PL脳とファイナンス思考
[要旨]
コンサルティング会社の共同代表の朝倉祐介さんによれば、日本の会社の多くは、短期的な利益を追求するPL脳によって経営されていることから、米国のアマゾンのように、長期的に企業価値を高めようとする会社が日本ではなかなか現れないとご指摘しておられます。
[本文]
今回から、コンサルティング会社のシニフィアンの共同代表の朝倉祐介さんのご著書、「ファイナンス思考-日本企業を蝕む病と、再生の戦略論」を拝読して気づいた点をご紹介したいと思います。朝倉さんは、アマゾンのような大きく成長する会社が、日本ではなぜ輩出されないのかという疑問を持ち、同書を執筆することにしたそうです。
そして、日本の会社の多くは、経営者がPL脳を持っていることがその原因であり、アマゾンのような会社が登場するには、ファイナンス思考を持たなければならないと述べておられます。では、朝倉さんのいうPL脳とはどういうものかというと、「目先の売上や利益を最大化することを目的視する、短絡的な思考態度」のことだそうです。一方、ファイナンス思考とは、「会社の企業価値を最大化するために、長期的な目線に立って、事業や財務に関する戦略を総合的に組み立てる考え方」ということだそうです。
ここで、私は、意外だと感じたことは、アマゾンが生まれた米国では、かつては、短期的な業績を追求している会社が多かったのではないかということです。むしろ、日本の会社の方が、目先の利益に左右されず、長期的な成長を目指して来たのではないかと、私は考えていました。しかし、現在の状況をみれば、朝倉さんのご指摘はもっともだと思っています。
また、この本のタイトルには、「ファイナンス思考」という言葉が使われているので、財務面での考え方が大切という印象を持ってしまうかもしれませんが、同書を読み進めて行くと、財務面以外の要素でも、日本の会社は改善を要する点があるということが分かりました。では、日本の会社は、これからどのように改善をして行けばよいのかということについて、次回以降、ご紹介して行きたいと思います。
2022/3/13 No.1915