見出し画像

[要旨]

変化の激しく、先の見通しが難しい時代こそ、月次決算を活用し、より正確な見通しによって経営判断を行うことが、業績を高めることにつながります。したがって、月次決算を活用していない会社は、それを始めることによって、業績の改善が期待できます。


[本文]

経営コンサルタントの岩田松雄さんのご著書、「今までの経営書には書いていない新しい経営の教科書」を拝読しました。岩田さんは、多くの方がご存知の通り、日産自動車にご勤務の後、日本コカ・コーラ、アトラス、THE BODY SHOP、スターバックスコーヒージャパンなどの経営者を務めた、プロ経営者です。同書の中で、岩田さんは、「予測力こそが会社の経営力」と書いておられました。

岩田さんによれば、「現在は、VUCAの時代と言われ、会社経営とは、雨が降っている真夜中に飛行機を操縦するようなものだ」ということです。だからこそ、岩田さんが、かつて、社長を務めた3つの会社では、月次決算が翌月の20日ごろに作成されていたものを、100万円単位の速報値は3営業日を、精度の高い月次決算は8営業日を目標に作成するようお願いしたそうです。その結果をもとに、毎月、予算と実績の再分析、そして決算の見通しを立て、より正確な対応策を指示していたそうです。

さらに、岩田さんは、日産勤務時代に、部品の仕入れ先の経営者から、「日産の3か月先の部品の発注予測は、200~300%ずれるのに、トヨタは20~30%以内の範囲に収まる」と聞いていたことを述べておられます。岩田さんには、このような経験があったから、月次決算を重要視したのでしょう。確かに、将来の業績を見通すことは難しいことですが、月次決算の作成期間を短縮するだけで、より精度の高い経営判断ができることに間違いはありません。

そして、日本の中小企業の90%近くは、月次決算を活用していない(作成していても、経営者が経営判断のためにそれを参考にしていない場合も含みます)と言われています。自社の業績が振るわない一方で、月次決算を活用していない会社は、「予測力こそが会社の経営力」という岩田さんのご指摘にしたがって、月次決算を活用することから改善策の実行に着手することをお薦めします。

いいなと思ったら応援しよう!