初めての東京(遊ぶ)
初めて上京した。
子供達の姿が見えない!
子供達の声もない!
異様だった!
年配者もいない!
この街は?
不思議だった。
おじさん達は、会話をしながらも、目は話し手を見ていない。
何が不愉快なのだろうか?
OLのお姉さんたちは、弾けている。
何かから解き放たれたようだ。
街を照らす太陽は、油を帯びているようだった。
空気が重い!
ネチッコイ空気が顔を覆っている。
私の田舎では感じたことのない空気だった。
夏の暑い日の田圃の中に立っているより辛い。
喫茶店のガラスを覗き込んだ。
臭い!
ドアの隙間から漏れ出てくるタバコの匂いである。
香りではない。
匂いである。
食品サンプルはやや色褪せている。
田舎で見ていた「東京」ではない。
華やかな憧れはどこかへ消えていた。
三越、高島屋の眩しさはない。
あるのは、憂鬱な日差しの中の無機質な明るさである。
これが日本の中心か!
活力は何処にあるのか?
田舎を見下していた自分を恥じた。
偉人が作った東京は、田舎の活力を下地に造られたと思った。