[要旨]
在庫品を増やす場合は、死蔵品の発生リスクだけでなく、在庫品の購入代金の調達費用などの維持費用を、在庫金利として把握する必要があります。
[本文]
在庫管理のポイントとして、効率性のほかに、維持費用の観点からも管理することは有効です。在庫品は、多めに持つことで収益機会を増やすと同時に、売れ残りを増やすリスクも増やします。そこで、経営マインドを持った経営者は、それらのバランスを取りながら、果敢に収益機会を増やそうとするでしょう。
しかし、在庫品を増やすことは、リスクだけでなく、維持費も増加することになります。その維持費の最も大きな要素は金利です。在庫品は、会社がそれらを購入することで、会社の資産になりますが、その購入代金の多くは、会社が金利を支払い、銀行から融資を受けて調達します。したがって、経営者の方は、在庫品を増やすときは、この金利も意識する必要があります。
ただし、融資金利をそのまま在庫品の維持費用とはせず、少し上乗せることが妥当でしょう。なぜなら、在庫品の維持には、倉庫の維持費(減価償却費)・賃借料、購買(在庫)部門の従業員の人件費なども必要だからです。そこで、銀行からの短期融資の金利に加えて、それらの費用を加味することが妥当でしょう。
それらの費用は、会社によってまちまちなので、銀行からの短期融資の金利が2%なら、在庫費用は在庫額の3%を目安にするというように決めるとよいでしょう。したがって、その会社の経営者の方が、在庫品を1,000万円増加しようとするときは、在庫金利として、年間30万円の維持費が増加すると認識し、最終的な意思決定を行うことが妥当です。
ちなみに、会社の資金調達手段は、買掛金や支払手形などの企業間信用と、株主からの出資があります。ただ、一般的に、企業間信用は無利息であり、また、いわゆるオーナー会社では、株主への配当は行われなていないことから、資金調達コストは、銀行融資だけを考慮すればよいでしょう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?