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[要旨]

上司は、部下に対して改善点を明確にするために、100点の状態を明確に示すことが大切です。しかし、100点の状態を明確にすることは、上司にとって労力が要したり、上司の責任能力の有無が明確になってしまうため、避けられがちです。


[本文]

今回も、組織マネジメントコンサルタントの安藤広大さんのご著書、「伸びる会社は『これ』をやらない!」を読んで得た気づきについてご紹介したいと思います。(ご参考→ )安藤さんは、上司と部下は、100点の状態を共有すべきと指摘しています。前回、「プロセスを評価してはいけない」ということをお伝えしましたが、そのようなことが起きないためにも、100点の状態を共有することが大切になるそうです。なぜなら、部下が100点をとれなかったときは、どこが不足するのかということが明確になるからだそうです。

私も、この安藤さんの考え方は、とても大切だと思います。なぜなら、前述の通り、部下を結果で評価しようとしても、100点に満たない部分が明確でなければ、部下は、どこを改善すればよいのかが分からず、改善そのものができなくなるからです。また、もし、上司が、100点の状況を明確にしないまま部下を評価すれば、それは、部下から見たとき、「後出しじゃんけん」と受け止められかねないことになります。

とはいえ、100点の状況を明確にすることは、上司にとっては労力を要します。また、仮に、多くの部下が100点をとったとしても、会社全体(または、部門全体)の業績が目標を達成できなかったときは、上司の管理者としての責任が明らかになってしまいます。このような事情から、上司が100点の状態を明らかにすることを避けようとし、その結果、プロセスで評価しようということも起きてしまうのではないかと、私は分析しています。

でも、そのような管理の難しさは、マネージャーとしての職責を果たすための大きな部分を占めていると、私は考えています。ちなみに、本旨からそれますが、バランススコアカード(BSC)は、そのような管理の難しさをより容易にするツールです。このような背景もあり、私は、多くの会社にBSCの導入を薦めています。話を本題に戻して、100点の状況を部下に示すことは、上司(管理者、マネージャー)の重要な役割であり、それを上司がきちんと遂行できれば、人材育成の面で、ライバルに優位に立つことができるでしょう。

2021/10/29 No.1780

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