銀行の伴走型支援は迷惑?
[要旨]
4月から、新たに取り扱いが始まる伴走支援型特別保証制度を利用した会社は、融資を受けた後は、3か月ごとに銀行から経営行動計画書の実施状況の確認を受けることになっています。これは、融資を受ける側にとって、負担と感じられると思われるので、利用者が敬遠すると私は予想していますが、とてもよい取り組みなので、積極的に活用する事例が増えて欲しいと考えています。
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2日前、「4月から、新たに取り扱いが始まる伴走支援型特別保証制度は、あまり利用されないのではないか?」という、私の予想を述べました。これに対して、読者の方から、「銀行が、融資相手の会社に伴走することは好ましいことなのではないか?」というご質問が来ました。私も、銀行が、融資相手の会社と伴走することはよいことだと考えています。
ちなみに、伴走保証制度のいう、「伴走」とはどういうことをするのかは、まだ、明確ではないのですが、融資を受けるときに作成した。「経営行動計画書」に基づき、各四半期の中小企業者の取組に関するPDCAや財務分析をすることのようです。この「伴走」を、銀行と融資を受けた会社が行っていけば、銀行も融資相手の会社のことを詳しく分かるし、融資を受けた会社も、改善点に自ら気付いたり、銀行から助言を受けたりする機会が増えます。
そういう面で、銀行の伴走が増えることは望ましいと考えられますが、実際には、なかなかそれができないと、私は感じています。なぜかというと、銀行職員は、融資の受付や審査事務に追われ、「伴走」を行う余力があまりないということです。そこで、私は、銀行が伴走するにあたっては、融資金利とは別に、それなりの収益を得られるようにすべきと思います。
もうひとつは、融資を受けた会社にとっても、3か月ごとに、会計データをまとめるということは、実態としては、かなりの労力になると考えています。もちろん、PDCAは大切なのですが、やはり、多くの中小企業は、月次決算を行うことにも苦心しているので、伴走型保証を利用するとき、3か月ごとのPDCAを行うことが条件になっていると、躊躇するのではないかと思います。
ただ、話が戻りますが、中小企業庁が、あえて、伴走することを条件にする保証制度をつくった背景には、やはり、銀行に対して、融資相手と伴走することを望んでいるのだと思います。私もその考え方は正しいと思うので、私の予想が外れて欲しいと思っています。この件については、今後、実際の状況が分かりましたら、また、お知らせします。