分業体制で制作する劇画
[要旨]
9月に亡くなったさいとう・たかおさんの代表作のゴルゴ13は、分業体制で制作されています。そのため、さいとうさんが亡くなっても、ゴルゴ13は連載が続くことになりました。この例のように、事業を安定的に継続させるためには、組織的な活動を行うことは、ひとつのポイントになると思われます。
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映画評論家の中条省平さんが、9月に他界した、劇画家のさいとう・たかをさんが、分業で作品を制作していたことについて、日本経済新聞に寄稿していました。ここで述べるまでもありませんが、「(さいとうさんの)代表作、『ゴルゴ13』は、200巻以上に及ぶ人気シリーズで、今年、『最も発行巻数が多い単一マンガシリーズ』として、ギネス世界記録に認定」されています。
そして、そのゴルゴ13は、「一人のマンガ家がすべてを担うのではなく、アイデア、構成、脚本、構図、作画など、それぞれを得意とするスタッフが分業でおこなう集団プロダクション制」で制作されていることも、すでに多くの方がご存知の通りです。そのような体制が整っていることから、「故人の遺志に沿って、今後も、さいとう・プロのスタッフと、小学館『ビッグコミック』編集部の協力によって、連載は継続」できることになったと、私は考えています。
ちなみに、中条のさんの記事では、「日本の漫画界で初めて敷いた分業体制は、低賃金長時間労働が当たり前だった業界体質への問題提起ともなった」ということも指摘しています。このような面は、組織的な活動のすばらしい面だと思います。したがって、中小企業経営者の方にも、さいとうさんの分業体制はよい参考になると、私は考えています。
もちろん、組織的な活動が、必ずしも「正解」とは限りませんが、「事業を大きくしたい」、「自分がビジネスの現場から離れることになっても、自分の意志を引き継いでくれる人が欲しい」と考えている方は、「組織的な活動」が実践できる体制づくりに軸足を置いて、事業に臨むことが望まれるでしょう。
2021/10/20 No.1771
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