マイノリティに目を向ける
[要旨]
ゆるスポーツの500歩サッカーで使うベルトは、いままでスポーツを楽しむことができなかったマイノリティの人たちに、スポーツを楽しむことができるようにするためのツールであり、このような、いままで自社の顧客でなかった人を顧客にするための多角化戦略は、業績を改善する手がかりとなる可能性があります。
[本文]
先日、経営コンサルタントの和田裕美さんの配信しているPodcast番組にご出演された、世界ゆるスポーツ協会代表理事の澤田智洋さんのお話をお聴きしました。ゆるスポーツとは、いわゆる健常者と、身体にハンディキャップがある人が、平等に楽しめるスポーツのことで、手にハンドソープをつけるてプレーするハンドソープボールなどが有名です。
そして、澤田さんが考えたゆるスポーツの中に、歩く歩数を500歩までに制限するというルールの500歩サッカーというものがあります。500歩サッカーでは、プレーヤーは特殊なベルトをつけてプレーするそうですが、そのプレーヤーが500歩を超えて歩いたときは、ベルトについたセンサーの色が変わり、退場しなければならなくなるそうです。
このようなベルトは、コピーライターでもある澤田さんが、そのご縁でつながりのある、スポーツ用品メーカーの美津濃株式会社に打診して開発したそうです。同社としても、現在の市場の頭打ちが予想される中で、新たな顧客を開拓するためにも、いわゆるマイノリティ市場に大きな関心があったそうです。これは、多角化戦略の水平的多角化、すなわち、既存の事業に関連した分野への多角化の好事例だと思います。
似たような事例としては、任天堂のゲーム機のSwitchだと思います。同機でプレーする、「あつまれどうぶつの森」は世界的にヒットしましたが、かつては、ゲームをプレーする人というと、マニアックな人を対象としていたものが多かったものの、最近は、同機のように、あまりゲームに詳しくない人でも、すぐにプレーできるような製品になっているところが、潜在的顧客を掘り起こしているのだと思います。
前述の、500歩サッカーで使うベルトについても、いままで、スポーツが苦手で、あまりスポーツをしようとしなかった人たちが、500歩サッカーなら楽しむことができそうだと考えれば、美津濃の新製品の需要が増えていくと思います。このように、いままで自社の顧客でなかった人たちを、自社の顧客にするための工夫をしてみることで、多くの会社が、自社の業績の改善の手がかりがつかめるのではないかと、私は考えています。
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