらいの頃、通勤途中で私はコートのボタンを落としてしまった。信号を待っている間に慌てて探していると、知らないおばさんが声を掛けてきた。
事情を話すと、おばさんは「ボタンを探してみるから、もしあったらここの塀の上に置いておくわね!」と。
信号が変わると、私はおばさんにお礼を言っていそいそと職場へ急いだ。そして1日が終わった帰り道。まさかボタンを探してくれて見つかることもないよなぁとダメもとで約束の塀の上を見ると、ボタンがある!!
びっくりした。当時実家から通勤していた私は、帰宅後、母にこのことを興奮して話したことを覚えている。おばさんの名前もどのくらい探してくれたのか、すぐに見つかったのかも分からない。
このことが別府のちょっと怖い印象が変わるきっかけになった。地元の温泉に行けば温かく迎えてくれる(たまに怒られるけど笑)。公民館の屋上でボーッとしていたら近所のおばさんたちがとても心配してくれたこともあったw 別府の人ってフレンドリーで知らない人にも一歩踏み込んでいく。それはやっぱり温泉観光地だからこそ育まれたものなのかもしれないと、市外からやってきた私は感じている。
他とは違う「ひとの魅力」が別府の良さだ。
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