好きな仕事をみつけるには…
[要旨]
元Jリーガーの嵜本さんは、サッカー選手を辞めた後、父親の経営するリユース会社で働き始めますが、その仕事を心から楽しいと感じていたそうです。それは、同社で働く前に、佐川急便の倉庫で働いていたときと比較してみてそう感じたそうです。そこで、好きな仕事が見つからないという人には、いろいろな仕事の経験を積むことで好きな仕事がわかるようになるということです。
[本文]
今回も、前回に引き続き、バリュエンスホールディングス社長の、嵜本晋輔さんのご著書、「戦力外Jリーガー経営で勝ちにいく-新たな未来を切り拓く『前向きな撤退』の力」を読んで、私が気づいがことについて述べたいと思います。前回は、嵜本さんがサッカー選手を辞め、父親の会社で働き始めてから、それまで不幸な出来事と思っていた、ガンバ大阪での戦力外通告は、自分一人では決断することができなかった、『前向きな撤退』への号砲だったと考えることができるようになったということを説明しました。
これに続いて、嵜本さんは、せっかく働くなら、楽しいと思える仕事をするべきということについて述べておられます。「(リユースの仕事をするようになってから)『仕事は面白くないもの』、『我慢が必要なもの』とされてしまいがちなのには理由があることに、私が気がつきました。『好きな仕事が見つからない』とか、『自分は何が好きなのかわからない』という人もいるかもしれません。私自身も、佐川急便の倉庫で働いていたときには、そう感じていました。
ただ、いまとなって思えば、正確には、それは、『これは自分の好きな仕事ではないのではないか』、『ほかにもっと、好きになれる仕事があるのではないか』という疑念であったように思います。(中略)リユースの仕事を心の底から楽しいと思えたのも、倉庫での仕事経験が無関係とは言えないでしょう。さらには、詳しくは後に触れますが、2人の兄とともに洋菓子の製造販売も経験し、その後、リユースの仕事に戻ったのも、やはり、両者を比べてみて、どちらの方がよりお好きかを実感できたからだと思います。
ですから、『好きな仕事が見つからない』とか、『自分は何が好きなのかわからない』という人がいるならば、何かをやってみたことが、まだまだ少ないということなのでしょう。(中略)いま、仕事が面白くないと感じている人は、もしかしたら、比較対象がないだけなのかもしれません。ほかの仕事も体験してみて、比べてみれば、どちらがより自分に合っているか、好きか、楽しめるかが、自然とわかるはずです」(65ページ)
この嵜本さんのご指摘は、ほとんどの方がご理解されると思います。その一方で、「確かに、他の仕事と比べれば、現在の仕事を好きだと思えることもあるかもしれないけれど、逆に、他の仕事をしてみたら、そっちの方が好きな仕事と思えることもあるかもしれない」と考える方もいるかもしれません。そう考えたくなる気持ちもわからないでもありません。でも、「隣の芝生は青い」ということは、しばしばあるものです。結局、不満は、どんな状況にいても避けることはできないのだと思います。
そこで、私は、「好きな仕事をする」と考えるよりも、「楽しく仕事をする」と考えるようにしています。とはいえ、「楽しく仕事をする」ことも、それほど容易ではないのですが、「好きな仕事」は、好きな仕事を見つけるまでに時間がかかりますが、楽しく仕事をすることは、自分が仕事にどう向き合うかですぐに実践できるようになります。ちょっと話が飛躍しますが、仕事にポジティブに向き合うことも、成功に近づく近道になるのではないかと、私は考えています。
2023/6/29 No.2388