大企業病に陥らないための対策
[要旨]
アマゾンの創業者のベゾスは、アマゾンが大企業病のリスクに直面することを予期し、それらを回避する仕組みを事前に作っていたそうです。しかし、それらを実践することは難易度が高く、業績を高めるには、高度なマネジメントスキルが必要と言えます。
[本文]
ソニー出身のコンサルタントの谷敏行さんの、日経ビジネスへの寄稿を読みました。谷さんは、「2013年から2019年まで、アマゾンジャパンで既存事業の成長を担いつつ、新規事業の立ち上げに従事」していたそうです。そのご勤務のときに、谷さんは、「(アマゾンの創業者の)ベゾスは、アマゾンが大企業病のリスクに直面することを予期し、回避する仕組みを事前に作っていた」ということを感じたそうです。
具体的には、大企業では変化を嫌い、新規事業が立ち上がりにくくなるので、アマゾンでは、次に示す、「大企業の6つの落とし穴」に陥らないよう、それぞれに対策を行っているそうです。
(1)新規事業のリーダーが既存事業と兼務で社内調整に追われる→シングル・スレッド・リーダーシップ(リーダーがひとつの事業に専念すること)を導入する
(2)既存事業が優先され、新規事業にリソースが回されない→社内カニバリゼーション(自社の商品が自社の他の商品を侵食し、共食い状態になること)を推奨する
(3)新規事業の失敗が、担当者の「失点」になる→インプットで評価する
(4)既存事業の無難な目標設定が、チャレンジを避ける組織文化を作る→既存事業にもストレッチ目標(手を伸ばしただけでは達成できないが、工夫をすれば達成できそうな目標)を設定する
(5)聖域化した「過去のコア事業」の幹部が権力を持つ→「規模」でなく「成長度」で評価する
(6)ルール優先で社員が指示待ちになる→全員がリーダーとして行動するよう意識付けする
それぞれの「落とし穴」とその対策は、多くの人がうなづけるものと思いますが、経営者がそれを実践することは、口で言うほど容易ではないということが分かります。これらの対策は、一言でいえば、「組織の活性化」ですが、著しい業績をあげている会社は、組織活性化のために、難易度の高い経営手法を実践しているということを、改めて感じました。すなわち、業績を高めることは、マネジメントスキルの高さが重要ということです。
2021/11/26 No.1808
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