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コロナ禍での中小企業の経営の二極化

[要旨]

現在は。多くの会社で、ゼロゼロ融資の元金返済が始まりつつあります。それと同時に、業績を立て直し、融資を返済可能な会社と、業績を改善できず、融資の返済が困難な会社とに分かれているようです。そこで、業績がまだ改善できていない会社は、早めに銀行に相談し、経営改善サポート保証制度の利用を打診することをお薦めします。

[本文]

東京商工リサーチ情報部の増田和史さんが、ダイヤモンドオンラインに、ゼロゼロ融資に関する記事を寄稿していました。増田さんは、この記事の中で、中小企業の中で、債務負担の二極化が進んでいると指摘しています。「東京商工リサーチの財務データで企業の借入金状況を調査したところ、2022年3月期決算で、前年よりも借入金が増加した企業は25.6%、減少は45.4%、横ばいは28.8%だった。ゼロゼロ融資の申請が殺到した2021年3月期は借入金が増加した企業は41.7%に急増した。

ただ、支援策が一巡した2022年3月期は、増加と減少の構成比がほぼ逆転し、増加の構成比が大きく下がった。この背景には、ゼロゼロ融資の民間金融機関の受付終了に加え、すでに返済が始まった企業、不測の事態に備えて念のためにキャッシュポジションを高めた企業が借入返済に動いたことがある。一方、借入金が月間売上高(月商)の何倍に相当するかを示す『借入金月商倍率』は、コロナ禍1年目の2021年3月期に4.6倍から5.5倍に急増した。

コロナ2年目の2022年3月期の借入金月商倍率も5.4倍と、ほぼ横ばいの高水準が続いていることがわかった。2022年3月期は、借入金が減少した企業の比率が上昇したにもかかわらず、借入金月商倍率はほとんど改善していない。これは経営の二極化が広がり、借入返済を進めた企業は増えたものの、売り上げの回復が進まずに過剰債務が解消できていない企業も多い実態を浮き彫りにしている」

コロナ禍では、業績が苦しい会社が多いというイメージが強いですが、スーパーマーケットなどの小売業や、衛生用品製造業、貨物運送業などは業績を伸ばしています。一方で、飲食業、旅館業、旅客運送業などは、厳しい経営環境が続き、依然として業績を回復することができない状態です。ただし、そういった厳しい環境にある会社であっても、コロナ禍をきっかけに、事業転換や、新しい顧客開拓により業績をもどしている会社もあります。

したがって、経営環境の適応力があるかどうかで、今後、ゼロゼロ融資を返済できるかどうかも決まるということでしょう。とはいえ、どんな会社でも、ここ数年間のうちに業績回復をすることができるとは限らないということも現実だと思います。したがって、まだ、業績の回復が難しいという会社は、早めに銀行に相談し、伴走支援型特別保証制度や経営改善サポート保証(感染症対応型)制度を利用した支援の打診をすることをお薦めします。

2022/10/24 No.2140

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